ときどき空ログ
たまには空を見てますか?
 




大企業が潤って、社員の給料が上がれば、中小企業や商店がうるおって、みんな喜ぶ、というのがアベノミクスの構図だ。

だけど、これは田中首相の所得倍増時代の遺物にしか過ぎないのだ。

あの頃の日本経済は、鉄を頂点とするモノづくりのヒエラルキーを構築して、頂上から裾野まで運命共同体のような連携ができていた。

だから、超大手企業が栄えると、当然その下請けとなる中小企業が儲かり、サラリーマンの給料が増えると、消費が盛んになって商店も儲かるという明確な仕組みが成立していたのだ。

しかし、今、経済構造がモノづくり中心からサービス経済中心に転換し、あの頃とは全く構造が違ったということを認識しなければならない。

グローバル経済化が進んだことで、ものづくりの中心は外国に移ってしまい、国内のモノづくり大手は廃れ始めているのは毎日の新聞報道でみんなわかっているはず、なのに、その本質を全く理解していない政治家の甘い言葉に踊らされているのだ。

鉄を頂点とするモノづくりは過去のものとなり、一世を風靡した自動車産業ですら海外での製造にシフトしている状態で、大企業が儲かったら中小企業が儲かる構図などあり得ないのだ。

グローバル経済化は、不動産投資の世界でも大きい影響を受けており、かつては大企業が自ら保有していた自社ビルが、今では全く違う名前のペーパーカンパニーが所有し、賃貸料収入を投資家が分け合うという仕組みが主流になっている。

この結果、不動産経営の考え方がいまだかつてなかったシビアな規律に縛られることになり、支出をいかに抑えて利益を最大限に得られるかということが第一の課題になってしまった。

そうすると、当然ながらビルの運営管理コストという経常的な支出をいかにして減らしいくかという命題をうまく処理できるのが優秀な投資会社だと評価されることになる。

その運営管理コストの代表が、ビル清掃であることは理解できるだろう。

そのビル清掃を担っているのは、殆どが高齢者だが、彼ら彼女らの賃金は最低賃金のレベルから全く上がっていない。

東証1部上場の大手不動産会社が運営しているビルの清掃員の賃金は多少マシと言えるが、それ以外の不動産会社のビルの清掃員の賃金は最低賃金のままでストップしているのが実態である。

このようにして、収入の格差が拡大していく一方となるのだ。

アベノミクスが標榜する「大企業が儲かれば、みんなが豊かになる」なんて嘘っぱちもいいところだ。

こういった身近にある現実から目をそらして、安倍首相が言うんだから本当だろうと思い込むのは、ヒットラーがドイツ国民を洗脳したのと全く同じ状態だと思う。

憂うべき事態だ。


コメント ( 0 ) | Trackback (  )

« アベノミクス...