天草工業高校のキリシタン版活字の鋳造や印刷再現という破天荒?の挑戦を初めて知ったのは昨年末発行の印刷博物館のPrintingMuseumNews55号でした。
さっそく2月の印刷図書館クラブ木曜例会でも「えらい高校もあるもんやな」と大きな話題になりました。私としてはじっとしてはおられません。たまたま印刷博物館で会合があった日に学芸員中西さんにお願いして紹介記事執筆者の同館石橋圭一さんにお目にかかることができました。幸運にも3月7日の大曲塾秀英体講演会に天草工業高校で実際に再現を指導された西村洋信先生が出席してくださるというではありませんか。
その当日、今春から霞が関に出向しておられるという西村先生に親しくお目にかかることが出来、生徒のみなさんと4年がかりでキリシタン版活字の再現に当たられた話をうかがうことが出来ました。
母型製作のための金型製作、活字合金づくり、鋳込み,成形、そして完成した活字を使って組版、さらに実際の印刷、こう書くのは簡単ですがおそらく大変な研究・調査と実際の製作現場の苦闘があったことは想像にかたくありません。私は西村先生の手を何度も握らざるを得ませんでした。こんな感動はここしばらく味わったことがありません。まさに感激の夜でした。
おそらく印刷博物館の5月のヴァチカン展には天草高校の成果品が展示されることと思いますが会場では実際に手を触れることはできないと思い先生に頼み込んで生徒さんたち自作のモールドに」さわらせてもらったのでした。ひとつだけ、欲張りなことをいわせてもらうと、次回の機械科3年生の「課題研究」で「国字」の再現にチャレンジしてもらえるとどんなにうれしいか。