これも夏休みがらみですが、休み中に読んだ本の読後感を書く宿題があり
ました。
なぜか、物語よりも「偉人伝」が無難でした。たとえばジョージ・ワシン
トンですとかベンジャミン・フランクリンですとか、アメリカ人が多かっ
た気がします。
ベンジャミンが嵐の日に凧をあげて、雷から電気を発見し避雷針を発明し
た科学者で、政治家としてもアメリカ建国の父であるという有名な話の感想
文を私も書きました。フィラデルフィアという都市名を覚えたのもそのとき
でした。
このアメリカの100ドル紙幣の顔になるという大偉人がアメリカの「印
刷史」の立役者でもあることをご存じの人は少ないと思います。
17歳のときにロンドンに渡り、みずから植字工として働いたり、活字鋳
造技術を身につけたり、いっぱしの「印刷人」の時期があったのです。
20歳になってフィラデルフィアに戻ったフランクリンは印刷所をおこし
たり、『ペンシルヴァニア・ガセット』という新聞を発行してジャーナリズ
ムにも首をつっこみます。この新聞はのちに『サタデー・イヴニング・ポス
ト』という大新聞に発展します。
50歳を過ぎてフランクリンは印刷界から身を引きますが、彼のアメリカ
印刷史の上での功績は、それまでどちらかというとイギリスに遅れをとって
いたアメリカの活版印刷の地位をたかめ、とくにフィラデルフィアをアメリ
カきっての印刷産業都市にしたことです。
84歳で亡くなっておりますが、政治家・外交官・科学者として有名であ
った彼が印刷人としても大きな足跡を残していたとは嬉しい話です。