http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20130126110.html
2013年1月26日(土)08:02
(産経新聞)
政府は25日、民主党政権下の平成22年に策定された「防衛計画の大綱」の凍結と、装備などの調達計画「中期防衛力整備計画」の廃止を閣議決定した。これを受け、小野寺五典防衛相は同省幹部で構成する防衛会議を招集し、新たな大綱の策定を指示した。6月末をめどに中間報告をまとめ、年内に新大綱を策定する。沖縄県の尖閣諸島などでの中国の軍事的脅威に対応するため、即応性の高い防衛態勢の構築を目指す。
小野寺氏は防衛会議で、北朝鮮のミサイル発射や尖閣諸島を含む南西地域の警戒監視、アルジェリア人質事件を挙げ、「防衛力の質・量が各種事態に十分対応できるか検証するため、(陸海空3自衛隊の)統合運用を踏まえた能力評価を実施してほしい。防衛態勢の抜本的な強化に取り組む」と指示した。
これを受け同日、「防衛力の在り方検討委員会」(委員長・江渡聡徳副大臣)も開かれ、具体的な検討に着手した。
政府は自衛隊と米軍の役割分担を定める「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)改定に向けた米国との交渉や、集団的自衛権の行使容認の検討も同時並行で進める。大綱にもこれらの成果を反映させる。
今回、凍結された大綱は、多様な事態へ機動的に対応する「動的防衛力」を基本概念に据え、南西諸島防衛を打ち出したのが特徴だ。新大綱では動的防衛力の基本的な考え方は踏襲しつつ、それを裏打ちするための防衛力整備が焦点になる。
議論のスタート地点になるのは、尖閣諸島への侵攻など脅威シナリオの想定だ。そこから陸海空の防衛力を一元的に整備する「統合防衛戦略」を策定し、必要な装備や運用のあり方を導き出す。
具体的な論点としては、尖閣での中国機の領空侵犯で弱点をさらした警戒監視体制の強化や、人員・装備の迅速な展開を可能にする輸送力の確保、陸上自衛隊の水陸両用機能の強化などがある。
防衛省が25年度予算の概算要求に、米軍の垂直離着陸輸送機オスプレイの導入に向けた調査研究費や、南西諸島で新たな航空拠点を設けるための調査費などを盛り込んだのは、新大綱の先取りといえる。
離島防衛では、平時での海上保安庁や警察とのスムーズな連携のあり方も論点になりそうだ。