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第895回 「定時巡回・随時対応型訪問介護看護」に対する不安と現場の強み

2011-07-12 00:49:46 | 介護保険制度
CBニュース~訪問介護、生き残りに保険外サービスも- 訪問介護協議会・荒井会長が提案

段々「定時巡回・随時対応型訪問介護看護」の具体的な運用方法や介護報酬の目安などの情報が
流れてくるようになってきた。
上記ニュースのには

厚生労働省老健局振興課の岸英二・基準第一係長を交えたシンポジウムが行われた。
岸係長は「個人的意見」と前置きした上で、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスが、
訪問介護に求められるニーズに対応し切る可能性は極めて高い」と述べ、
利用者が両サービスを同時に利用できない可能性を示唆した。

ん?
「定時巡回・随時対応型訪問介護看護」を利用すれば、訪問介護は利用できない?
これは、問題だ。

要介護度の重い方だって、通院等の外出が必要となる場合がある。
通院介助の場合は、移動だけでなく、院内の介助も、
実際は、訪問介護事業所が連続して担うことが多く、
時に、数時間を要することがある。

そのサービスを「定時巡回・随時対応型訪問介護看護」は担うことはできるのか?

他にも、私が実際に要介護度の重い方にサービスを組む場合は、
オムツ交換だけ、食事介助だけ、といった、単発の行為だけを組むことはなく、
オムツ交換~食事介助~片付けと、60~120分で連続して組む場合が多い。

重度の方の場合、食事介助だけでも、30~40分とかかる場合が多く、
前後の準備、片付けを含めると、60分程度は必要となる。
清拭や入浴介助も、概ね60分のサービスを組む。

これらのことを「定時巡回・随時対応型訪問介護看護」だけで、担うことができるというのか?

また介護だけでく、看護も同様だ。
介護度が重くなると、医療的なケアや処置を必要とされることも多い。
それを「定時巡回・随時対応型訪問介護看護」で担うことができるのか?

医療処置も、単独でない場合もある。
訪問して、バイタルサインをチェックし、家族や連絡ノートをみて、インターバル期間中の情報を得、
その日の看護を組み立てる。
胃ろう、バルン、在宅酸素、褥瘡管理。
これらの管理や処置を行おうと思うと、60分でも、かなりキツイ。
利用者によっては、ポートやCAPDといった医療機器を扱わなくてはいけない場合もあり、
諸々、確認しながら看護を提供しようと思うと、それなりに時間がかかる。

また、ターミナル期では、頻回な訪問や、本人や家族へのメンタル的なケアに、
時間が必要になり、頻回な訪問や、適時の医師との連絡調整も必要になってくる。

中重度者の在宅生活に重点を置いた新制度、がうたい文句の
「定時巡回・随時対応型訪問介護看護」だが、
中重度ということは、それだけ、病状や介護状態も、日々変化し、
ケアの現場、即ち、在宅において、適切に判断され、ケアが実施されることが求められるのだ。
そして、それは、日々の関わりの中で、
その利用者へ、その家族にあった形で提供されていくものであり、
そのプロセスが、在宅ケアにおけるエネルギーとなっていく、ともいえるのだ。

いったい、厚労省は、
中重度者の生活を、どのように想定しているのだろうか?
想定外の想定を行い、そこにまで「定時巡回・随時対応型訪問介護看護」が対応することができる
というビジョンが、描けているのだろうか?

正直、私には、信じがたい。

                

先のCBSニュースを読み、「マズイ!」と思っていたところに、
ある介護者さんから電話が入った。
その介護者さんの、極々近い身内の方が息を引き取られた、というのだ。
家には、要介護5の、ほぼ寝たきりの悪性疾患の方を置いてきた。
そろそろ、お昼の時間だが、食事を食べさせていない。午後からは、訪問看護師が来られる予定だが、
どうすればいいか?と、連絡をもらった。

すぐに、訪問介護事業所に、オムツ交換・食事介助で、サービスを依頼。
こういうときに対応出来るよう、訪問介護にも「緊急時訪問介護加算」というものがある。
(H21年4月よりできた加算、24時間以内の依頼、身体介護、利用者や家族からの直接の依頼など、
 いくつかの条件あり)
訪問介護事業所より、対応可の連絡が入り、
訪問時に必要な鍵の開閉には、大家さんが立ち会ってくださることになった。

訪問介護に60分のサービスにはいってもらうと、
定時て13時45分から活動を予定している訪問看護とダブってします。
すると、訪問看護師は、この利用者さんの後に訪問させていただく利用者さんに
訪問の順番を変更することをお願いして、15時頃から訪問してくださることになった。

訪問看護師さんには、排便コントロール等をお願いしているため、
食直後の訪問では、ご本人も落ち着かないだろうし、
介護保険制度上、複数のサービスが同時刻に訪問することは、原則、認められていないため、
時間の調整を行うということは、他の利用者さんも巻き込むことになってしまい、
申し訳無いことではあるが、在宅では、往々にして、あることでもある。

日頃からの医療機関、訪問看護と連携を図り、医療的な面に対し、いや、介護においても、
★日中にケアできることは日中に対応。
★夜間に想定できることは、想定し、その対応を日中にケアしておく
★月~金にケアできることは月~金に対応
★週末に想定できることは、想定し、その対処を月~金にしておく、
など、
日頃の診察、看護、ケアをきちんと施しておけば、
そうそう、夜間・週末に慌てて対応しなければならないことはないのだ。

それは、夜間や週末に、不測な事態を起こさないよう、日中の日々のケアを確実に行っておくことであり、
それをしておいても、夜間や週末に不測な事態を起こしても、
決して慌てることなく、対応することが可能なのだ。

このような調整は、介護保険制度開始前から、在宅ケアの現場では、日常的に行ってきた。
必要な利用者には、巡回型訪問介護サービスも、必要な時間帯に、必要なケアを調整し、対応してきた。

               

段々と明らかになる「定時巡回・随時対応型訪問介護看護」に対し、
今までに経験してきた、在宅ケアにおける対応方法とを、想定して、考えてみる。
これができるのが、現場の強みだ。


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4 コメント

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結局考えているのは、 (こぶた部屋の住人)
2011-07-12 23:53:28
現場の人間ではなく、新しいプロジェクトをぶち上げて、形だけでもモノにしたいお役人です。
どうせ鳴り物入りで初めて、はじめは高い報酬を付けても、1年ぐらいでどーんと引き下げられるのは落ち。常套手段です。
介護保険で皆、嫌と言うほど煮え湯を飲まされましたよね。

それでも、グループ系の会社では、手上げしているところもあるようなので、開始当初にそこに持っていかれることもあるので、きちんと意見は上げていかないとまずいですよね。

これって、ケアマネさんで知らない人も多いのですが、利用する訪問介護・介護事業所以外のケアマネじゃないとプランたてられないのですよ。
自分の事業所のの専任ケアマネと、お仕事ができません。
じゃ、今いるケアマネはどうするの??
その他の仕事をするの?

実は大ぴらに言っていない内容が随分あるのじゃないかと、疑ってしまいます。

短時間で出来るような、処置の宅配便みたいな仕事はしたくないですね。
返信する
情報源は? (どりーむ)
2011-07-13 07:11:50
こぶた部屋の住人様、コメントをありがとうございます。

>これって、ケアマネさんで知らない人も多いのですが、利用する訪問介護・介護事業所以外のケアマネじゃないとプランたてられないのですよ。

これは、どこからの情報ですか?
本当なら、相当な問題です。

つまり、
「定時巡回・随時対応型訪問介護看護」を利用する場合は、
居宅介護支援事業所を変更しなさい、
ということですよね。

しかし、このサービスに、必ずしも居宅介護支援の併設の義務づけはないのでは?と思っていましたが・・・。
もしかして、このサービスを利用する際の
「共同マネジメント」とか、
実際にどの時間に定時巡回するかは、事業所主導、ということと、
混同された情報ではないでしょうか?

情報源がわかれば、是非、教えてください。
お願いします。
返信する
ごめんなさい。 (こぶた部屋の住人)
2011-07-14 00:11:57
情報源は、言っていいのかどうかわかりませんし、そのことで周囲に迷惑がかかるとまずいのでご了解ください。

でも、ケアマネさん向けの説明会等ありましたら、ぜひ聴いてみてください。
言わないわけにはいかないと思います。
返信する
連絡 (どりーむ)
2011-07-14 07:48:34
こぶた部屋の住人様

貴blogより、メッセージを送らせていただきました。
ご確認をお願いします。
返信する