落書き帳

あまり触れられないことに触れる
内容は備忘録のため、誤解等含め随時改変

エンジン技術_6 燃費の目玉 過去の総括(~2010)

2014年03月16日 | エンジン・自動車

BSFCマップは「変わり映えしない」のが通例で、傍観者が数年間覗き見を続けた程度では変化を観測できなかった。

スッパリ中断した「独自研究」を再開する。

 

 

自術会20074677 

3.5L  Φ94×83mm  ε=11.8 DI+PFI  吸排VVT

吊るしPFI(可変動弁無し)と比べると、BEMPは最大2割アップで、

・ 目玉の中心が2300rpmぐらいで、低回転にずれている。

・ 昔は240g/kWhを拝むことが極めて珍しかったが、ピンポイント230g/kWhがある。

・ 高回転増量開始rpmが4600rpmぐらい。昔は4000rpmに届くのは珍品レベル。

 

高回転以外の増量域は、全開トルク×0.95 で引いている。0.95は「まあこんなもの」

無過給圧縮比フツウなら、低中回転の高負荷は数%トルクを上げるため以外に増量する理由はない。

1/2スロットル以上では低中回転の空気量感度は≒0 エンジン技術_8 アクセル開度~エンジントルクマップ作成

なので、マトモなカイシャのマトモなエンジンは低中回転は例えば6/8スロットル(アクセル)以上だけ増量する。昔は低回転でも全負荷はるか手前から増量がフツウ。

 

この【数%】は感知できるかは微妙と言っておく。

上の例では、アクセル6/8を境に空気量一定のまま噴射量(と点火時期)が切り替わって数%の段差が付くじゃねえか?トルクの絶対値が大きく%としては小さいので、登り坂でHighギヤを保持してここを往復させても「段差」「ショック」としては感知できない。

 

オマケ

「ハイオク指定にレギュラー入れて大丈夫?」

壊れる壊れないは一切触れず「性能」に限定する。

MBT不可ゾーンがどの辺にあるかを見れば察しはつく。無過給圧縮比フツウなら、ハイオク指定レギュラー指定問わず大体↑のあたりがMBT不可。ハイオク指定にレギュラーを入れるとMBT不可領域が低負荷側に移る=低負荷以外はレギュラーではノッキングする→ノック判定で点火時期リタード、排気温度が上がりすぎる領域は更に燃料リッチにする。どの程度軽負荷側にMBT不可領域が移るかは個別問題になるが、一例として1/2負荷以下がレギュラーのMBT可領域とする。「1/2負荷」は「1/2アクセル」に非ず。

エンジン技術_8 アクセル開度~エンジントルクマップ作成

この低負荷域「だけ」で運転するなら無問題でレギュラーが使用できるが、実行するにはブースト計等で負荷のモニターが必須で、やってみればわかるが実行はまず不可能。特にATCVT。「頻度」の話ではなく一瞬でも中負荷以上を使うな!

客の立場で言えば「無過給のハイオク指定はやめてくれ」

無過給圧縮比フツウならエンジン性能差は微小。無過給でハイオク化(圧縮比アップ)したところでわずかなエンジン性能差しかつかない。

ハイオクにすると圧縮比を上げてくるが燃料代の差を取り返すのは圧縮比だけでは不可能。レギュラー仕様ハイオク仕様、各々圧縮比は馬鹿ageではないフツウに選定し(目玉~λ=1の全負荷燃費率悪化が数%)、レギュラー仕様のトルク落ち分は排気量アップで動力性能を揃える。更にハイオクレギュラーの比重差まで考慮する。この比較方法でも燃料代の差を取り返すのは無理。

過給機付なら→「やめておけ」 無鉛ハイオク販売開始が1987年で、各社ターボエンジンは一斉にハイオク指定となった。この時、セッティング変更程度で約2割パワーアップ=性能差がメチャある。

無過給なら→モノ(圧縮比)による。ツールは自腹でモニターする覚悟があるならやってみたら?リタードロス+増量ロスで燃料代で負ける可能性大。タダ同然の汎用ツールではモニターは無理で、ツール代¥◎◎△△△△は回収不可能。

まとめ

ハイオク入手不可以外は止める+10円/L節約したければハイオク指定車は買わない。

技術的に正しいのは、欧州車の95RON指定にハイオクレギュラーを半々で入れること。ガソリン自体が各種炭化水素の混合物。

 

λ<1でトルクが増える理由を簡潔的確に説明するのは実は難事で、(フツウはλ=0.8~0.85あたりでピーク)

・燃料発熱量 (等空気量で、λを1から下げていくと、化学平衡式と燃焼反応式上は発熱量は単調減少)

・排ガス総モル数 (↑で、単調増加)

だけでは説明できない。

注:「化学平衡式」「燃焼反応式」は、最大限単純化した総括反応のそれを指す 途中のヤヤコシイ反応、いずれは消える中間生成物等一切考慮しない

1 熱解離   長尾不二夫 内燃機関講義 p25~31 p68~70 p168~173  参照

2 層流燃焼速度

あたりが主因子のようではある。

λ<1でのトルク増加は、〇〇では3%だ、いや8%だ、この種の話がお好きな方は多いようだが、当方は興味なし。リキは出るが増量%以上にリキが出ることは絶対になく、燃費率は必ず悪化する。

λ<1側でトルクが最大になる理由を、

「混合の不完全さ」

に求める考えもあったようだが否定する。気体燃料を完全予混合(と思われる)状態で供給しても、リッチ側でトルクピークが出ることに変わりはなし、をどこかで見たような・・・端的に言うと

混合を「メチャ悪にして」リキを出なくすることはできる(HCの桁違いの大量排出等)はできるが、混合をより「完全」にして、リキがより出るようにすることはできない。PFI市販エンジンに「予混合妄想」を付加しても、HCが少々減る程度で「より良い燃焼」になって余計にリキが出るようなことはない。

 

トレース(trace 微弱)ノック点火時期の絶対値は、λを1から下げても劇的に進むわけではない。何度進むか?無過給圧縮比フツウならせいぜい0~1~2°。点火時期の絶対値は進まなくても、λを1から下げていくと燃焼速度が上がるので(λ=0.85あたりでピーク)、仮想MBTに近づく(仮想MBTトルクからの落ち代が減る)ことに注意、と書いたがこのへんの定量的解析は見たことがない。

セッティングの観点ではなく効率の観点からは点火時期の絶対値はある意味どうでもよく(とは言ってもATDC設定は論外)、耐ノック性を云々する場合は、

「仮想MBTトルク(仮想超高オクタン価燃料使用)」に対して、「どれだけトルクダウンしているか」をガン見すべしで、点火時期絶対値だけを見るのは的外れ。燃焼速度が遅くなると点火時期絶対値は進むが「耐ノック性が良い」と言ったらバカ。全体像は実験データを外挿する。吸入空気量に対し、MBT領域はトルクが一直線になるが、MBT不可になると直線からどんどん離れる。

ATDC設定は論外と言ったが、圧縮比フツウのエンジンでも800rpm全開とかはATDC設定がフツウ。大昔の車は5速30km/h全開走行はエンジンノッキング+こもり音で不可能だったが、今はフツウに使える。好き勝手な点火時期が設定できるようになったから。機械式(ガバナー~ブースト)ではマップ的に好き勝手な設定はできない。

 

ATDCでMBT?(トレースノックではない) 自技会20114607

4弁エンジンでスキッシュ面積を変えた例 スキッシュ面積90%はdP/dθが大きすぎて燃焼騒音発生

90%はMBTが取れているのに80%よりもトルクが低いことに注目

スキッシュクリアランス

むかしむかし、某社某ガソリンエンジンのピストンコンプレッションハイトを測ると、ブロック上面から0.数mm出る設計になっていた。ヘッドガスケットはメタル化前で、厚さ1.なにがしmm。スキッシュクリアランスは0.数mmだった。ディーゼルではこのへんの調整は常識のようだが、ガソリン屋は何もしないのがフツウでは?

 

ガソリンエンジンスキッシュオバケの元祖

SAE paper 790386  ファイアーボール燃焼室 ググればhit

 

ファイアーボール燃焼室のコピー研究

自技会885157 吸気弁下に燃焼室集中、排気弁下に燃焼室集中を比較。

排気弁下に燃焼室を集中し(=ファイアーボール燃焼室)、スキッシュクリアランスを設計限界(本記事では0.6mm)に詰めたものが耐ノック性best。

何故これが流行らないか?断片的情報を総合すると「全方位八方美人ではないから」 やったのは某国某社だけで、そのうち圧縮比ダウン→「なかったこと」にしてこっそりヤ~メタ。 

 

直噴過給ダウンサイズと、無過給を比較

 

 

元記事からは不明だが、どちらもRON=98ガソリン対応か。

無過給に対しMBT不可となる運転領域が高負荷側へ移動している。推定要因は、

・圧縮比ダウン

・Cooled-EGR 過給域でも遠慮なく入れられる 無過給でやると全負荷トルクガタ落ち

・(噴射弁下向き中心配置)

240g/kWhの領域は、もっと高負荷側へ広げないと面白くない。目玉240g/kWhに対し左上は270g/kWhで13%の悪化。PFIではこの悪化代では済まず、DIによる進歩と全面マンセ~はできず、PMなるディーゼルの欠点も受け継ぐ。

排気量半分を謳ってはいるが、「話半分で聞いておけ」

λ=1限界は無過給の2倍、90kW/Lには届かず、RON91+PFI+NAのベンチマーク水準40kW/Lの2倍=80kW/Lにも届かない。4000rpm以下の全域MBTが実現すれば、

・λ=1限界は80kW/L

・240g/kWhの領域は図示点線領域まで

伸びるか?

排気温度限界は一声=900℃。上記ダウンサイズ君はもっと高そうだが詳細不明。何故一声=900℃か?我流ヘリクツは、鋳鉄にしろステンレスにしろこのへんに変態点があり、結晶格子が変わり結晶格子が変わると体積変化する。各部位の温度は均一ではないので強烈な熱応力になる。温度を下げると、結晶格子は完全に元の状態にはならない。鉄板でもステンレス板でも、温度を一度上げると、冷やしたときには凸凹ベコベコになる。ステンレスの色焼けで喜んでいる場合ではない。と書いたものの、上記ダウンサイズ君のλ=1領域はビックリ物で、一体排気温度限界何℃でやっているの?

 

と書いた後に、

自技会20095025 (マレージャパン(株)、MAHLE Powertrain Ltd)がhit。

↑と、圧縮比等のspecは変わらないが、2ステージターボを試験したBSFCマップが記載されている。BSFCはPrototypeだがらなのか、パッとしない水準で、↑とはだいぶ違うのでスルー。

排気温度限界は、

「材料リミット1050℃に対しマージンを見込んで1025℃」 お高い材料(Ni主役は大昔から変化なし)使用の模様。

結論の一部を引用する。

「入念な設計と開発により、エンジンは30bar BEMPを越えるロバストな性能レベルを持ち」

この看板をイマドキ基準で眺めれば偽りで「ロバストな性能レベル」を持てないから、λ=1かつBEMP=30barの製品は世に存在しない。

 

と書いた後日記

自技会論文集 20204460(千葉大)フリーアクセス

直列2段過給 L4 VG-turbo×2+LP-EGR 掲載図にはマフラーはあるが触媒無しの実験用エンジン

¥の話は横に置いて(最初にコレを言い出すと「何もしないのが正解」)低回転(1750rpm) BEMPとBSFCに全振りするとこのぐらい 

触媒付きでは全てが不利に働くので要注意で、論文を読む限りでは触媒分の排圧調整は未実施 ココはどうとでも変わってしまう部分なのでまずは切り捨てた(?)

T/Cによる「膨張行程終わりの気筒内排気圧力エクセルギーのクランク軸への回収」定量値記載がある

 

 

過給ダウンサイズの実態

2012年の石油エネルギー技術センターレポートのp4-5。

http://www.pecj.or.jp/japanese/report/2012report/h24data/2.1-3.pdf

トップランナーといえども「リッチもリタードもやっていた」

知る限りでは点火時期ATDCでMBTになるのは 【スキッシュオバケ】が唯一の実機例で、欠点>利点につき誰もやらない。

 

増量域は、表向きは、

「法規は満たしている 実用上も問題ない」

技術ヲタ的には、

「暑苦しい なんとかならぬものか」

むかしむかしの風の便りだが、とある方は、暑苦しい部分を丸坊主にしたROMでいざお山へお出かけ、1日も持たずアウトでサヨウナラ~ 50kW/L程度のフツウのNAでも、排気温度1??? ℃

「従来の壁」には、必ず何がしかの根拠がある。正確に書くと「あった」。「壁はイマとなっては誤りである」と判断するのも立派な技術。壁を作った時代の前提条件が、イマでは怪しいものもある。ただの蛮勇では竹槍勝負で、いずれ退場を迫られる。

データはOBD2対応車なら、タダ同然の汎用ツール+PCでデーターモニターは可能。

 

燃料増量(λ<1)と排気温度

燃料増量→蒸発潜熱による空気・混合気冷却、燃焼室周辺冷却→ノッキング改善(仮想MBTトルクからの落ち代を減らす) ここまでは文句はない。

 A/F=14.7からA/F=10 に増量すると(噴射量1.47倍)低位発熱量は0.86倍に低下する。1の燃料だけ燃焼して、0.47の燃料を全てHCとして垂れ流せば発熱量は変わらないが、CO2が減って、減った代わりにCOとH2ができるので、発熱量は0.86倍になる。排気温度の低下に対しては、点火時期が相対的に仮想MBTに近づく効果(いわゆる「等容度」アップ)よりも、こっちの方が効いているのでは?蒸発潜熱は発熱量の0.8%程度で、排気温度に「直接」与える影響は無視しうる。「燃料冷却」(fuel cooling)は文学的にウケがよいようだが、メカニズム的・定量的に適切な表現かは?がつく。

「燃焼中」のヤヤコシイ話はスルーする。排気管に出た排ガスに関しては、単純化した「総括反応」で捉えるのがフツウで、リッチ側のCO2、CO、H2、H2Oの濃度は水性ガス平衡定数を与えれば離れて眺める用途なら必要十分な精度で計算できる。一般的には3.? の固定値を放り込む。? は派閥があるので好きな数字を入れるが最大派閥は「3.4」の模様。

↓は「可逆反応」が前提の式

CO2 + H2         
   ⇔ CO + H2O    -42.1kJ/mol

温度が上がると平衡は右へ 平衡定数Kは大きく

温度が下がると平衡は左へ 平衡定数Kは小さく

常温では反応速度が遅すぎて、どちら側にも反応進行は観測できず無反応に見える

「燃焼中」は系が「平衡状態」ではないが「平衡定数」で組成が説明できる?と思うのがフツウの人。高温高圧→低温低圧(相対的な話で絶対値は日常感覚では高温)を通過する際、約1700Kが「水性ガス反応の凍結温度」になりこのときの平衡定数K=3.4。約1700K以下では反応が進行しなくなって1700Kの平衡状態で凍結される、がフツウの説明らしい。自技会905163。排ガス温度はどんなに高くても1300Kだからサンプリングした時点で水性ガス平衡状態はK=3.4の状態のまま。

冷却損失を無視すれば、排気ガス温度に関連する「発熱量」は、総括反応で捉えれば十分と思われる。空燃比が排気温度に与える影響は、「発熱量」「等容度」が定量的にどの程度なのか?巷の「論調」は、「点火進角」(等容度)偏重の気がするが、何か裏付けがあるわけでもなさそう。

ガソリンエンジンの「常識」として「増量」をやってきたがメカニズム的・定量的認識は「燃料冷却」「点火進角」で済ませてアヤフヤで分かり切ったフリをしているオジサンの認識は間違いかもしれない。腐った山積みデータ+相応のsimulationで結論は出せるのでは?材料と道具はあって半ば答えは見えているが調理はしていない。

余剰燃料を噴射→高発熱量のCOとH2を生成して(←当然大気中へサヨウナラで、二次空気を入れて浄化しようとしても量が多すぎて触媒が溶損するので誰もやらない)発熱量を下げて、排気温度を下げる+クソ馬力を出すという(イマドキ基準で考えれば)バカバカしいことを100年間の常識として継続してきた。燃料代以外はタダでできる+クソ馬力を販価に乗せられる+法規規制の枠外+クソ馬力でも出せば排気量を下げて税金がケチれる。

「増量」の理由は↑のようにわかったフリをして想像する。「等容度・点火進角」目的は左上。残りは総括発熱量低下(CO2が減ってCOとH2を生成)による排気温度低下目的で「等容度・点火進角」は従。デジタルな切り分けはできないからウエイトは運転領域毎にエンジン仕様・オクタン価、等々で変わる。と書くと「クソ馬力専門家」風だがタダの傍観者。

 

目玉燃費率

目玉燃費率を明示的に公表したのが、知る限りでは1997年、プリウスが初。230g/kWh/2800rpm(以下)。フツウに解釈すると、「燃費率等高線が230g/kWhで引ける領域がある」 この時期は諸元表に全負荷燃費率のグラフの記載があり、最小180g/PSh (245g/kWh) /2800rpmと記憶。全域λ=1なので増量ロスはなく、全負荷リタードロス(@2800rpm)は245/230=6.5%。当時の発表によると、量産中L4エンジンの目玉燃費率=260g/kWhで世間並。

1997年頃まで諸元表に全負荷燃費率のグラフが記載されていた。届出義務だったから出していただけで、目玉燃費率を開発段階で管理する発想は皆無。

記憶によると、目玉190g/PSh(258g/kWh)ならまあフツウで最悪は目玉220g/PSh(300g/kWh)。エンジン本体は大排気量仕様そのまま+税金対策でボアストだけ思い切りダウン+ターボで圧縮比低いとくればここまで悪くなる。

 

λ=1領域

「全域λ=1」を公言したのは、知る限りでは1997年、プリウスが初。

出力アップ(λ=1領域拡大)の推移は、(全て排気直下触媒)

1997 43kW/4000rpm  28.7kW/L   最初は無理せず余裕をつける

2003 57kW/5000rpm  38.1kW/L この辺から排気温度が苦しくなる

2009 73kW/5200rpm  40.6kW/L    RON91 PFIではこの辺がベンチマーク 排気温度限界を逃げるため、最高出力点付近でcooled-EGR導入 排気温度制約で電スロ絞るより出力は出る EGR量は「気持ち程度」と想像 自技会20095133

2015 72kW/5200rpm  40.1kW/L   

パワーは並の3割ダウンで、←排気温度限界に引っかかるから

・短時間加速性能はバッテリーに任せる

・連続出力が要求される高速登坂性能は米国最低基準あたりで割り切る

 の背景があっての燃費特化仕様。

エンジンのkW/Lで一発で分かるが、全域λ=1はTHS全車種ではなく一部車種のみ。THSの大多数は世間並に増量域あり。この辺はお家の事情・思惑がからむので勘ぐるべし。

 

燃費の目玉と排気温度

目玉の位置は、類似エンジン(気筒容積、圧縮比)なら似たような場所になる。

回転方向 メカロス(rpm大→メカロス大) 冷却損失(rpm大→冷却損失小)

負荷方向 どこまでMBTが取れるか?(圧縮比大→低負荷へ)

のバランスで決まる。

空燃比はλ=1、EGR無し、圧縮比&膨張比固定を前提とすると、排気温度を下げる手段は冷却損失アップのみ。

冷却水温度(サーモスタット開弁温度)を馬鹿sageして冷却水流量を馬鹿ageすれば計測困難な程度排気温度は下がるかも。巨大水ポンプ+巨大ラジエター要。

実用化済の使えない手段は、気筒容積ダウン。要はバイク用。冷却損失+メカロスは多いが排気温度が低いので燃料増量が少ない?公表データは皆無のようだが、6000rpm超では四輪用と燃費率はトントンでは?これをやると実用域燃費率はメチャ悪になるので誰もやらない。

 

 

政治=税金=軽自動車ネタに移る。660cc→1000cc化の妄想。

 

上図の動作点(rpmと負荷)はテキトーで、660ccでどうなるんじゃ?の土地勘はゼロ。

実路上でのHC+CO+H2の最大排出源は軽自動車。ターボはH2の収穫量大なので、H2がお好きなエコヲタはケツを追うべし。水性ガス(合成ガスとも言う LNG輸入開始前の都市ガス)発生器と思えばいい。似たモノは戦中戦後の薪・木炭ジドウシャ。水性ガス製造はH2とCOの収率を上げるため専用設備・プロセス・イマドキなら専用触媒を用いるが、クソ馬力エンジンは筒の中に燃料ぶち込んで火をつけるだけなので余計な物だらけ。そのままガス屋に売りつけるワケにはいかず価値は負。

・気筒容積が小さいから排気温度は低くλ<1はもっと狭いとか ← 言いたければ玉虫色小細工無し全域等高線入りのBSFCマップを公表すべし

・気筒容積が小さいから目玉はもっと高回転側にあるとか、(極端な例を挙げると、4st50ccの目玉は6000rpm 6000rpm常用するから目玉をここに設計的に位置するようにしているのではなく、気筒容積が小さいから誰が設計しても自動的にそうなる)

・タイマーで短時間の領域滞在では増量しないようにしているからいいんだとか

・タイマーじゃなくて推定触媒BED温度でやっているんだとか

・アクセルオフ時の燃料カット判定も推定触媒BED温度を使って、高BED温度のときは即燃料カットはしないようにするとか(BED温が下がるまでは燃料噴射継続)

・実際ここまでHigh側では使っていないとか ←どうとでもできるコトはお好きにどうぞ

・CVT目標運転点の左上は斜め落としにするとか

・最低エンジン回転数がどうとか

・G抜けと燃費を天秤にかけた変速線はどうとか

・過渡的な変速線はどうとか

・段付き変速にしてしまえ!

・・・

どこにでもある話はスルー。

 

図をソレっぽく書くと、無過給ガソリンエンジンではこれ以上の変速幅の拡大は無意味なところまで広げられている。過給ダウンサイズのように相対的に極低速トルクが大幅低下するとか、Cd×Aが半減するとか、金満セダン並みの大排気量を想定するとか、終減速比をより動力性能に振るとかを仮定すれば話は変わる。動力性能に振ると言っても、坂道発進要求・登坂要求(最低ラインは一声=30%勾配)で大筋は決まり残りは変速線。

変速幅=5程度→7超への拡大の真意は、伝達効率の悪い「最Highかつ中高入力回転数」の使用を実質的になくすことで、オマケで最低エンジン回転数での走行可能車速が、50km/h→70km/hに上がる。(「軽」ではないマトモ排気量の場合)

 

税制改革に便乗、以下の制度変更

1 排気量アップ 660cc→1000cc  ↑は、変更前後のイメージ図

2 全開CO規制導入 0.5%以下 むかしむかしEPAが言い出してウヤムヤになった記憶がある。

3 主力上限 40kW。現状軽NA+αで、全開CO規制を満たせそうな数字。税金を負ける分、過剰動力性能は認めない。過剰性能≒余裕が欲しい方は税金ヨロシク~

4 真に革新的な技術による出力アップは申請→審査→引き上げを認可。審査→認可は熊谷か三鷹で認可基準・理由は公表。餌はぶら下げておくが「技術モドキ」には餌無しでターボは全開CO規制で脱落。NAでは重量車、Cd×A大車の動力性能が成り立たない? 

と書いたず~っと後に、

2009TMS 某社参考出品 2気筒DI T/C cooled-EGR 全域λ=1

なるモノがあったことを知った。47kW (0.66L) = 71kW/L で、最高出力点でもEGRを入れれば「全域λ=1はなんとかなるかの瀬戸際」ぐらいまでイケそうではある。「イケそう」は排気温度だけの話でその他諸々ガーは無視して書いている。車重と最大kWからすれば、最高出力点は常用域になる。

 

これで誰が困るか?誰も困らない。全ての軽の660ccは660cc専用限界設計ではない。ボアピッチが余裕だらけで800ccなり1000ccなりに排気量アップ可能。

排気量アップでコストは変わらずターボ付よりもバカ安。メーカーはガラパゴス660cc専用部品、治具金型、サービス部品在庫等が不要になる。

実用燃費は変わらず、延びるケースが多いかも。出力40kWで上限を切れば、ぶち回し対応specはアホらしくなりメカロスダウン。アイドルが負けるなら、アイドルストップしてオシマイ。エンジンrpmが660/1000になるので、静かになる。エンジンrpmの上げ下げが減る+加速初期の食いつきが良くなるので無駄なアクセル操作が減る。「意思に忠実な操作性」は「早開きオラオラスロットル」では得られない。エンジン寿命は自動的にタダで延びる。

気筒容積が増えるのでタダでHC排出量は減る。ココは50ccバイクなどはより顕著と思われ。

焦点は税率で、お好きな方にお任せするが、

【占有面積、車重、kW、燃料に課税し排気量はやめろ】

 

上記は、

「二輪車のUP-sizingコンセプト」

エンジンテクノロジー誌(2006 山海堂)の記事そのものである。小型「過小排気量」二輪車の燃費向上には、排気量大幅アップ+最高回転数大幅ダウン+最大出力据置が必須との主張。 

エンジン技術_6 燃費の目玉(3) 二輪車間連

 

2015年、某社が「四輪車エンジンの排気量2倍UP-sizing」を言い出しているが、知る限りでは排気量2倍UP-sizingの元祖は↑ 某社は、

無過給超高圧縮比、高過給ガソリンエンジンの全負荷BEMP、高負荷BSFCの両立は当面or永遠に目処なし

とした上での発言で、「小型二輪車用エンジンの過小排気量の是正」とは意味・意図が異なる。

2017年、「四輪車エンジンの排気量2倍UP-sizing」は「なかったこと」になった。排気量2倍が言い訳なしにネンピに有効なのは過小排気量の小型二輪と軽四。

 

 

2015年 2NR-FKE 数年後に封印されました

 

L4  1.496L  Φ72.5×90.6mm  ε=13.5  PFI 吸気VVT cooled-EGR  RON91 CVT専用

80kW/6000rpm (53.5kW/L)  136Nm/4400rpm (BEMP=11.4bar)

見事な二段重ね、黒線赤線より低負荷はハイブリッド用と同じで、40kW/Lまでλ=1。これより高負荷側で燃費率がモリモリと悪化するのは、増量+点火時期リタード。低回転は特に悪化が大きい。

CVT目標運転点は黄線だからBSFCメチャ悪域は問題なしとするのは、半分は当たりだが半分はハズレ。

・「CVT目標運転点」(最適燃費線追従)は、定常的な特性に過ぎず、「いつでも必ずそこにいる」を意味しない。「アクセル開度+車速が一定ならば、いつかはそこに到達して居座る」の意味しかない。

・「過渡を含めた常時100%完全な最適燃費線追従」を行ったとする。加速時にエンジン回転を上げるのにパワーを食われるので、加速初期にメチャG抜けする。黄線より上のトルクはG抜けを減らすために必要。車両として不要ならこの部分は電スロでカットする。過渡を含めた100%完全な最適燃費線追従は無意味なので誰もやっていない。

・BSFCメチャ悪域を常用しない為のエンジン側の対策は、BSFCメチャ悪域を高アクセル開度側に寄せること。黒線より高負荷は、実質アクセル全開しか作動しない、はゲスの勘ぐり。アクセル~トルク特性は電スロなのでどうとでもできる。VVT、燃料増量率はアクセル開度に対して割り付ける。

・フツウのエンジンのアクセル~トルク特性とは異なるので、WOTトルクは同じとしてもフツウのエンジンに対して「パーシャル加速初期のG抜け」は不利になる。黒線より高負荷=実質全開域に突入すると、「スイッチが入ったように元気になる」

・0km/hストール全開発進以外は、2000rpm全負荷は過渡的に通過するだけ。ゼロ発進以外ではCVTがダウンシフトする。最Lowレシオ+ロックアップオフでは、動き出すとWOTエンジン回転は高回転側にどんどんずれる。結局0km/h近傍の全開以外は通過するだけ。全開時に通過するだけだからEや~で2000rpm WOTはガバチョと増量。

 

 

近頃流行りのPFIの1気筒2インジェクター

内容は古文書の掘り返しでコストアップを許容する環境になったから復活。198X年、某社でサワリ程度の実験をやったが似たことは他所でもやっている。燃圧は4bar程度(当時のPFI標準は2.5bar)まで振った。199X年、床下燃料配管リターンレス化で3bar程度に上がりその後も若干上昇している?

「燃圧2.5bar」と書いたが当時の図面表記は「2.55kgf/cm2」でbar表記はなかった。「なんで半端な数字なの?」がフツウの疑問で、イマ思えばB社起源でSI化が早かった。JPNメーカーの初期PFI(サプライヤーはケーレツ毎に多数)は全てB社ライセンス(orコピー)品と思われる。見た目は全部ソックリ。

1気筒2インジェクターでやりそうなことは、PFIの吸気行程噴射。フツウは排気行程噴射で吸気行程噴射は一般的にHCメチャ悪になる。メチャ微粒化すればOKだが、燃圧はDIに比べれば1~2ケタ低い。ノッキングカイゼンを狙ってのことは明らかで、DIと同じで液体のまま気筒内に入れて気筒内をより直接的に冷却する。DIの場合は「液体のまま気筒内に入れる」は明らかだが、PFI吸気行程噴射の場合は必ずしも明らかではない。観察、計測等があるのかは知らないが、「多分そうだろう」の意。

吸気行程噴射をやるのは、圧縮比アップで問題になる高負荷域だけなので、モード走行には関係なし。モード域は従来通りの排気行程噴射でも十分。吸気行程噴射は急加速時には大昔から元々やっている。燃料供給が間に合わなくなるからで「増量」ではなく、いわゆる「割り込み噴射」。「割り込み」と言う理由は排気行程噴射をやるには噴射パルス幅セットタイミング(セット以後の動作はハード任せ)がどの辺になるか?を考えれば自明。元々急加速時には間に合わないタイミングで噴射パルス幅をセットしているから「割り込み」が要る。目標空燃比は、増量域まで踏み込まない限りλ=1で空燃比F/Bは停止しないでそのまま継続。

吸気行程噴射をやっていた代表はPFIリーンバーンで、某社がやったのが1984年。気筒内空燃比が不均一になるので、うまくやれば点火タイミングで点火プラグ周辺をリッチにできる。数を売る気は全くないので(一説によると月販1桁に近い2桁)当時は珍しかった気筒毎独立噴射。

「気筒毎独立噴射」の意味は、当時は1気筒に1インジェクターでもECU駆動回路は1個がフツウで、燃料噴射は1回転1回の全気筒同時噴射。過渡の高精度空燃比制御(ドラビリと排気性能向上)とか、リーンバーンとかを狙わずに定常的にフツウに動けばいいだけなら全気筒同時噴射で十分。気筒毎独立噴射がフツウになったのは1990年前後で他社も同じ。制約になるのはプロセッサ(マイコン)のハードタイマー(カウンタ)の本数で、増やしたブツがスタンダードになればやるだけの話になる。clockと絡ませれば「タイマー」別バルスと絡ませれば「カウンタ」でモノは同じモノ。

吸気行程噴射の未燃HCを排気行程噴射並にするために古文書の気流微粒化をやりたくなるが、古文書は負圧式なので全負荷では効かず正圧空気源が必要になる。全負荷はリキが出ればその他はどうでもよしとした時代。

負圧式の製品例

・BOSCH Kジェトロ(機械式連続噴射)

・TOYOTA PFIでお試し程度に極一部

古文書によると、コレ以前にも採用例があった。

 

自技会20134941 

1気筒2本インジェクターPFI  データらしきモノがある ガン見すべきポイント

①噴射タイミングが明記されていないが、2000rpm WOT は高確度で吸気行程噴射

2000rpm WOTトルクアップは点火時期進角(リタードロス削減)による

排気行程噴射に対し未燃HCは増えることはあっても減ることはない

②部分負荷の噴射タイミング不明

③部分負荷・全負荷の新旧比較データがあるが、燃料噴射系だけの効果なのか不明

④排気性能(未燃HC)不明

[ port wet 85%削減 ] は断念して、[ port wet 65%削減 ] に「逃げを打った」のが量産仕様。

 

 

データ有り文書 フリーアクセス

デュアルインジェクション(Dual MPI)システムの新噴霧コンセプトの開発(2017 DENSO )

古文書によると、1970年前後のPFIの噴霧とエンジン性能の関係は「感度が低い」が業界共通認識だった模様で、イマ見ても大筋では正確で違和感はない。その後の変化は、

・マイコン制御が標準になり噴射タイミングは各気筒・運転領域で任意にセットできる 

書き換え自由なソフトウエアによる制御になる(初出は燃料噴射&点火トータルではなく部分的に1976あたり)以前はカスタムIC(ロジックIC 固定ロジック)制御だったらしく制御自由度が乏しく変更には年単位の長期間リードタイム。「適合」は基板上の抵抗値を変えるとかでやっていたらしいが「一言聞いた」だけの話で詳細は知らない。サプライヤーは全てB社と思われる。

その後の変化は

・4弁中心点火が標準化 

・排気規制の強化

・ネンピガーガーうるさくなった

・DIが出現 圧縮比アップ(点火進角)と引き換えでPM・未燃HC悪化+ロバスト性が劣る 

「今更PFI?」は2020年現在必ずしも共通認識ではない。無過給かつ圧縮比「馬鹿age」無しならばPFIで十分。

対キャブレターでPFIには基本機構・構成にまつわる欠点がないor欠点は潰した。コストアップと電子制御・機能分散がらみの信頼性を除く。「今更キャブレーター?」が確立したのは1985年頃でいわゆる「新規開発」は止めている。

1気筒2本インジェクタ―PFIのサプライヤーはD社とH社の模様で、インジェクタ―の改良+噴霧とエンジンの適合作業とセット。極論は承知の上で、「噴霧の適合」を全廃し「流量違いの選択のみ」に飛躍できれば他社に圧勝。間接的であるPFIのメリットを使い切る。

 

むかしのA/Fマップ MotorFan 1990/03、1990/04 毒舌評論

元A/Fマップは縦軸のトルクの数字が入っていないが勝手に記入。数字無し=小細工で、A/Fマップは高トルク域をカット。

3S-GE L4 1.998L Φ86×86mm 

ε=10.1 ハイオク(RON98) λ=1限界 31kW/L コレでも当時は広い方です

61kW/L (6800rpm)  BEMP=12.0bar (4800rpm) λ=1 kW/Lカバー率 31/61=51%

床下触媒のみで、排気温度限界要求はきつくない。と言っても三元触媒の市場実績はこの時点で10年程度で、高温耐久性の不安は継続中。縛りは主に、O2センサとエキマニと思われる。A/F=12は常識的な数字で、等高線をカットするまでもないが小細工でカット。

同時期の無過給排気直下触媒仕様のλ=1領域は、もっと狭かった+高回転高負荷はターボ並のA/Fと記憶。

無過給だが、低中回転の増量域の広さを見ればスロットル開度だけで増量するのではなく吸入空気量で増量している。JPNメーカーが「排気温度制約のない低中回転域はスロットル開度だけで増量」をやりだすのは、もう少し後の時期。欧州車を見てマネした。回転~トルクマップ上で見ると面積は大したことはないが、実用燃費にメチャメチャ効く。特にアクセル操作がラフになりがちでエンジンrpmが低いATCVT。回転~アクセル開度マップで見れば一目瞭然。

エンジン技術_8 アクセル開度~エンジントルクマップ作成

  

 

3S-GTE L4 1.998L Φ86×86mm

ε=8.8 ハイオク(RON98) λ=1限界 16kW/L

83kW/L (6000rpm) BEMP=19.1bar (3200rpm) λ=1 kW/Lカバー率 16/83=19%

当時は珍しいターボ直下触媒+新規物のメタル担体。不安要素だらけで、λ=1限界は思い切り狭くして排気温度を下げられるだけ下げている。100km/h平坦路はなんとかλ=1だが勾配少々、エアコン程度で怪しくなる。追い越しフル加速はA/F=9。

A/F=9の等高線は「ないことになっている」

A/Fマップは高トルク域をカット。激狭λ=1領域を広く見せるためトルク0kgm点をオフセット。

 

排気直下触媒の変遷

1980 

床下触媒のみ

1990 

JPN向けは排気直下触媒仕様が増加。JPN1978(S53)規制は触媒暖機用点火時期リタード無し(冷機始動後即MBT)でも通る。USA向けは排気直下触媒は極少数。規制が緩いのではなく耐久性不安による。「触媒最適位置」を熱心にやっていた方がいたのがこの頃。前出し→初期排気性能は有利、劣化は不利だが、行き着くべきところに落ち着いた。

1995 

USA向け 床下触媒のみは絶滅 「リーン雰囲気かつ高触媒BED温度は回避しろ」の騒動があったのがこの頃

2000 

JPN2000(H12)規制対応で床下触媒のみは絶滅

 

「排気規制強化対応によりエンジン機種廃止・車両販売終了」は誤解を招きやすい表現で、後処理系・制御系を更新すれば古エンジンでも規制は通る。物理的には可能だが

・販売不振車は規制強化を機に車種廃止 表向きの理由は規制強化だが真の理由はコレで開発費が出せない

・古エンジンの制御系・後処理系更新は面倒+その場凌ぎの将来性が乏しい投資になる。設備投資が許せば新エンジンに切り替える。2000年以降電スロ+CANが標準で、「標準から外れた異端システム・異端ECU」は作りたくない。時を経れば標準設計・システムが変わるので古エンジンには異端な部分が多い。異端システムエンジンを少数仕向け地用に売りたい時は、現行標準ECUハード+ソフトを最小限の変更で(古い)エンジン&車両に合わせる。プロセッサその他の周辺半導体チップが生産停止&在庫払底になるケースが多い。〇〇車両設計部なる傍から見ると何をやっているのかよくわからぬ専門部署があった。商品本部(大本営)が設定しない仕向地の車両(現地要望?)を担当していた模様。

ガソリンエンジンの触媒無しでの排気性能はここ30年以上大筋では変わっていない。最新規制対応車でも触媒を外せば、走行モード、車重、排気量等のここでは本質的でない話を全スルーして超ざっくり言うと、

JPN1978(S53)規制値の10倍

が排出される。ディーゼルとは全く事情が異なる。

 

オマケ MBTはなぜMinimum advance?

MBTよりリタードした点火時期を設定する(使う)のはどこでもやっているが、MBTより進めた点火時期は絶対に設定しない。

理由

・BSFCが悪くなる。少々進めた程度ではほとんど悪くならず、リタード側とは感度は違う。

ここまでは誰でも認識している。

・点火時期を進めていくとNOxが直線的にどんどん悪くなる。MBTより進めても感度が変わらない。

Tmaxが無意味に高くなると思えば納得がいく。過進角はPmax、TmaxがBSFCに反映されないがNOxには反映される。

 

 

181007 1987~1990 昔の全負荷BSFCを引っ張り出す

20世紀終盤まで、全負荷BSFCが届出義務項目で諸元表に記載されていた。手持ち資料によると、1997年発表発売は記載あり、1998年は記載なし。1997プリウスは「全負荷BSFCに間に合いました」で記載ありで諸元表をガン見した記憶がある。触媒温度警告灯廃止(外圧による)は1997年5月告示で、全負荷BSFC記載廃止は若干後の模様。「外圧」と書いたがJPN向けガイシャは警告灯の後付けが必要で、並行輸入・個人輸入の場合は昭島か京都の運輸省外郭団体に持ち込みの上、排気性能以外に警告灯機能の受験を要した。

「毒舌評論」記載図から拾ってみる。

・図が判読しづらいもの

・グロス出力表示のもの グロス出力表示は、1985年3月迄の運輸省(現国土交通省)型式申請車

・オレ的に?がつくもの

は除外する。

 

ベンチマークは1988 OPEL C20XE

気筒容積は330~500cc、全てPFI、ターボはε=7.8~8.0。

最高出力点でNAは300~350g/kWh、ターボは450g/kWh前後。

↑を眺めるとターボの「450g/kWh」はmagic numberであることに気がつく。これ以上リッチにできないところまでリッチにするとこうなる。ストイキの1.5倍の噴射量で、λ=1にできればざっくり300g/kWh迄は落ちるがノッキングと排気温度の壁でλ=1設定は不可能。

以後20年間は「軽負荷だけに夢中」 全負荷BSFCの優先順位は最下位で、1990年の水準から全負荷BSFCは下がらない。