ゆらぐ

日々走ったり遅れたり迷い込んだりしている私にとって
ゆらぎのない人というのは安心できる存在である。
真面目に迷っている時ほど、ゆらぎのない確固たる存在はまぶしい。
そしてそのゆらぎなさに身を委ねてしまえば、すんなりと全てが上手くいく。

そんな経験があった。

ただその状態にして、私はちょっと気分の悪さを覚えた。
全て上手くまわっているのに、なんだかヘンだ。
なんだ？これは。

私は少し混乱し、考えたが、考えてもよくわからなかったので「保留」にして放っておいた。
放っておけば機会はあるもので、先日そのことについて人と話すことが出来て、ようやく「なんとなくどういうことだったか」が分かった。

その状態は裏返すと支配されているということであり、
その「被征服感」が私のカンにちょびっと触った。
つまり、いけすかなかった、ということなのだ。

ああ～、私も意外と自我が強かったんだねえ。（「意外と、って何を言ってるんだこのヒトは」という声が聞こえてきそうである）

ただその後でもずっとそのことを考えている。
「いけすかないのに、結果は上手くいった」ということがまだ消化できていない。
あれはなんだったのかはだいたい分かった。
わたしはどうしたいのかもだいたい分かっている。
だけど、なんだかなにかが引っかかっている。

強さ。正確さ。やりたいことの明快さ。こだわり。欲求。技術。自分を出すこと。神のような確固たるもの。それ同士がぶつかって起きる火花の輝き。
弱さを受け入れる強さ。大きさ。他者を重んじること。あるがまま。しなやかさ。ゆらぎ。心地よさ。

今日、ビリビリの障子を張り替えながらそんなことをつらつらと考えていた。
家の中で野球してんじゃねえよ、という怒りをおさえるための逃避思考であったかもしれない。ふすまもへこんでるしさ。