ヤギの米ぬか愛の味スープが
別の場所に
うなだれている朝日のようにを
昇らせる
(現実のような舞台ではなく舞台のような現実で)
まだ真夜中
コンビニの駐車場でのことだ
少年たち
何歳?十二歳。
(すくないことばと携帯の光すなわち沈黙と孤独というものが)
環になって
カップラーメンをすすっている
それ、なに味?
仲良しの塩濃厚とんこつ化学調味料味。
どうかした?
(「バック駐車ご遠慮下さい」の前にバックで突っ込んでくるもうクタクタだよっていいながら)
助手席のガラスウインドーをさげると
ゲーム音楽が
さて、それはどうかな。
のため息を
劇的にもりあげる
(もうどうでもいいし遠くからかすかに聞こえてくるレゲエビートがむやみになつかしいのだが)
親はいないの?
……
いるよ。
何日も洗濯してないから
そのTシャツ匂うよ
(おいらのせいじゃないしここにいるだれのせいでもない)
親、何してるの?
仕事だよ。
でも……
首になったし、帰って、こないし……
(朝日が昇ってくるのがフロントガラスごしに見える)
投げやりな態度の
弱々しい声が
ラスタカラーの野球帽をかぶって
いま何かを
訴えようとしている
(人の心のなかにある世界は現実だけでできていない)
必死、だよ。
別の世界で
うなだれている朝日のようにを背負って
(つづく)