ゴルコサーティーワン!その激闘の記録!

この世界は・・・
”チキン”だけが”生き残る資格”
を持っている・・・

第5話 ハイエナの住む町角 前編

2005-05-20 15:51:00 | 第5話 ハイエナの住む町角
あらすじ:

舞台国タンザニア
 
 首都ダルエスサラームを出発しマラウィへと向かうデューク東城に、しかし鉄道からバスに乗り換える経由地、地方の町ムベヤでは狡猾なハイエナが口を開けて獲物が罠にかかるのを待ち構えていた...


   無事にタンザニアを抜けてマラウィへ到着する事は出来るのか?

        どうする!ゴルコサーティーワン!!


舞台マップ




第1章:タザラ

 タンザニアには有名な鉄道がある。ダルエスサラームを出発しザンビアの地方の町カビリムボシへと伸びるこの鉄道は、その経路上に国立公園を通過しその際に多くの動物を見れる事からも別名サファリ列車の異名を取り、旅行者には大人気の鉄道であった。現地での通称はタザラ(日本ではタンザン鉄道として知られている)と呼ばれていた。

 今回、この私の目的地はマラウィの首都リロングウェにダルエスサラームから出発して行く事であったが、そうなるとこの列車を見逃すわけにはいけない。鉄道はマラウィにこそ延びてはいないものの、ムベヤというタンザニア国内までこの鉄道で行き、そこからバスでマラウィへと向かえば済む事だ。サファリにわざわざ高い料金を払って現地ツアーを取ってまで行く気は無いが移動の途中についでに見れると言うお手軽さは正に「私の今までの旅のスタイルにジャストフィット」したものだろう...

 ただ列車に乗っているだけで動物が見れて写真が撮れおまけに有名なタザラ鉄道に乗ったと自慢まで出来る!

 そう考えて出国計画を緻密に練り上げる。ダルエスサラームには日本人経営の旅行代理店があり、そこの人が教えてくれた事にはタザラには急行と普通の2種類があり動物を見るなら普通列車が丁度いい時間帯に国立公園を通過するのでこちらがお勧めということだ。チケットを駅で購入する。勿論1等だ。4人寝台のコンパートメント、ベッドの指定は無いものの早く言ってベストポジションを確保すればいいだけだ。

 そして私はワクワクしながら出発の日を待つ事となった...



第2章:サファリ最高??

 出発は2005年5月16日、ダルエスサラームで宿泊していたYWCAは中央郵便局傍であり、ここを基点に多くのダラダラ(タンザニアの市内ミニバスの呼称)が走っているので利便な位置にあると言えよう。朝の8時にチェックアウトし、ダラダラ乗場へ向かう。タクシーを使う事も頭によぎったがこのダラダラなら200タンザニアシリング(約20円)なのにタクシーなら交渉によるが5000-10000タンザニアシリング(500円から1000円)かかってしまうので、時間に余裕があったこともありダラダラで行く事を決める。

 タザラ駅に行くダラダラこそ簡単に掴まえたがここからがいけない、直行ルートでなく市内の色々なところに寄り道しながらだったので、タザラ駅に到着したのは0930、出発は1000だったのでダラダラ車内ではずっとドキマキし続けるというなんともゆとりの無い出発となってしまった。

中々精悍な顔付のタザラ鉄道
 

駅や鉄道は中国支援で建設。右のレールの枕木にはこんな文字が・・・
 



 まあでも30分前には到着したので未だ時間はある。チケットを見せて自分のコンパートメントを探し、座席を確保する。取り敢えずは2段ベッドの下、進行方向に向かって座れるベストなポジションを手に入れることができた。

 「よーし待ってろよ!動物たち!!」


 思い通りの席が確保できた事もあいまって気持ちは軽快である。そうこうしてるうちに同じコンパートメントの同乗者がやってくる。私以外の3人はタンザニア人で1等を取るだけあってしっかりとした身なりをしている。タンザニアでは良く長距離バス内での睡眠薬強盗やスリ等が旅行者の問題となっていたが彼らの顔ぶれを見る限りは先ずはこの問題はクリアーだろう。


社内の様子、肝心のコンパートメントは撮り忘れてた。
 



 列車はアフリカのお約束通りに若干は遅れたもののほぼ定刻通りに出発、順調にレールの上を走り始める。私はおもむろに持っている地図を取り出し国立公園の位置を確認する。旅行代理店でも聞いていた事だが午前中は休んで午後1200時から1500時くらいまでの間が尤も動物が見れるポイントを通過する事になるらしい。しかし、それにしてもこのタザラはいい列車だ、それに寝台はアフリカ初である。ベッドこそやや老朽化しているもののジブチで乗った国際列車と比較すると加藤あいと阿藤海ぐらいの開きはあるだろうか?とにかく快適の一言であった。

 時間は十分に余裕があったので始めての寝台で毛布やシーツにくるまって車窓の景色を眺めながら自分の今回の選択の正しさとこの先の実りの多い旅を確信していた...


出発後の景色
 


 時計を見て気がつけば今は1500時、余りの心地良さが眠気を誘ったらしい、慌てて窓の外を眺めてから地図を開く。国立公園は通過したのか?動物を見過ごしてしまったらこの列車をわざわざ取った意味が無くなる。恐る恐る周りの人間に問いかけると彼らは笑顔でこう答えてきた。

 「おー、いっぱい寝てたな。もう動物は終わっちゃったぜ...」

 『え~!!』

 「何見たかなぁ~、ゼブラだろう、アンテロープ、ガゼルやインパラの群れもいたなぁ~、一杯見れたよ」

 『本当にぃ~、でもなんで起こしてくれなかったの!!』

 「いやぁ、お前さんとっても気持ちよさそうに寝てたからなぁ。起こさない事にしたんだよ」

 『・・・あっ!(絶句)』

 やっぱりもう駄目だったらしい。

 しかし外国人、それもいかにも旅行者用のバッグを持って乗っている私を見て彼らは私が動物を見たがっていると考えてくれなかったんだろうか??

 これは親切だったのか?それとも嫌がらせだったのか?

 寝たのは私のミスだがそれにしても冷たい・・・

 わざわざ急行を諦めて普通列車を選んだのも動物を見たいがためだったのにぃ!!(悔)

 しかし彼らは笑顔で「もうメインの所は終わったけど場合によっては象が見れるかも知れないぜ」

 と私を励ましてくれた。

「よーし、アフリカで象は未だ見ていない。これに賭けよう!」

 私はそう言い聞かせ、自分を慰める他は無くなってしまっていた。

夕食に食べたセットにレストラン車
 

車窓から・・・
 

 



 そして日は明け、列車は順調に進む・・・

朝の景色。途中駅
 

 

朝食のセット
 

 



 列車はもういよいよ私の最初の目的地であるムベヤに到着しようとしていた。


 結局昨日国立公園の動物を見逃してから私が発見した動物はインパラ2頭のみ...、今回は完璧な計算に基づいて出発日時を調整し動物ポイントも事前に調べていたのに思う通りには事は運ばないものだ。今回の件は私にとっていい教訓となった

 「サファリ列車に乗るときは動物ポイントで寝てはいけない」

 と...!

 次はこんなヘマはしない、しかし問題は「次」とやらはもうおそらく一生来る事が無い事だが...




 列車は1000時にムベヤに到着、さあマラウィにでも行きましょうか!!


到着したムベヤ駅



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