最終の狂(第4の狂)・廼威繻蛮囚蛇陰(ノイシュバンシュタイン)
その後列車とバスを乗り継ぎ、廼威繻蛮囚蛇陰の麓の町、ホーエンシュバンガウへ到着したのは1930時、夜の帳はすっかりと下りてあたりはもう暗くなっている。
だがこの恐羅大四狂殺の最後の闘はこれから始まるのだ。
相手は南独逸剛学連、櫓慢帝威苦(ロマンティック)街道の総長、廼威繻蛮囚蛇陰城、別名シンデレラ城である。
この大四狂殺最後の相手に相応しい敵だ。
もっとも今の時間帯、その中の観光をするわけではない。廼威繻蛮囚蛇陰城が最も美しく見えるマリエンブリッジからの夜景を撮影する事がこの敵を倒す事になるのだ。
これは翌日昼間に撮影したマリエンブリッジからの廼威繻蛮囚蛇陰城。
これが夜ライトアップに輝く姿を修めてこそ、この大四狂殺は完成する。
下から見上げたこの城はたしかに南独逸剛学連、櫓慢帝威苦街道の総長の貫目というに恥じない敵である。
下から見上げた廼威繻蛮囚蛇陰城
宿を取り、荷物を置いてさっそくマリエンブリッジへ向かう。
儘:『フッフッフ・・・行くぜ、みんな。俺は一人じゃない・・・G、土菓子、鳥丸、お前らも一緒だぜ・・・』
麓の町からこのマリエンブリッジは徒歩で30分ほどかかる。
儘は街灯の無い道を頭につけたヘッドランプだけであるく。
道中で見た麓にあるホーエンシュバンガウ城
ヘッドランプを付けてただ一人山道を歩く姿は実に不審だったのだろう。途中で車で見回りしている警官から職質をうけたが、そんなのはなんてことはない。今は熱い臆病の闘いの真っ最中だ。
しかしそれにしても暗い・・・LEDの白色光のヘッドランプでは足元を見るのが精一杯で道中の景色闇の中である・・・
儘:『フッフッフ・・・どうせ見えねぇのなら・・・』
目を閉じる。
そう、“心眼”。
儘ほどの旅行の達人で臆病の道を極めたのみが成しうる業だ。
儘レベルになると周りの些細な空気の揺れや微かな音から道を判断し、迷い無く歩く事が出来るのだ・・・
『・・・』
『・・・・・』
ゴツッ!!
『イデッ!イデデデデッ!!』
流石にこれは設定に無理があったようだ・・・
しかしそれにしても辛い。
朝の9時に教会で世界一高い塔を登り、それから2都市を観光、きっちりと塔まで登ってきている。往復で3000段以上あった
そして最後は山道を2km以上も・・・
この物語の構成上何人もの人間が分業しながら戦っているように書いているが肉体はたった一つ。
疲労はピークだ・・・
もう足も上がらなくなってきている・・・
儘:『くぅ~・・・俺も最早ここまで・・・んっ??何やら麓から声が聞こえる・・・』
日本ツーリストの生き様は
色無し 恋無し 情無し
旅行の道をひたすらに
歩みて今を魁る
嗚呼臆病塾 臆病意気 己の旅を魁よ
日本ツーリストの魂は
弱く女々しく 情けなく
旅行の夢をひたすらに
求めて今を魁る
嗚呼臆病塾 臆病意気 己の旅を魁よ
嗚呼臆病塾 臆病意気 己の旅を魁よ
嗚呼臆病塾 臆病意気 己の旅を魁よ
儘:『臆病塾塾歌・・・あぁ松田のエールが聞こえる・・・それに秀麻流が上がらずの大団旗を上げる姿も・・・』
儘:『みんな・・・俺に最後の力を貸してくれ・・・』
マリエンブリッジの標識が見える。
儘:『おぉぉぉぉおぉ・・・一号生筆頭、剣儘太郎参る!!』
そして見た景色・・・
『・・・』
『・・・・・・』
儘:『ライトアップが・・・ライトアップがどこにもねぇ(涙)・・・』
ちなみにしつこいですが昼に見る景色はこんな感じです。これのライトアップが見れればどんなに素敵なことだったのでしょうか・・・
ライトアップされてなかったとは言えその夜景を見た事は確かだからこの勝負は相打ちといっていいだろう。
これが漫画なら最後は大将が見事勝利を収めてハッピーエンディングだがここは現実の世界だ・・・
臆病塾一号生筆頭・・・
剣儘太郎・・・
廼威繻蛮囚蛇陰にて散る・・・
玉大人、「死亡確認・・・」