(このニンゲンは「 」、というロシアの言いぶんには
黙っている
むじゃきに、信じる。
声をたどる
余白しかないページのなかで
(みんなそれぞれじぶん「らしく」生きる新入社員になった
のどをヒューヒュー鳴らしながら
春が来た
じぶんらしくが
ジャズピアノを弾いている
(こういう文脈がつづくとトラっぽい人生から降りたいが
みんなやってきたよ、好きだから
お弁当、
美味しそうじゃな。と「 」は言った
原っぱの隅っこにワゴンが来ている
トンボの顔したマスターがいて
コオロギの声で
いらっしゃい、バスクの月へ。
(コンマでもピリオドでもいいとにかく終わりのしるしを欲しがる複眼の「 」が笑っていない
知らない国の
めずらしい言葉をならべる
知らない街の
やさしさが無限にたわむれている
どこから、来たん?
カザフキスタン
さみしい荒野
とはもう言わないで
(お母ちゃんが死んだ、なにもかも「 」じぶんひとりのせいだ。
言いたいことの
かかとを踏まれた
それでも
うん、それでも?
(ずっと笑うために生きてきた、「 」のほかに何がある?
職人のワークブーツを履いて
人生から
かんたんに降りない
あっ、食堂が。
春耕のどさくさにまぎれおいしい生ビール
おばちゃん、かんにんな。
(はい、すしのかわりにジャム詰めてjam‐packed !
一番搾りでなくてもいい
「 」のなか
列の最後にいるひとの
会話は自由、原っぱの
空白を
ときおり風が吹く
おそろしく強い風が吹く
(つづく)