強く叩いたら強くこころを打つ、 とは限らへん。 もっとよく見てほしい、シールを剥して。バルトロメオの腐蝕した顔。そして指先。『鍵盤論』表紙の銅版画に、劣化した現実の雨が降っている。病いが背表紙にも進行して、もう人の顔じゃない。胸を強く叩いたらこころを強く打つとは限らへん。どこかで聞いたことがある。もう、うんざり、なんでも分かったような顔。病室の窓から見える庭で、追いかけていたものに、いつのまにか追いかけられていた。病んだこころ、そんなん、あかん。