夏からいっきに秋になったような体育の日、あちこちから聞こえる運動会のにぎゃかな音にひかれて散歩に出ました。このところかわいそうに叩かれ続けてすっかり色あせた感じの豊洲の町を選びました。
築地市場の移転の問題から豊洲の町全体が有毒土壌の上に広がっているような印象で受け止められているのは残念です。高層ビルと緑の多い、若者と 子どもの声が響く元気であたらしい東京のイメージが横溢している町なのに。晴海通り沿いのレストランの前でふと見上げると夕顔が金網に巻き付いて意外にきれいでした。夕顔は夏の花でした。
そこで、ふっと思い出したのが『天の夕顔』、戦前の中河与一の小説です。横光利一などと同時代の人ですが新感覚派でしたが、私にとってはすばらしい作品で何度も読みました。おそらく、もう、書店にはないでしょう。その中河与一の天の夕顔からもうひとつ、なんども読んだ作品を思い出しました。江馬 修の『受難者』です。こちらもページが擦り切れるほど読みました。
どちらも、あえて、あらすじは紹介しません。はげしい恋愛小説です。