寄り道してしまったので、このへんで、また、「活版印刷」の話に
戻ることにしましょう。
前回、上海博物館の紙幣印刷に触れましたが、なんといっても紙に
版を使って印刷するテクニックを最初に発明したのは6世紀末の中国
で、明の時代の中ごろから活字版が盛んに用いられたといいます。
ちなみに木版に関していえば中国に現存する一番古い印刷物『金剛経』
が印刷されたのは868年とされております。
明の時代は日本の室町時代にあたりますが、その頃から日本と中国の
間には勘合貿易がされておりましたし、その前の時代には、遣隋使や遣
唐使の行き来がありました。しかし、これらを利用して印刷術が日本に
もたらされた記録を私は見たことはありません。
私たちの先祖は印刷した経本を競って手に入れたがったのに、それを
生み出した「印刷術」というハードウェアはほしがらなかったのでしょ
うか
同じ頃、中国に負けず劣らず朝鮮でも活字版は多用されていました。
室町幕府はわざわざ使節を派遣して『大蔵経』を無心したほどです。
けれども、実際に活字を使った印刷術は豊臣秀吉のときまで日本に
伝わってきていません。いささか不思議な話です。
戻ることにしましょう。
前回、上海博物館の紙幣印刷に触れましたが、なんといっても紙に
版を使って印刷するテクニックを最初に発明したのは6世紀末の中国
で、明の時代の中ごろから活字版が盛んに用いられたといいます。
ちなみに木版に関していえば中国に現存する一番古い印刷物『金剛経』
が印刷されたのは868年とされております。
明の時代は日本の室町時代にあたりますが、その頃から日本と中国の
間には勘合貿易がされておりましたし、その前の時代には、遣隋使や遣
唐使の行き来がありました。しかし、これらを利用して印刷術が日本に
もたらされた記録を私は見たことはありません。
私たちの先祖は印刷した経本を競って手に入れたがったのに、それを
生み出した「印刷術」というハードウェアはほしがらなかったのでしょ
うか
同じ頃、中国に負けず劣らず朝鮮でも活字版は多用されていました。
室町幕府はわざわざ使節を派遣して『大蔵経』を無心したほどです。
けれども、実際に活字を使った印刷術は豊臣秀吉のときまで日本に
伝わってきていません。いささか不思議な話です。