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第990回 先回りの支援~小さな予後予測の積み重ね

2011-10-15 00:46:19 | 介護支援専門員
高齢者の支援が殆どの、介護支援専門員業務。
高齢者の場合、いつも、何かしらの疾患と隣り合わせ、ということも
避けては通れない。

だとすれば、やっぱり、ある程度、押さえるべき医療的な知識はあるだろう。
ただ、まだ、そこがどこなのかははっきりしていない。
介護支援専門員実務研修受講時に、保健医療問題が出題される。
それを全部覚えれば・・・という考えもできるが、
それ以上に、覚えた知識をどう使うかを教えられていないので、
結局は宝の持ち腐れ。
使われない知識は、段々と忘れ去られ、試験のための勉強となってしまい、
「覚えるのが苦痛」
「こんなにたくさんあって、何を覚えればいいの?」となってしまう。

                

今日の事務所での会話。

4年目のケアマネが担当。
認知症があり、訴えは曖昧な女性。
「何だが、下腹の方が不快らしいのよ」
「医者には通っていて、膀胱炎じゃないか、と言われていて、お薬は飲んでるみたい」
「熱はないようなんだけど、データがスッキリしないみたい」
「もう少し、身体がスッキリするまで、デイサービスは休みます」

そんな情報を持ってきた。

ケアマネジャーが支援する上でも「予後予測」は大事だ。
そうしなければ、支援が後手後手に回る。
後手後手に回れば、本人、家族も慌てなければならないこともあるし、
ケアマネジャーも、時には「振り回させる」といった感覚になってしまうこともある。

おそらく、私だったらこんなふうに考えたり、情報をとったりする。

「何だが、下腹の方が不快らしいのよ」
 →膀胱炎の症状である排尿時痛の訴えを上手く伝えられないのかな?

「医者には通っていて、膀胱炎じゃないか、と言われていて、お薬は飲んでるみたい」
 →薬名の確認は必須だろうな。
  薬そのものの名前はわからなくても、「抗生剤と言われましたか?」とか「熱冷まし?」とかでもいいかもしれない。

「熱はないようなんだけど、データがスッキリしないみたい」
 →高齢者の場合、顕著な症状が出にくい場合もある。とすれば、検査データの確認は大事だ。
 「血液検査はしましたか?」ときいて、CRPや白血球数の上昇があるかなどを聞いてみる。
  家族が、具体的には聞いていない、ということもあるかもしれない。
  その時は、医師とのコミュニケーションを促す意味でも、
  CRPや白血球数は聞いてきてほしい、と依頼する。
  だって、自分や自分の親の身体や治療に関わることなのだから、
  何でも医師にお任せではなく「具体的に」医師に説明をもとめ、理解するためには、
  大事なことだろう。

と、ケアマネジャーだって、このあたりのデータを知る事は、
何ら、聞きすぎることでも何でもないと思う。
もちろん、これらを元に診断するのは医師である。そ
ケアマネジャーはそれらのデータを元に、生活に与える影響を予測する。

抗生剤を飲んでいるにもかかわらず、症状が改善しない。
何か、他の病気もあるのかな?
とすれば、しっかりと、症状を観察し、受診を継続できるよう、働きかけなくてはいけない。

抗生剤を処方されているなら、食欲はどうだろう?
抗生剤を飲むことで、消化器症状はでてこないだろうか?
ましてや、自分の症状を適切に伝えることができない、認知症の利用者さんだ。
他覚的に確認できることは、していく必要がある。
ましてや、家族は、本人が直接訴える下腹の不快感に、意識が行きがちで、
他の症状を見落としてしまうかもしてない。

今まで通っていたデイサービスを休み、家の中での生活が中心だと、
少なからず、足腰の力が弱ってしまうかもしれない。
体調が回復し、さぁ、サービス再開!となったときに、足下が不安定になり、転倒してしまう、
なんていうことになったら、困ってしまう。
病状が回復したとき、身体的な機能がどの程度変化するだろうか、
といったことも気になる。
万が一、長引くようなことがあれば、サービスのありようも変えなくてはならない。


                

等々、ほんの少しの情報でも
それらの質をよくすることで、予後についても、よりいろいろなことを考えることができる。
ケアプランの作成時に「予後予測」というと、とてつもない、これからの生活設計のことのように思うが、
ケアマネジャーの行う生活支援は、
このような小さな予後予測の積み重ねなのかもしれない。

予後予測の幅を広げるためにも、押さえるべき医学的な知識は持つべきだろう。
そこがどこなのか?
実務研修試験のためとは別に、考えて行かなくてはいけないだろうな・・・と思う
今日この頃だ。





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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2011-10-15 07:41:41
こんにちは。お久し振りです。

<<実務研修試験のためとは別に、考えて行かなくてはいけないだろうな・・・と思う

ケアマネ業務は、利用者様の環境を含めた生活の流れを把握し、そこに体調不良が無いか?訪問介護などからの情報を集めて、速攻に対応が求められますね。近くで拝見していて、医学的に知識も必要だし、大変な仕事です。ただ、それだけに、利用者様は頼りにしているのだと思います。

あるお宅で、利用者様が横っ腹の強い痛みの訴えが有る。湿布薬のかぶれか?皮膚もただれている。
ヘルパーさん介助にて整形外科へ通院しました。
湿布薬ではなく、痛みを和らげる塗り薬が処方される。
戻られて、安静にされていたのですが、
翌日は訪問看護師の日、その看護師から「帯状ヘルペスでは?」と情報がケアマネに入る。

また、翌日、家族対応で内科に通院。
案の定、帯状ヘルペスでした。
この在宅介護の連携は、凄いと思いました。
それから、整形外科のドクターには
皮膚のただれを看て、帯状ヘルペスと分からなかったのだろうか?

返信する
誰だろう? (どりーむ)
2011-10-15 08:36:59
コメントをありがとうございます。
でも、誰だろう
(文面を読んでも推測できず、すみません)

コメントに頂いたようなことって、
少なからずありますね。
決して、医師を否定するわけではないですが、
医師がいったこと=全て正解、
ではないですね。

だからこそ、日頃の観察が大事だし、
まず「正常」を知る事が大事なのだと思います。

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Unknown (さはら)
2011-10-15 22:16:42
こんばんは。

実は、昨日居宅の新規ケースで初訪問をしたのですが(ご存知のように完全に居宅のケアマネにもなりまして)…偶然今回どりーむさんのお書きになったような思考で、面談を進めていたことに驚いてしまいました。


たぶんこのブログでの学びが、知らず知らずの間にココロと体に染み込んでいったのでしょうね。ありがとうございます。


さらに、小生が研究を手がけているリシリエンシー(リジリアンス)の思考を応用し、危険要因を突き止め、保護要因に変容させるよう、きちんとアセスメントすることにも心がけようと思っております。


感謝!
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そんな、そんな(^^ゞ (どりーむ)
2011-10-15 23:42:41
さはら様、コメントをありがとうございます。

そんなふうに言っていただき、
嬉しい限りですが、
さはらさんの場合は、
もう、充分に、ご自分なりの面接のスタイルを
作り上げていらっしゃることと思います。

生活支援において、リスクをしることは、
決して、制限を増やすことではないですね。
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ご無沙汰しています。 (こぶた部屋の住人)
2011-10-16 12:55:24
予後予測、とても重要な問題ですね。

しかし、身体状況からの予後予測は、一般的にはなかなか難しいのが現状でしょうね。
ドリームさんは、看護職だったのでするっと予測できることも、医療職でない方には、なかなか難しいことではないでしょうか・・。
看護学校での目いっぱいのカリキュラムに、臨床経験があってこその問題抽出やアセスメントが、ケアマネ研修だけではとても難しいと思うのです。
これは、ドリームさんの言う通り、別枠での研修と言う事になりますね。
であれば、在宅で予測される病状や経過を、看護職のケアマネが伝えていく必要があると思ういます。
ただ、怖いのは、聞きかじりで自己判断して、ご利用者さんを違う方向に誘導してしまう事です。
アセスメントの結果立てた予後予測や対応方法は、出来るだけ医療関係者と確認することも必要だと思うのです。
コメントの方の、ヘルペスの件にしても、訪問看護が入っていたから早期に発見でしたわけですし、ヘルペスひとつとっても、頭部の中から眼瞼まで出来ることもあり、知らなければ見過ごすことはいっぱいありますし・・。
中途半端な判断が、重篤な結果を招いてしまうリスクもあり、出来ることなら、いつでも相談が出来る訪問看護師(訪問看護が入っていなくても)との連携関係を強化してほしいなと思ってしまいます。
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予後予測 (どりーむ)
2011-10-16 16:18:07
こぶた部屋の住人様、コメントをありがとうございます。

医療職が行う予後予測と
介護支援専門員が、介護支援専門員として行う予後予測。
それは、かならずしも一緒ではないはずです。

色々な資格がベースになった介護支援専門員。
お互いの得意な分野についてを情報共有し、
介護支援専門員としての底上げが図られることを、
私も望んでいます。
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