「母ひとり小太り」
おふくろからダンボールが届いた。
俺の声を聞きたくなると送ってくる。
コッチでも買えるから”いらない”というのに、
”お前好きだろう”といって、食べきれないほど詰めてくる。
”お前がいなくなってから、便器にケツを落とすことがねえなったけど、
この前庄一(母の弟)が来て帰った後、久しぶりに落ちたて・・・”
そう言って大笑いするおふくろの声は元気そうだった。
一緒にいた頃、洋式トイレの便座が上がったままのところへ座っては、
便器に尻を落としていた。
自分がオッチョコチョイのくせに、
”ヒロシ!済んだら蓋を下ろしておけって、
何度言ったらわかんだて!!”そう言って、怒鳴られたものだ。
今ひとり暮らしをするようになって、何故か太り始めたおふくろ。
”あんまり太ると、便器からケツが抜けんようになるっけ、
気ィ付けれや”
「まっ!ブタの母!」
「瞼の母」「番場の忠太郎」「中村錦之助」といっても、
若い人にはわからないでしょう。
昔、庶民の涙を絞った股旅ものです。
わからなくてよいのです。
「瞼の母」⇒「まっ!ブタの母!」がわかればよろしい。
競うように貪り吸う、小ブタたちに乳を与える母ブタの、
幸せそうに、ウットリした表情を見て
「まっ!ブタの母!」って、わざわざ驚いたらトンマです。
ピンポーン!
”ごめんください。わたくし部長さまにお世話になっております、
アブタ・カツマサの母でございます・・・”
姓がアブタで、顔形が色白でふっくらしてるところへ、、
息子の名ががトンカツ政ちゃんみたいな名前でしょ!
思わず「まっ!ブタの母!」って、言いそうになったわよ!
・・で貰っておいていいのコレ?高級な焼豚よ。
参考 「瞼の母」http://www2.kct.ne.jp/~monohito/mabutanohaha.html
「育児なし」
親になる心の準備もないまま、父や母になってしまうケースが多いといわれる。
そんな未熟な親の親が、ろくに面倒を見てくれないとなると、
「育児なし」が増えて、何かと社会問題になる。
一方ではこどものペット化を愛情と勘違いする親。
あるいは保育園任せで、口だけは出す身勝手な親。
最悪、こどもを虐待する親。
「母は泣くとも、子は粗雑」に育ってしまうのも、無理はない。