水月光庵[sui gakko an]

『高学歴ワーキングプア』著者 水月昭道 による運営
※お仕事連絡メールに一両日中の返事がない場合は再送願います

総選挙を高学歴ワーキングプアの立場から考える

2009年07月31日 | 庵主のつぶやき
衆院選、どこの政党を支持するか、大変に難しい問題です。

私たちにとっての関心事は、やはり「仕事」を得られるか、というこの一点にあるはずです。

雇用対策をどれほどきちんとやってくれるか。
各種業界の構造を正確に理解して、個別の対応策を練っていただけるか。
こういうところに注目していきたいところです。

たとえば、「年越し派遣村」では貧困の可視化が行われ、製造業における問題点をあぶりだしたことで、この分野における労働問題の解決に確かな動きが生じています。

業界は全く異なりますが、高等教育界における労働問題についてはどうでしょうか?京大くびきりアイランド(現・くびくびカフェ)に見られるように、この業界は超格差社会になって久しくたちます。しかし、そのことになんらの改善の動きも見えません。大学の専任教員と学生の間に立ち、研究や教育の質の維持に縁の下で支える若手博士や研究員たちは、ほぼ無償のボランティア状態で業務に何年も就き、挙げ句、心身の調子を崩すものが続出しています。

この、高学歴ワーキングプア状態に置かれる人たちは、年をおって増え続けています。

来るべき選挙の後、少しでもこの問題に光りをあててくれそうな政党は、どこでしょうか?(この問題を取り上げてもあまり票にならないので、ほとんど期待はできないかもしれませんが、一縷の望みを託して。。)

これまでのところ、次にあげる3つの政党で若干の動きが見られています。
まずは自民党。

【自民党】
河野太郎議員HP「太郎の主張・政策」

**文部科学省政策棚卸し**

自民党「無駄遣い撲滅プロジェクトチーム」の主催で、昨年、文部科学省の事業における「政策棚卸し」作業が行われています。(2008年8月4、5日)

そのなかで、「キャリアパス多様化促進事業 4億円」について触れた議論では、評定者の全員一致でこれに「No!」、という結果でした。

理由はいろいろありますが、大まかには、「就職など本人、あるいは大学がマネージメントすべきことだ。そもそも本人に問題があるのではないのか。専門ができても社会性がないということではないか、自己責任だろう」というものが多かったように思います。

まあ、けちょんけちょんです。しかし、これは業界の構造上の問題がほとんど見えてないなかでの議論のようにも思えます。はっきりいえることは、展望は見えないだろうな、ということですね。


次に民主党。
参議院議員の広田一氏が、この問題に対して興味を示して下さっているようです。
詳しくは、UTCPの西山さんの下記報告をご参照ください。

参議院議員・広田一氏来訪―高学歴ワーキングプア支援対策の拡充のために

【UTCP 西山雄二】

結論からいくと、ほんのわずかだが希望が持てそう。だが、この党も「無駄遣い」にどれだけ歯止めがかけられるか、ということに燃えてますから、博士キャリア支援が、仕事に就けていない博士の就労支援-つまり、生活保護支給などのようなイメージ-などという風に捉えられると危ないかもしれません。

生活に困窮している博士の多くは、本来ならば給与をもらってしかるべき働きをしているにもかかわらず、構造上の問題で「ただ働き」をさせられているのです。博士キャリア支援などの予算は、この「本来であるならば報酬を手にしてしかるべき博士たち」に、遅ればせながら若干の労働対価が支払われるようになったという意味合いが大きいはずです。これすらも削られれば、アカデミアに残ろうという若手研究者たちはもはやいなくなるでしょう。


最後に共産党。
ここはかなり活発です。

HPでも、下記の記事が大きく扱われています。
石井郁子衆議院議員が提出した「若手研究者の就職難と待遇に関する質問主意書」(2007年12月17日)と政府答弁

3つのなかでは、今のところ一番期待が持てそうです。


さて、選挙ですが、なかなかに悩むところです。
いずれにせよ、投票に行かねば何も始まりません。

大学院生は今や26万人あまりいます。既に修了して、高学歴ワーキングプア状態で苦しんでいる方々は10万人近くいるとも言われています。あわせると、36万票となります。これは、決して小さくはないはずです。自分たちの意思表示をする絶好の機会が到来しているのではないでしょうか。









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装い新たに

2009年07月27日 | 庵主のつぶやき
なかなか梅雨もあけませんね!

大雨等、十分にご注意ください。

夏の高く青い空がとても待ち遠しい今日この頃。

一足早く、本ブログも夏の装いです。


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ちょい古いですが

2009年07月24日 | 庵主のつぶやき

プレジレントロイターの記事

【1】ルポ!「高学歴フリーター、ネットカフェ難民」の財布
 全財産3900円! 毎朝仕事探しをするマジメな43歳を誰がつくった?

               プレジデント 2008年5.5号【野村昌二】

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アカデミア・サバイバル

2009年07月23日 | 庵主のつぶやき
なんとか、あと20ページのところまできました。

ぎりぎり、間に合いそうです。

他、締め切りがあと二本重なっており、汗かきまくってます。

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大学の統廃合で博士問題はますます酷くなるだろう

2009年07月22日 | 庵主のつぶやき

Benesse[教育動向]
大学の統廃合いよいよ本格化へ 中教審が規模縮小を提言 【斎藤剛史】2009/07/06

Benesse の[教育動向]では、非常に質の高い情報が提供されています。
なかでも、今回の「大学の統廃合」については、博士たちにとっても相当にショッキングな内容となっています。

大学院博士課程の定員については、すでに削減の方向が打ち出されましたが、大学の設置数そのものについても、この先、急減していくことが予想されます。

ますます行き場がなくなる博士たちは、一体どうすればよいのでしょう。

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高学歴ワーキングプア続編タイトル 決定しました

2009年07月20日 | 庵主のつぶやき
高学歴ワーキングプア続編タイトルですが、ついに決定しました!
『アカデミア・サバイバル』,水月昭道/著,中公新書ラクレ,2009年9月10日発売予定

どうぞ、お楽しみに。残り、全力を尽くして頑張ります!

年内には、光文社新書からも刊行を予定しております。
こちらも、どうぞよろしくお願い致します。
タイトル等、確定しましたら、一番にココでご報告致します。

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子どもが道草できるまちづくり

2009年07月18日 | 庵主のつぶやき
私の本業である、子どもの発達を支える環境デザイン関連分野の新刊がでました。
今回は4章と6章を担当しました。

まち歩き・道草好きの方、子どもの発達に関心のある方、街路や小径が好きな方に是非、手にとって頂けましたらと存じます。

子どもが道草できるまちづくり~通学路の交通問題を考える~』,仙田満/上岡直見/編

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子どもが道草できるまちづくり
通学路の交通問題を考える

もくじ

はじめに──道を子どもたちに返そう  仙田 満

序 通学路はどんな場なのか  椎名文彦
 1 伝統を受け継ぐ通学路
 2 学校に通じる道
 3 形成力を秘めた道
 4 通学路での子どもの歩き


第Ⅰ部 劣化した通学環境

第1章 クルマ優先社会と通学路  今井博之
 1 なぜ道草ができなくなったのか
 2 モータリゼーションが子どもの命を奪ってきた
 3 子どもが遊べる空間は100分の1に
 4 子どものための「道」

第2章 クルマ社会が子どもにもたらす害  今井博之
 1 大気汚染・騒音・地球温暖化
 2 肥満
 3 子どもの交通事故の現状

第3章 遊びの喪失と発達への影響  今井博之
 1 子どもにとって遊びとは
 2 道遊びの意義─チューリヒ・スタディ
 3 「子どもにやさしい道」の提言
 Column1 デルフト宣言  今井博之

第4章 「安全・安心」フィーバーに巻き込まれる子ども  水月昭道
  1 「安全・安心」のフィーバーとどう向き合うか
 2 監視社会と子どもの行動
 3 岐路に立つ「通学路」


第Ⅱ部 失われつつある「道草」

第5章 子どもの遊びの質の変化  木下 勇
  1 地域の変化と子ども
 2 道草・道と子どもの成長
 3 遊び場の四世代の変化
 4 子ども道・猫道

第6章 現代の道草ウォッチング  水月昭道
 1 ある初夏の日に体験した道草
 2 道草の意義
 3 どんな通学路が「いい道」なのか


第Ⅲ部 社会は通学路をどう扱ってきたか

第7章 学校と通学対策  椎名文彦
  1 事故防止を抱えた道
 2 通学対策が内包する課題
 3 通学対策の要件
 4 通学路の再生は脱クルマから

第8章 交通教育と交通施設による安全確保  久保健太
 1 「安全」を確保しなければならない場としての「通学」路
 2 「教育」による交通事故防止の時代
 3 「施設」による交通事故防止の時代
 4 「道路分化」による交通事故防止と道草の復活
 Column2 交通「事件」被害者の経験から  佐藤清志

第9章 これまでに行われてきた面的対策  寺内義典
  1 面的対策の経緯とこれから
 2 欧米における面的な交通安全対策
 3 日本における面的な交通安全対策
 4 面的な交通安全対策の成果と課題
 Column3 偽の「青」信号─分離信号の必要性  佐藤清志

第10章 クルマ依存社会からの脱却  谷口綾子
  1 モビリティ・マネジメントの取り組み
 2 学校教育におけるモビリティ・マネジメント


第Ⅳ部  通学路を子どもの手に

第11章 子どもの参画で子どもにやさしいまちづくりを  木下 勇
 1 子ども参画の重要性
 2 子どもにやさしい都市
 3 子ども参画のまちづくり
 4 子どもが動いて地域が変わる
 Column4 自動車内における子どもの受動喫煙問題と喫煙運転の危険性  鈴木一之

第12章 アクションプラン──提言と実践  木下 勇、久保健太、椎名文彦
 1 アクションプランへの提言
 2 学校から遊び場を広げる
 3 「道路分化」への展望
 4 各地の実践例

 おわりに─シンポジウムを開催するまで  足立礼子
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高学歴ワーキングプア_続編情報

2009年07月17日 | 庵主のつぶやき
高学歴ワーキングプアの続編2冊のうち1冊は、中公新書ラクレから9月10日刊行の予定となりました。タイトルは、もう少しお待ち下さい。現在、ラストスパート中です。果たして間に合うか、かなりドキドキしてます。

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新刊タイトル

2009年07月15日 | 庵主のつぶやき
秋口をめどに、高学歴ワーキングプアの続編が2冊連続で刊行される予定ですが、その内の1冊について、今週中にタイトルを発表できそうです。

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博士の就職支援 いろいろ

2009年07月13日 | 庵主のつぶやき

産学官の道しるべ


NPOが若手研究者の就職支援
京で知的人材ネットワーク発足
 (京都新聞 2009/03/03)


知的人材ネットワーク あいんしゅたいん


D・F・S

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