4th day in Tibet(2007.07.12)
(The longest day:最も長い1日)
朝0900時には起きて朝食、久しぶりのイングリッシュブレックファーストに舌鼓を打ち、これからの観光に備える。
初日から激しく動くと、ここラサは3650mの標高に位置するので「高山病」が怖いのだが・・・
それ以上に「払った金がもったいない」
そもそもガイドなど要らないのだが・・・
「金を払った以上は、そして金がもう戻ってこないのなら・・・、精々楽に観光させて貰おうではないか・・・」
ちなみにこれが指定されていた バナクショーホテル。客の大半は「トイレの水を流す」という習慣が無いのが難点、こまめに清掃しているのでタイミングを合わせれば何とか大丈夫だが・・・
写真
そして1000時、泊まってるホテルの敷地内にある、旅行社にコンタクトを取りにいく。
これが戦いの第一ラウンドの火蓋を切ったラサの旅行代理店
中に入ると英語をしゃべる男(ミスターリー。以下リーと省略)が声を掛けてきた・・・
私はツアーを手配した旨を伝え、そして回答を待つ。
意外なことに私がガイドと説明を受けていた男は彼ではなく、席に座っていた英語が話せない男だった!
この男はミスターゼット(以下ゼットと省略)という・・・
ゼットはリーとなにやらやり取りして、そしてこう言ってきた。
「君の為に英語がしゃべれるガイドを3日間つけるのは難しい、200元返すからそれで手を打ってくれ!」
「・・・???」
「・・・!!!」
「・・・俺は・・・旅行社の”嘘”は許さない・・・」
それにたった200元とはどういう了見なのだ??ガイドブックを見る限りガイドの相場は200-300元が一日分だ。
それをたった200元返してチャラにしようとは・・・
そんな事は受け入れるわけにはいかない・・・
「おっおい!!お前ガイド料金の相場は知っているのか?外国人用のガイドでは200-300だろうが・・・、それを3日分キャンセルしてたった200ですませようとするとは・・・舐めてるのか!!!」
瞬間、私の頭は沸騰していた。
レストランのメニューで言ったら「ボイルド・チッキン」と言ってもいいのだろう!
どのくらい私の怒りのボルテージが上がっていたかというと、
例えるなら・・・
例えるなら・・・
「・・・」
ぐらいなものだ!!
えっ?例えろって??
まあいいだろう、例えても例えなくても話の筋には関係の無い話だ・・・
何はともかく抗議を続けると・・・「200元が300元」に上がり・・・そしてキャッシュバックが「2日分の英語ガイドと市内交通」に変わっていく・・・なんでも「ラサを見るなら2日で十分」というのが彼の言い分らしいが・・・
いずれにしてもゴルムドでエヌに確認していた内容とは違っている・・・
それに私の「損失」も馬鹿にならない・・・
私はゼットにエヌの名刺をみせ、彼の携帯を借り、エヌにこう交渉する。
「俺が聞いていたのと実際の条件に開きがありすぎる」
と・・・
そしてゼットと電話を変わり、彼ら同士に話をつけさせることにする。なにやら怒鳴りあった後・・・
ゼットは電話を切る!
「オッオイ・・・!」
私も当然話の帰結を確認する必要があった、しかしもう一度掛けさせろというと・・・
リーを通じてこう返される。
「俺はもうエヌとは話したくない。後はお前が勝手に公衆電話で掛けろ。電話代は安いからな・・・」
「・・・???」
「・・・!!!」
どっか~ん!!!(激怒)
私はいつも公言するように「チキン野郎」を売りにしている・・・
「ファースト・チッキン野郎」とは私の為だけに生まれてきたような言葉だ・・・
しかし・・・しかし・・・
「チキンには・・・・・・戦わねばならぬ時がある!」
例え負け戦でも・・・、私は「いちプロフェッショナル」として・・・
「闘鶏(ファイトチッキン)と化して戦わねばならぬのだ!!」
心は決まった!後は必殺の得意技、「キレタ振り」に中央アフリカで培った「演技力(この辺りは同激闘の記録・第10話街道を行く を参照)」だ!!
私はおもむろに立ち上がり、そして声を大きくし、抑揚をつけてこう喋った・・・
「俺が受けた条件を、何故果たそうとせず、いい加減な条件を出して人に呑ませようとしてるのか???これがお前らの言う仕事とやらか??えっ??常識ってものがあるだろうが!俺はゴルムドで1440元払ってツアーを申し込んでいるんだ!今、お前らの選択は1つだ!今すぐガイドを手配して俺に3日分のツアーをキチンと取らせるようにしろ!何だって俺はわざわざCITSを通じて高い金を払ってまで、ここに来たのか考えてみろ!これがお前らのビジネスか?それとも適当な仕事をやって外国人からぼった繰るのがお前らのやり方か?これが[チャイニーズ・ビジネス]と言う奴か??お前らの仕事の中には恥と言うものは無いのか??」
ゼットが私の言う言葉の全てを理解したとは思えないが・・・「チャイニーズ・ビジネス」と揶揄した時に顔色が変わっていた・・・いい傾向だ・・・これで交渉をうまく持っていける・・・
そしてゼットがリーを通じて私にこう述べてきた。
「分かった、我々は君に関する件を全て放棄する、我々が受け取ったのは500元だからそれを全額君に返す。その代わり君はホテル代から何から全部自分でやってくれ・・・」
「へっ???」
「???」
「オッオイ・・・、あんたら・・・500元しか貰ってなかったのかい・・・」
「そうだ、500元が我々が手にした全てだ。どうするかは君が考えてくれ・・・」
うぅぅぅぅむ・・・これはすこし困ったことになってしまったぞ・・・
500元は無条件に欲しいが・・・私は1440元支払っている・・・
単純に計算すると・・・「940元」が行方不明ということになる・・・もちろんエヌへの仕事料はこの「ミッシング・ナインハンドレッドフォーティー」に入るとしても・・・それにパーミッションてのは幾らなんだ???パーミッション代だけだとしたら940元は法外な値段だろうに・・・
私は回答を一度保留にし、エヌと連絡をとることにする。ゼットには1300時にエヌとコンタクトを取ってその結果次第でそちらの条件を呑むか呑まないかを決めると告げ、そしてオフィスを後にした・・・
一度公衆電話でエヌにコンタクトを取り、彼に対処を要望する。彼は了承し、そして時間が過ぎる。
1245時、ゼットと会う前に再度エヌに確認したら「問題はもう解決した」と言ってきた。「解決した」というのは遅ればせながら午後から「3日分のガイドツアー」になるというのが私の認識だ。
そして1300時、ゼットに再会する・・・
彼の口からは・・・
「状況に変化は無い、彼らから何も連絡を受けていない」
という回答だった・・・
私は即座に決断を下す。
「分かった、俺はこれ以上時間を浪費したくは無い、お前らの言う500を呑んでやる・・・」
そして彼らから500を手にする。これでまずは1段階目だ、そして「パーミッションは俺に返してくれ」と言うと・・・
ゼットは
「パーミッションはツアーに付随するものだ!それにラサに入ってしまえばパーミッションは関係ない、今君は我々のツアーから外れてしまったから許可証を渡すわけにはいかない・・・」
と回答する。
しかし・・・例えツアーをキャンセルしたとして「パーミッション」代として私はお金を払っていた筈だが・・・
ちょっと悩んだが・・・ここでもめて一度手にした500元をもう一度手放そうとは思わなかった・・・
「分かった、あんたらの責任はこれで終わりだ!後は俺がゴルムドとやり取りをする・・・」
そう言ってまた事務所を後にした・・・
これからやる事は決まっている・・・
エヌに散々に苦情を言ってやることだ・・・ここは中国だ!一度失った金が返ってくるなんて甘いことは考えていないが・・・
それでも奴に文句を言って謝らせなければ・・・
しかし、ただ謝らせるだけでは気が済まない・・・
金を請求して、併せて嫌味の一つや二つ・・・いやもっともっと言ってやる。
そもそも奴が「ノープロブレム」等偉そうに言ってくるからこんな目に俺はあっているんだ・・・
外に出て早速公衆電話からエヌに連絡をする。
「オイッ!お前は問題は解決したといったが、状況は何一つ変わってなかったぞ!」
「それに良く聞けよ!こっちの話は終わった!俺は彼らが責任を放棄する代わりに500元手にしたぞ、後は残りの940元の説明をして貰おうか・・・!」
エヌはちょっと間を置いてこう答える。
「状況は解決しなかったのか?それに俺は既にミス・ホー(以下ホーと省略)に君のためのお金を払っている。後はミス・ホーの責任で俺には何も責任が無いから直接彼女に苦情を言ってくれ・・・」
「・・・」
「・・・」
「!!!???」
「ホーって誰????」
これこそまさに「ティー・アイ・シー」だ!
アフリカと・・・何が違う・・・奴が言うには第3者のホーとやらに金を払ったから・・・
奴の責任は無いということだ!
そんなの私の知ったことではない、私の渡したお金はエヌが受け取っている、その金を・・・どう使おうがなんて知ったことではないし”仕事”だけキッチリやってくれればいいはずだ、それにトラブルに会った時・・・なんでこの私がホーなんて見たことも無い知らない相手に電話して苦情を言わなければならないんだ・・・
私は受話器を手にすると自然に怒鳴っていた!
「お前責任と言う言葉を知らないのか?誰だホーってのは、俺はお前に金を払ったんだぜ、それにパーミッションが幾らするか分からないが・・・俺はお前にもキャッシュバックを請求するぞ!だいたい940元もパーミッションにかかるのか??精々400か500ぐらいじゃないのか?パーミッションってのは!!」
エヌも私に合わせるかのようにこう答える
「お前がそう言おうが俺はホーにお前の為の金を既に払っているんだ!俺の責任はお前に書類を渡した段階で終わっているんだ、お前に返す金など無い。それに500元貰ったんだろう。500元もあれば自分でツアーを取ればいいだけだろうが・・・」
「・・・・」
言うに事欠いて・・・・
「お前自分で何を言っているのか分かってるのか!俺はお前からツアーを取ったんだ、結果的にラサがツアーの条件を守れないならそれはお前の責任だろうが!!なんだって俺が自分自身でやらなければいけないんだ!答えろ!!」
エヌも負けてはいない
「条件を守れないのは俺が金を渡したホーとラサの問題だ。繰り返すが俺は関係ないぞ!俺は今忙しいんだ!お前のためだけに働いているわけじゃないんだ・・・もう電話してくるな・・・」
「ああ~ん???」
「オイ。いい加減にしろよ・・・俺はお前のミスで自分の時間を削って抗議しているんだ、お前がうまくやっていたらこんな問題は起きていないんだぞ。だいたい・・・」
「プーップーップー・・・・」
あっあれ・・・電話が・・・電話が・・・切られた・・・・
その後、事務所、モバイルとすぐに掛けなおしたが繋がらず・・・・
「にっ逃げやがった・・・」
まあいい、時間を置いてもう一度掛けてやろう・・・
時刻は既に1400時を回っていた・・・
こんな状況でも私はラサにきた目的は忘れていない、早速「マシーン」と化して観光と今後の手筈を整える。
もちろんCITSと揉めているのは分かっているが・・・そういった感情を殺して「観光機械」と化すことが出来るからこそ「私は旅行界唯一のプロフェッショナル」なのだ!!
まず世界遺産でもあるポタラ宮にいき、明日のチケットの予約(ポタラ宮は前日予約が必要)し、そして歩いて「ノルブリンカ(かつてのダライラマ14世の離宮がある・これも世界遺産」を見学する
これがノルブリンカ、写真はかつてダライラマ14世の離宮であった「タクテン・ミギュ・ポタン」
この清楚なただずまいにこの落ち着いた景観、ダライラマ14世が離宮に使っていただけあって・・・只者ではない。一見の価値ありだろう・・・このプロフェッショナルを唸らせるとは・・・
「・・・・」
「・・・・・・」
其の足で公共バスに乗り、鉄道駅に行って15日の帰りのゴルムド行のチケットを手にして取り合えず、本日の最低目標をクリアーする。
ホテルに戻ってきたのは1730時、まだゴルムドのCITSは開いている筈だし、エヌに対する苦情もまだ終わっていない・・・
早速公衆電話から電話する・・・
エヌが受話器から応答してきた・・・
私は早速、問題を彼にぶつけていく
「お前、俺はお前に幾らかのキャッシュバックを要求させてもらうぞ、俺はここでいま全てを失っているんだ、お前がくれた条件全てが台無しになっているんだ!!責任ある回答をしろよ・・・!!!」
エヌはこう答える
「さっきも言ったろう、俺はホーにお金を払っているんだ、俺の手元にはないんだ、それにお前はラサに行けただろうが、俺は忙しいんだ、邪魔しないでくれ・・・」
「なっなっ何だとう~・・・!!」
「お前が忙しいかどうかなど知ったことか!俺はお前のせいで使いたくない時間まで使ってこんな馬鹿げた電話を掛けているんだ、何で俺から逃げようとするんだ?お前のくそったれた仕事っぷりのせいで俺は完全に被害を受けているんだぜ、パーミッションもラサの代理店が取って俺は持ってないんだぜ、お前の契約はパーミッションと3日ツアーだろうが?俺はここで全部失ったんだ!聞いてるか?」
エヌはまたしてもこう返してくる。
「お前は500キャッシュバックを受けただろうが、それに俺はホーに1200元払っているんだ、なんでお前にキャッシュバックしなければいけないんだ!キャッシュバックする金なんか持ってないぞ!それにお前パーミッションがいくらするのか知っているのか?ラサに行けてキャッシュバックを受ければ十分だろうが・・・!!」
売り言葉に買い言葉だ!こう返す!!
「俺が調べたところパーミッションなんてせいぜいかかって400-600ぐらいだろうが?(実際はこの時にはまだ知りません、大体の検討です)幾らなんでも940もするっていう話は無いはずだぜ、いいか!許可証の値段が正確に幾らしたかなんて知らないが相場ってものがあるだろう、それにお前はツアー不履行の責任は取るべきだぜ、簡単に500俺が手にしたと思っているのか?500手にするのに半日かかって尚且つ俺は全部お前の提案したものを失ったんだ!なんで940元そのままにしておけるんだ!説明しろよ!!」
エヌもある意味まったく引かない
「お前が勝手にパーミッションの値段を言っているだけだろうが!俺はホーにパーミッション代として1200元払ったんだ。お前はガイド代のキャンセル料500元もらったんだろうが、それで十分だろうが・・・、それに俺がお前のためにただで仕事しているとでも思っているのか??俺がしたサービスのお金はもらって当然だろうが・・・!!」
なんだってんだ、コイツの言い草は・・・
「・・・お前・・・サービスってのは何だ?お前の言うサービスってのは俺がラサでトラブルに会うためのサービスってことか?もしお前がお前の言ったことをきちんと履行していれば・・・俺はサンキューと言ってやるのが当然だと思うが・・・お前がお前の電話や時間や俺が支払った料金をどう使おうと俺の知ったことではない。お前はお前のやるべきことを失敗した!分かっているのか?お前は失敗したんだ!だから俺は請求しているんだぜ!!それにホーなんてのは何度も言うが俺には関係ない、お前がお前の失敗をホーに話してホーとやらからキャッシュバックさせて俺に返せば良いだけだろうが!」
「俺はそんなことは出来ない、それに俺はホーに支払ってお前にパーミッションを渡した段階で俺の仕事は終了しているんだ。俺にクレームをつけようとも・・・俺に何が出来るんだ。そんなに言うならお前がホーに話せ・・・」
「・・・!!!」
「・・・・!!!!」
この辺りは・・・私の持っている常識とは違うところだが・・・よし、この手でいこう!!
そして私の交渉テクの一つ、必殺リピート作戦を発動する、どんなテクニックかと言うと、子供の様に単純に同じ一つのことを繰り返し、相手の頭に焼き付けさせるという高等テクだ!
このテクニックの長所は何よりも「頭を使わなくていい」というところにその絶妙さがある・・・
「馬鹿かお前は、俺はお前に金を払ったんだぜ、ホーが誰であろうと知ったことじゃぁない。いいか、よく聞けよ。俺はすべてを失ったんだ。俺はすべてをな!聞いてるか!お前の仕事から・・・俺は何も手に入れちゃいない、すべて失っているんだ・・・、もう一度言う、俺はお前の仕事から・・・何も手に入れてない、それどころか・・・すべてを失ったんだ!!俺は要求するぜ、キャッシュバックしな!」
私の血相に合わせるような形でエヌが怒鳴りながらこう聞いてきた。
「じゃあ、お前は幾らならいいんだ・・・!!」
「少なくとも半分だ!!」
「何で半分だ・・・」
「あっ・・・(考えてなかった)・・・」
「よし、分かった!全部出せ、俺は何も手にしちゃあいない・・・」
電話口から彼の激怒の様子が手に取るように分かった・・・
「お前いい加減にしろよ!何度言ったら分かるんだ、俺はこの件に責任はないのにお前は俺から金を請求している。いいか!お前の為に俺が使う時間はタダか?俺がもしホーと交渉するならそれもタダか??」
きっきた!!私は即答する。
「オフ・コース(勿論)!」
「何でだ!」
「トラブルの原因は俺じゃなくお前の契約不履行だ。お前はお前のミスで”事の始末”をしているだけだ」
私のこの台詞は彼を余計に激昂させたようだ
「お前・・・俺はお前の為にたくさんの時間を使ってきたんだ!俺には責任が無いんだぞ!それでも俺がお前にキャッシュバックするのか?」
「オフ・コース」
「俺はタダでお前の為に仕事をしなければいけないのか?」
「オフ・コース!」
そういう押し問答がしばらく続き、ちょっと間が空いた隙に私は言葉を挟む
「もう一度言うぜ、俺はすべてを失った挙句時間まで今無駄に使ってるんだ、お前のくそったれた仕事のせいでな、いいか、お前は俺が納得する分きちんと支払う義務ってやつがあるんだぜ・・・、いいか!俺はすべてを失った!例え500返ってきたとしても・・・残りの940は納得いく数字じゃないな、分かったら・・・ホーとやらに連絡して俺へ幾ら戻すか相談しな!お前はお前の失敗の責任という奴を取るんだな・・・」
彼は感情を失ってきていたようだった・・・
「ああああ~ん、幾らなら納得するのか?2000出してやれば良いのか??」
「オフ・コース!」
この数字なら・・・納得した上に「サンキュー」に「スマイル」までプレゼントしてやってもいいくらいだ。今まで受けた被害の十分なお釣りがくる・・・
良し!今だ!!!これでぴしゃりと奴に言ってやれば・・・
何か返ってくるかも知れない。
さあ、言うぞ!!
「プッープッープッー・・・・」
「・・・・」
「・・・???」
あっ・・・また逃げられた・・・・いいとこだったのに・・・
その後数度掛けなおしても・・・彼がその日に電話に出ることは無かった・・・
まだ、話はまったく終わっていない・・・
失われた940・・・
彼の今日私に示した態度から・・・
私は一つ、決意を堅くしていた・・・
「覆水盆に返らず、どうせお金は返ってこないだろうが・・・俺に出来る最大限の嫌がらせをしてやる。940元分・・・徹底的に嫌味を言ってやる・・・」
と・・・・・・
ラサのキオスク、ここで毎回電話を・・・、この後も通ったので店のおばちゃん、お姉さんが私が来ると自動的に笑って電話機を指差すようにまでなってしまった・・・
ちなみにこちらは中国のネットカフェ・英語表記していないので・・・気付くのにしばらくかかった
(The longest day:最も長い1日)
朝0900時には起きて朝食、久しぶりのイングリッシュブレックファーストに舌鼓を打ち、これからの観光に備える。
初日から激しく動くと、ここラサは3650mの標高に位置するので「高山病」が怖いのだが・・・
それ以上に「払った金がもったいない」
そもそもガイドなど要らないのだが・・・
「金を払った以上は、そして金がもう戻ってこないのなら・・・、精々楽に観光させて貰おうではないか・・・」
ちなみにこれが指定されていた バナクショーホテル。客の大半は「トイレの水を流す」という習慣が無いのが難点、こまめに清掃しているのでタイミングを合わせれば何とか大丈夫だが・・・
写真
そして1000時、泊まってるホテルの敷地内にある、旅行社にコンタクトを取りにいく。
これが戦いの第一ラウンドの火蓋を切ったラサの旅行代理店
中に入ると英語をしゃべる男(ミスターリー。以下リーと省略)が声を掛けてきた・・・
私はツアーを手配した旨を伝え、そして回答を待つ。
意外なことに私がガイドと説明を受けていた男は彼ではなく、席に座っていた英語が話せない男だった!
この男はミスターゼット(以下ゼットと省略)という・・・
ゼットはリーとなにやらやり取りして、そしてこう言ってきた。
「君の為に英語がしゃべれるガイドを3日間つけるのは難しい、200元返すからそれで手を打ってくれ!」
「・・・???」
「・・・!!!」
「・・・俺は・・・旅行社の”嘘”は許さない・・・」
それにたった200元とはどういう了見なのだ??ガイドブックを見る限りガイドの相場は200-300元が一日分だ。
それをたった200元返してチャラにしようとは・・・
そんな事は受け入れるわけにはいかない・・・
「おっおい!!お前ガイド料金の相場は知っているのか?外国人用のガイドでは200-300だろうが・・・、それを3日分キャンセルしてたった200ですませようとするとは・・・舐めてるのか!!!」
瞬間、私の頭は沸騰していた。
レストランのメニューで言ったら「ボイルド・チッキン」と言ってもいいのだろう!
どのくらい私の怒りのボルテージが上がっていたかというと、
例えるなら・・・
例えるなら・・・
「・・・」
ぐらいなものだ!!
えっ?例えろって??
まあいいだろう、例えても例えなくても話の筋には関係の無い話だ・・・
何はともかく抗議を続けると・・・「200元が300元」に上がり・・・そしてキャッシュバックが「2日分の英語ガイドと市内交通」に変わっていく・・・なんでも「ラサを見るなら2日で十分」というのが彼の言い分らしいが・・・
いずれにしてもゴルムドでエヌに確認していた内容とは違っている・・・
それに私の「損失」も馬鹿にならない・・・
私はゼットにエヌの名刺をみせ、彼の携帯を借り、エヌにこう交渉する。
「俺が聞いていたのと実際の条件に開きがありすぎる」
と・・・
そしてゼットと電話を変わり、彼ら同士に話をつけさせることにする。なにやら怒鳴りあった後・・・
ゼットは電話を切る!
「オッオイ・・・!」
私も当然話の帰結を確認する必要があった、しかしもう一度掛けさせろというと・・・
リーを通じてこう返される。
「俺はもうエヌとは話したくない。後はお前が勝手に公衆電話で掛けろ。電話代は安いからな・・・」
「・・・???」
「・・・!!!」
どっか~ん!!!(激怒)
私はいつも公言するように「チキン野郎」を売りにしている・・・
「ファースト・チッキン野郎」とは私の為だけに生まれてきたような言葉だ・・・
しかし・・・しかし・・・
「チキンには・・・・・・戦わねばならぬ時がある!」
例え負け戦でも・・・、私は「いちプロフェッショナル」として・・・
「闘鶏(ファイトチッキン)と化して戦わねばならぬのだ!!」
心は決まった!後は必殺の得意技、「キレタ振り」に中央アフリカで培った「演技力(この辺りは同激闘の記録・第10話街道を行く を参照)」だ!!
私はおもむろに立ち上がり、そして声を大きくし、抑揚をつけてこう喋った・・・
「俺が受けた条件を、何故果たそうとせず、いい加減な条件を出して人に呑ませようとしてるのか???これがお前らの言う仕事とやらか??えっ??常識ってものがあるだろうが!俺はゴルムドで1440元払ってツアーを申し込んでいるんだ!今、お前らの選択は1つだ!今すぐガイドを手配して俺に3日分のツアーをキチンと取らせるようにしろ!何だって俺はわざわざCITSを通じて高い金を払ってまで、ここに来たのか考えてみろ!これがお前らのビジネスか?それとも適当な仕事をやって外国人からぼった繰るのがお前らのやり方か?これが[チャイニーズ・ビジネス]と言う奴か??お前らの仕事の中には恥と言うものは無いのか??」
ゼットが私の言う言葉の全てを理解したとは思えないが・・・「チャイニーズ・ビジネス」と揶揄した時に顔色が変わっていた・・・いい傾向だ・・・これで交渉をうまく持っていける・・・
そしてゼットがリーを通じて私にこう述べてきた。
「分かった、我々は君に関する件を全て放棄する、我々が受け取ったのは500元だからそれを全額君に返す。その代わり君はホテル代から何から全部自分でやってくれ・・・」
「へっ???」
「???」
「オッオイ・・・、あんたら・・・500元しか貰ってなかったのかい・・・」
「そうだ、500元が我々が手にした全てだ。どうするかは君が考えてくれ・・・」
うぅぅぅぅむ・・・これはすこし困ったことになってしまったぞ・・・
500元は無条件に欲しいが・・・私は1440元支払っている・・・
単純に計算すると・・・「940元」が行方不明ということになる・・・もちろんエヌへの仕事料はこの「ミッシング・ナインハンドレッドフォーティー」に入るとしても・・・それにパーミッションてのは幾らなんだ???パーミッション代だけだとしたら940元は法外な値段だろうに・・・
私は回答を一度保留にし、エヌと連絡をとることにする。ゼットには1300時にエヌとコンタクトを取ってその結果次第でそちらの条件を呑むか呑まないかを決めると告げ、そしてオフィスを後にした・・・
一度公衆電話でエヌにコンタクトを取り、彼に対処を要望する。彼は了承し、そして時間が過ぎる。
1245時、ゼットと会う前に再度エヌに確認したら「問題はもう解決した」と言ってきた。「解決した」というのは遅ればせながら午後から「3日分のガイドツアー」になるというのが私の認識だ。
そして1300時、ゼットに再会する・・・
彼の口からは・・・
「状況に変化は無い、彼らから何も連絡を受けていない」
という回答だった・・・
私は即座に決断を下す。
「分かった、俺はこれ以上時間を浪費したくは無い、お前らの言う500を呑んでやる・・・」
そして彼らから500を手にする。これでまずは1段階目だ、そして「パーミッションは俺に返してくれ」と言うと・・・
ゼットは
「パーミッションはツアーに付随するものだ!それにラサに入ってしまえばパーミッションは関係ない、今君は我々のツアーから外れてしまったから許可証を渡すわけにはいかない・・・」
と回答する。
しかし・・・例えツアーをキャンセルしたとして「パーミッション」代として私はお金を払っていた筈だが・・・
ちょっと悩んだが・・・ここでもめて一度手にした500元をもう一度手放そうとは思わなかった・・・
「分かった、あんたらの責任はこれで終わりだ!後は俺がゴルムドとやり取りをする・・・」
そう言ってまた事務所を後にした・・・
これからやる事は決まっている・・・
エヌに散々に苦情を言ってやることだ・・・ここは中国だ!一度失った金が返ってくるなんて甘いことは考えていないが・・・
それでも奴に文句を言って謝らせなければ・・・
しかし、ただ謝らせるだけでは気が済まない・・・
金を請求して、併せて嫌味の一つや二つ・・・いやもっともっと言ってやる。
そもそも奴が「ノープロブレム」等偉そうに言ってくるからこんな目に俺はあっているんだ・・・
外に出て早速公衆電話からエヌに連絡をする。
「オイッ!お前は問題は解決したといったが、状況は何一つ変わってなかったぞ!」
「それに良く聞けよ!こっちの話は終わった!俺は彼らが責任を放棄する代わりに500元手にしたぞ、後は残りの940元の説明をして貰おうか・・・!」
エヌはちょっと間を置いてこう答える。
「状況は解決しなかったのか?それに俺は既にミス・ホー(以下ホーと省略)に君のためのお金を払っている。後はミス・ホーの責任で俺には何も責任が無いから直接彼女に苦情を言ってくれ・・・」
「・・・」
「・・・」
「!!!???」
「ホーって誰????」
これこそまさに「ティー・アイ・シー」だ!
アフリカと・・・何が違う・・・奴が言うには第3者のホーとやらに金を払ったから・・・
奴の責任は無いということだ!
そんなの私の知ったことではない、私の渡したお金はエヌが受け取っている、その金を・・・どう使おうがなんて知ったことではないし”仕事”だけキッチリやってくれればいいはずだ、それにトラブルに会った時・・・なんでこの私がホーなんて見たことも無い知らない相手に電話して苦情を言わなければならないんだ・・・
私は受話器を手にすると自然に怒鳴っていた!
「お前責任と言う言葉を知らないのか?誰だホーってのは、俺はお前に金を払ったんだぜ、それにパーミッションが幾らするか分からないが・・・俺はお前にもキャッシュバックを請求するぞ!だいたい940元もパーミッションにかかるのか??精々400か500ぐらいじゃないのか?パーミッションってのは!!」
エヌも私に合わせるかのようにこう答える
「お前がそう言おうが俺はホーにお前の為の金を既に払っているんだ!俺の責任はお前に書類を渡した段階で終わっているんだ、お前に返す金など無い。それに500元貰ったんだろう。500元もあれば自分でツアーを取ればいいだけだろうが・・・」
「・・・・」
言うに事欠いて・・・・
「お前自分で何を言っているのか分かってるのか!俺はお前からツアーを取ったんだ、結果的にラサがツアーの条件を守れないならそれはお前の責任だろうが!!なんだって俺が自分自身でやらなければいけないんだ!答えろ!!」
エヌも負けてはいない
「条件を守れないのは俺が金を渡したホーとラサの問題だ。繰り返すが俺は関係ないぞ!俺は今忙しいんだ!お前のためだけに働いているわけじゃないんだ・・・もう電話してくるな・・・」
「ああ~ん???」
「オイ。いい加減にしろよ・・・俺はお前のミスで自分の時間を削って抗議しているんだ、お前がうまくやっていたらこんな問題は起きていないんだぞ。だいたい・・・」
「プーップーップー・・・・」
あっあれ・・・電話が・・・電話が・・・切られた・・・・
その後、事務所、モバイルとすぐに掛けなおしたが繋がらず・・・・
「にっ逃げやがった・・・」
まあいい、時間を置いてもう一度掛けてやろう・・・
時刻は既に1400時を回っていた・・・
こんな状況でも私はラサにきた目的は忘れていない、早速「マシーン」と化して観光と今後の手筈を整える。
もちろんCITSと揉めているのは分かっているが・・・そういった感情を殺して「観光機械」と化すことが出来るからこそ「私は旅行界唯一のプロフェッショナル」なのだ!!
まず世界遺産でもあるポタラ宮にいき、明日のチケットの予約(ポタラ宮は前日予約が必要)し、そして歩いて「ノルブリンカ(かつてのダライラマ14世の離宮がある・これも世界遺産」を見学する
これがノルブリンカ、写真はかつてダライラマ14世の離宮であった「タクテン・ミギュ・ポタン」
この清楚なただずまいにこの落ち着いた景観、ダライラマ14世が離宮に使っていただけあって・・・只者ではない。一見の価値ありだろう・・・このプロフェッショナルを唸らせるとは・・・
「・・・・」
「・・・・・・」
其の足で公共バスに乗り、鉄道駅に行って15日の帰りのゴルムド行のチケットを手にして取り合えず、本日の最低目標をクリアーする。
ホテルに戻ってきたのは1730時、まだゴルムドのCITSは開いている筈だし、エヌに対する苦情もまだ終わっていない・・・
早速公衆電話から電話する・・・
エヌが受話器から応答してきた・・・
私は早速、問題を彼にぶつけていく
「お前、俺はお前に幾らかのキャッシュバックを要求させてもらうぞ、俺はここでいま全てを失っているんだ、お前がくれた条件全てが台無しになっているんだ!!責任ある回答をしろよ・・・!!!」
エヌはこう答える
「さっきも言ったろう、俺はホーにお金を払っているんだ、俺の手元にはないんだ、それにお前はラサに行けただろうが、俺は忙しいんだ、邪魔しないでくれ・・・」
「なっなっ何だとう~・・・!!」
「お前が忙しいかどうかなど知ったことか!俺はお前のせいで使いたくない時間まで使ってこんな馬鹿げた電話を掛けているんだ、何で俺から逃げようとするんだ?お前のくそったれた仕事っぷりのせいで俺は完全に被害を受けているんだぜ、パーミッションもラサの代理店が取って俺は持ってないんだぜ、お前の契約はパーミッションと3日ツアーだろうが?俺はここで全部失ったんだ!聞いてるか?」
エヌはまたしてもこう返してくる。
「お前は500キャッシュバックを受けただろうが、それに俺はホーに1200元払っているんだ、なんでお前にキャッシュバックしなければいけないんだ!キャッシュバックする金なんか持ってないぞ!それにお前パーミッションがいくらするのか知っているのか?ラサに行けてキャッシュバックを受ければ十分だろうが・・・!!」
売り言葉に買い言葉だ!こう返す!!
「俺が調べたところパーミッションなんてせいぜいかかって400-600ぐらいだろうが?(実際はこの時にはまだ知りません、大体の検討です)幾らなんでも940もするっていう話は無いはずだぜ、いいか!許可証の値段が正確に幾らしたかなんて知らないが相場ってものがあるだろう、それにお前はツアー不履行の責任は取るべきだぜ、簡単に500俺が手にしたと思っているのか?500手にするのに半日かかって尚且つ俺は全部お前の提案したものを失ったんだ!なんで940元そのままにしておけるんだ!説明しろよ!!」
エヌもある意味まったく引かない
「お前が勝手にパーミッションの値段を言っているだけだろうが!俺はホーにパーミッション代として1200元払ったんだ。お前はガイド代のキャンセル料500元もらったんだろうが、それで十分だろうが・・・、それに俺がお前のためにただで仕事しているとでも思っているのか??俺がしたサービスのお金はもらって当然だろうが・・・!!」
なんだってんだ、コイツの言い草は・・・
「・・・お前・・・サービスってのは何だ?お前の言うサービスってのは俺がラサでトラブルに会うためのサービスってことか?もしお前がお前の言ったことをきちんと履行していれば・・・俺はサンキューと言ってやるのが当然だと思うが・・・お前がお前の電話や時間や俺が支払った料金をどう使おうと俺の知ったことではない。お前はお前のやるべきことを失敗した!分かっているのか?お前は失敗したんだ!だから俺は請求しているんだぜ!!それにホーなんてのは何度も言うが俺には関係ない、お前がお前の失敗をホーに話してホーとやらからキャッシュバックさせて俺に返せば良いだけだろうが!」
「俺はそんなことは出来ない、それに俺はホーに支払ってお前にパーミッションを渡した段階で俺の仕事は終了しているんだ。俺にクレームをつけようとも・・・俺に何が出来るんだ。そんなに言うならお前がホーに話せ・・・」
「・・・!!!」
「・・・・!!!!」
この辺りは・・・私の持っている常識とは違うところだが・・・よし、この手でいこう!!
そして私の交渉テクの一つ、必殺リピート作戦を発動する、どんなテクニックかと言うと、子供の様に単純に同じ一つのことを繰り返し、相手の頭に焼き付けさせるという高等テクだ!
このテクニックの長所は何よりも「頭を使わなくていい」というところにその絶妙さがある・・・
「馬鹿かお前は、俺はお前に金を払ったんだぜ、ホーが誰であろうと知ったことじゃぁない。いいか、よく聞けよ。俺はすべてを失ったんだ。俺はすべてをな!聞いてるか!お前の仕事から・・・俺は何も手に入れちゃいない、すべて失っているんだ・・・、もう一度言う、俺はお前の仕事から・・・何も手に入れてない、それどころか・・・すべてを失ったんだ!!俺は要求するぜ、キャッシュバックしな!」
私の血相に合わせるような形でエヌが怒鳴りながらこう聞いてきた。
「じゃあ、お前は幾らならいいんだ・・・!!」
「少なくとも半分だ!!」
「何で半分だ・・・」
「あっ・・・(考えてなかった)・・・」
「よし、分かった!全部出せ、俺は何も手にしちゃあいない・・・」
電話口から彼の激怒の様子が手に取るように分かった・・・
「お前いい加減にしろよ!何度言ったら分かるんだ、俺はこの件に責任はないのにお前は俺から金を請求している。いいか!お前の為に俺が使う時間はタダか?俺がもしホーと交渉するならそれもタダか??」
きっきた!!私は即答する。
「オフ・コース(勿論)!」
「何でだ!」
「トラブルの原因は俺じゃなくお前の契約不履行だ。お前はお前のミスで”事の始末”をしているだけだ」
私のこの台詞は彼を余計に激昂させたようだ
「お前・・・俺はお前の為にたくさんの時間を使ってきたんだ!俺には責任が無いんだぞ!それでも俺がお前にキャッシュバックするのか?」
「オフ・コース」
「俺はタダでお前の為に仕事をしなければいけないのか?」
「オフ・コース!」
そういう押し問答がしばらく続き、ちょっと間が空いた隙に私は言葉を挟む
「もう一度言うぜ、俺はすべてを失った挙句時間まで今無駄に使ってるんだ、お前のくそったれた仕事のせいでな、いいか、お前は俺が納得する分きちんと支払う義務ってやつがあるんだぜ・・・、いいか!俺はすべてを失った!例え500返ってきたとしても・・・残りの940は納得いく数字じゃないな、分かったら・・・ホーとやらに連絡して俺へ幾ら戻すか相談しな!お前はお前の失敗の責任という奴を取るんだな・・・」
彼は感情を失ってきていたようだった・・・
「ああああ~ん、幾らなら納得するのか?2000出してやれば良いのか??」
「オフ・コース!」
この数字なら・・・納得した上に「サンキュー」に「スマイル」までプレゼントしてやってもいいくらいだ。今まで受けた被害の十分なお釣りがくる・・・
良し!今だ!!!これでぴしゃりと奴に言ってやれば・・・
何か返ってくるかも知れない。
さあ、言うぞ!!
「プッープッープッー・・・・」
「・・・・」
「・・・???」
あっ・・・また逃げられた・・・・いいとこだったのに・・・
その後数度掛けなおしても・・・彼がその日に電話に出ることは無かった・・・
まだ、話はまったく終わっていない・・・
失われた940・・・
彼の今日私に示した態度から・・・
私は一つ、決意を堅くしていた・・・
「覆水盆に返らず、どうせお金は返ってこないだろうが・・・俺に出来る最大限の嫌がらせをしてやる。940元分・・・徹底的に嫌味を言ってやる・・・」
と・・・・・・
ラサのキオスク、ここで毎回電話を・・・、この後も通ったので店のおばちゃん、お姉さんが私が来ると自動的に笑って電話機を指差すようにまでなってしまった・・・
ちなみにこちらは中国のネットカフェ・英語表記していないので・・・気付くのにしばらくかかった