日本は大丈夫!?

・社会 ・内政 ・国際 ・経済 ・スポーツ

半導体業界は「選択と集中」必至 ルネサスの今後に注目

2013-01-09 16:31:24 | ウエーブニュース

http://news.goo.ne.jp/article/businessi/business/fbi20130108000.html
2013年1月9日(水)08:21
(フジサンケイビジネスアイ)

半導体業界は「選択と集中」必至 ルネサスの今後に注目 再編の序章か、復活への一里塚か。2013年の半導体業界は国内メーカーの生き残りを懸けた合従連衡とさらなる「選択と集中」が必至の状況で、日本のものづくりの将来にも重要な一年になりそうだ。

 「半導体産業全体の構造改革も大きなテーマだった」。昨年末に、経営再建中の半導体大手ルネサスエレクトロニクスへの出資を決めた官民ファンド、産業革新機構の能見公一社長がこう話すように、今年はルネサス再生の動きを軸に半導体市場の勢力図が変わりそうだ。

 焦点は、デジタル家電やゲーム機などに搭載されるシステムLSI(大規模集積回路)だ。革新機構が描くルネサス再建の戦略は、自動車向けを中心に世界市場で4割のシェアを持つマイコンの専業メーカーに生まれ変わらせること。赤字体質の元凶でもあるシステムLSI事業は分離し、富士通、パナソニックと事業統合させる方向だ。

 その統合の枠組みについて、富士通の山本正已社長は「3社とは言明していない。4社かもしれない」と漏らす。「世界との競争を考えて統合しないといけない」(山本社長)中で、半導体国内トップの東芝が事業統合に加わる可能性も残る。

 東芝は「統合参加を持ちかけられたかはノーコメント」(同社幹部)と表面上はそっけないが、収益が悪化しているシステムLSI事業が経営の悩みの種である点は3社と同じだ。

 同社の半導体事業は、昨年来の市況悪化の影響で、主力の記憶用半導体「NAND型フラッシュメモリー」の生産量を約3割削減する減産が続いている。

 このため、システムLSI事業の統合話以前に、まずは製品開発の絞り込みや、生産の外部委託などでメモリー事業の収益体質を強化し、微細化投資で市況回復時の反転攻勢を狙う構えだ。もっとも、巨額投資を伴う半導体事業は、相応のシェアを獲得できなければ採算を維持できないため、世界的に得意分野への選択と集中の動きが加速している。

 世界半導体市場統計(WSTS)によると、12年の世界の半導体出荷額はパソコンの販売不振などで前年比3.2%減の2899億ドル(約23兆円)にとどまるが、13年はスマートフォン(高機能携帯電話)やタブレット端末向けの牽引(けんいん)で4.5%増の3030億ドルに反転する見込み。メモリー事業の拡大で投資負担が膨らめば、市場がシステムLSIの再編へと東芝の背中を押すことになるかもしれない。

 一方、官主導によるルネサスへの経営支援には業界内に不満がくすぶる。「全日空のような立場になることは到底、歓迎できない」 公的資金の投入で復活した日本航空がライバルの全日本空輸をしのぐ利益を上げていることを念頭に、電機大手のある幹部はルネサスの今後への警戒感をあらわにする。

 ルネサスは、政府保証枠で1.8兆円の投資能力を持つ革新機構が同社の株式の7割弱を取得し、経営権を握る。同社のマイコン技術が、自動車産業など国内の基幹産業の競争力維持に欠かせないとの国の判断と、民間の自助努力で国際競争を勝ち残れなくなった国内半導体産業の凋落(ちょうらく)が背景だ。

 しかし、ルネサスに先んじて国が経営支援したDRAM専業のエルピーダメモリは昨年、会社更生法を申請し、米半導体大手マイクロン・テクノロジー傘下で再出発することになった。政府支援は万能薬ではなく、場合によっては市場の競争環境をゆがめ、企業や事業の新陳代謝を遅らせる副作用をもたらす恐れもある。

 革新機構によるルネサス再生のかじ取りが、選択と集中を通じた国内半導体産業の復活を促すものになるのか、単なるルネサスの“延命”にとどまるのか。今年はその行方を占う年になる。(是永桂一)


最新の画像もっと見る