たまには少し硬いお勉強といきましょう。といっても、先週の印刷図書館クラブの例会席上、メンバーの竹原 悟さんがレクチュアーされたアメリカPIAのR・H・デイビス博士の『最新の経済と印刷産業の展望』と題する論文を基調にしてのものとご承知してください。
昨年、2015年アメリカの印刷産業の年間成長率は2.2%で向かい風の経済の中ではまあまあだったようです。それでは今年はどうかというと、減速経済下にあっても着実な成長は見られるという予測でした。
ここで面白かったのは、博士の論文に「印刷は景気後退に先行し、回復には遅行する」とあったことに出席者全員から日本でも全く同じだと期せずして声が上がったことです。それにしては?日本はよくないぞ。
2015年のアメリカの印刷業は製造業の18業種の中で・出荷額の成長性・新規受注・生産の成長性・雇用の成長性という4つの成長分野でトップだったとあります。また、印刷物の輸出が第2位だったとも。
どうやらその原因はアメリカではGDPに追随するロジスティック用、パゥケージ用印刷物、ラベル、包装紙などが好調でデジタルメディアとの競合にさらされているとはいえ商業印刷物も書籍さえも元喜を取り戻しつつあるのがトップの座におさまることができた理由のようです。また、印刷の好調の理由の一つにアメリカ経済が成熟した回復期にり、印刷産業の成長率がGDPを超える時期、Sweetspotに当たっているからだというのでした。
さて、ひるがえって日本の印刷業ですが、アメリカほど集約された統計がありません。したがって日米の対比はむずかしいのですが、少なくとも製造業の成長分野でトップを誇るような数字にはなりません。先日発表された日本のGDPは残念な数字でした。GDPに追随しているのでしょうか。
竹原さんのレクチュアのまとめは・結果だけを追うな ・前提条件がことなれば、結果は違ってくる ・考え方を学ぶ ・日本でIT/ICT/IOT時代の経済と印刷産業出荷額との相関を探す研究が必要とありました。