薬事法改正し規制継続 市販薬ネット販売 政府方針
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20130111083.html
2013年1月11日(金)08:02
(産経新聞)
政府は10日、副作用の危険性が高い一般用医薬品(市販薬)のネット販売を規制するための薬事法改正を、28日召集の通常国会で行う方針を固めた。与党と調整のうえ、議員立法で早期に成立させる。販売規制をめぐっては、薬事法に明記されず、厚生労働省令でネット販売を規制している現状を違法とした2審判決を支持する最高裁判決が11日に下される見通しだ。
田村憲久厚労相らが最高裁判決後の対応を協議した結果、自民党の「総合政策集」で「安全優先の観点から安易な規制緩和は行わない」と明記していることから、判決を尊重しつつも規制を続ける方向で一致。
政府は、薬剤師による対面説明を通じた安全確保を優先するため、省令を撤回した上で同様の規制を薬事法に盛り込む。また、できる限り速やかに改正を実行するため、法案の準備などが迅速にできる議員立法による改正を目指す。
さらに「省令は(訴えを起こした)2業者のみに無効となるが、ほかの業者には効力が及ぶ」との立場を取る方針。同時に規制を緩和した場合の副作用リスクなどの危険性について、省内で検討を進める考えだ。
裁判は販売を規制する省令は違法として「ケンコーコム」(東京都港区)など2社が平成21年5月、国を相手取り訴えを起こしたが22年3月の1審東京地裁判決は「規制は医薬品の適切な使用を確保する」として訴えを退けた。
その後、24年4月の2審東京高裁判決では薬事法にネット販売禁止が明示されておらず、同法がネット販売の一律禁止まで省令に委ねていないと判断。規制を違法と結論づけたため、国が上告した。最高裁が2審の結論変更を見直すときに必要な弁論を開かないため、国側敗訴の2審判決が確定する見込み。
【用語解説】市販薬のネット販売
平成21年の薬事法改正で、医師による処方箋なしに販売できる市販薬が副作用の強さに応じ3種に分類された。具体的ルールを定める省令で毛髪薬や胃薬など副作用が強い第1、2類についてはネット販売を禁じ、薬剤師らによる対面販売を原則とした。現在は、ビタミン剤など低リスクの第3類の薬だけがネット上で売買できる。
医薬品ネット販売解禁へ…最高裁、国の上告棄却
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20130111-567-OYT1T00792.html
2013年1月11日(金)13:48
読売新聞
処方箋なしで買える一般用医薬品(市販薬)のうち、副作用の危険が高い製品のインターネット販売を一律に禁止した厚生労働省令は違法だとして、通販会社2社がネット販売できる権利の確認などを国に求めた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(竹内行夫裁判長)は11日、国側の上告を棄却する判決を言い渡した。
省令の規定を違法・無効とし、2社の販売権を認めた2審・東京高裁判決が確定した。
ネット販売が事実上解禁されることになるため、厚労省は規制について再検討を迫られることになる。
2009年施行の改正薬事法は、市販薬を危険性の高い順に1~3類に区分。厚労省は同法に基づく省令で、1、2類について薬局などでの対面販売を義務づけ、3類を除きネット販売を禁じたため、ネット販売をしていた2社が「過大な規制だ」と提訴した。
10年3月の1審・東京地裁判決は「副作用による健康被害を防ぐ規制には必要性と合理性がある」として訴えを退けたが、東京高裁は昨年4月、「改正薬事法にはネット販売を直接禁止する規定がなく、省令は同法の趣旨の範囲を超えて違法」として、2社の逆転勝訴判決を言い渡していた。