中学で英語を習い始めて、最初に覚えるギャグ
「Are you は魚?」
これで”フン、くだらん”と小バカにするようでは、
生れついて言葉にたいする感受性がないというしかない。
ユーモアを解する気がないという点で、
人格的欠陥がある、と言っても言いすぎではないだろう。
大多数の生徒はクスッと笑って、
”Yes! 鮎は魚!”と答えるものである。
が、ごく少数だが、これに
”No! I'm not 魚!”(私は魚ではない!)と答える、頓狂なヤツがいる。
このナンセンスに笑えるかどうかが、
どういうギャグ人生を歩むかの、最初の分岐点である。
「性格の Which do you like?」
いったいふたりの人間がいて、ふたつの性格(キャラクター)が
一致するなどということは、有りうるはずがない。
趣味も好みも違うふたりが、それでも愛し合って一緒にいるからには、
常に「Which do you like?」と相手に尋ね、違いを確かめ合い、
譲るところは譲る、受け入れるところは受け入れるという、
普段の努力が大切であろう。
「友情とは90%の軽蔑と10%の尊敬」と喝破した者がいる。
相手を認め、許し、侵害しないルールを守れるかどうかだ。
そこで、言ってはいけない言葉を浴びせ、
突いてはいけない部分をえぐってしまえば、ふたりの関係は破綻する。
「性格の不一致」などは当たり前のことで、別れる理由になるものではない。
「Are'nt You 茂作?」
田舎で与作とか茂作といえば、
作物が豊かに実るように、という願いをこめた、佳き名前なのである。
誰も「お前は茂作か?」などと聞くものなどいるわけもないのである。
その茂作が都会へ出て、英語くらい喋れないと!と
駅前留学をすることにしたのである。
「Are you 茂作?」・・・ Laugh!
「Yes! I am 茂作」・・・ Laugh!
田舎では誇り高き名前を、都会では笑いものにされ、
大いに自尊心を傷つけられたところへ、
「Are'nt You 茂作?」(あなたは茂作さんじゃないですか?)
と畳み掛けられた時、茂作はパニックに陥ったのであった。
アンチュウー・モサク?・・・アンチュウ?・・Are'nt You・・・
習った気がする・・・するが・・・
Yesと答えればいいのか、Noが正解なのか、
自分が茂作なのか、茂作じゃなくなるのかの瀬戸際に立たされたのである。
こうして茂作は、自分が茂作かどうか判らないまま、
暗中模索の都会生活をあきらめ、失意に打ちひしがれて、
Hey Hey Hoooo!! の世界に戻ったのであった。