如意樹の木陰

古い記事ではサイババのことが多いです。
2024年に再開しました。

無題(言葉について思うこと)

2024-05-20 20:06:05 | Weblog

 NIKKEI 2024/05/14
米政府高官は13日、パレスチナ自治区ガザで戦闘を続けるイスラエルの攻撃について「ジェノサイド(大量虐殺)だとは思っていない」と明言した。

 アメリカ国内には、あれはジェノサイドだという意見が多くて、バイデンの再選に悪影響しそうだということでしょう。今行われていることは間違いなくジェノサイドです。それを止められないバイデン政権に何が期待できるでしょうか。

 FNNプライムオンライン 2024/05/15
アメリカのブリンケン国務長官は14日、ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナの首都キーウを電撃訪問し、ゼレンスキー大統領らに対し揺るぎない支持を表明した。
ブリンケン国務長官「メッセージとともにウクライナに来た。あなたたちは1人ではない」

 これは「今はまだ1人ではないけれど、風向きはだいぶん変わってきたから、停戦交渉を早く進めないと、これから先のことはわかりませんよ。あなたの立場も危うくなりますよ」という意味でしょうか。アメリカもヨーロッパのNATO諸国も最悪のケースになる前に戦争を終結させたいのだろうと思います。
それに、大国ロシアとの関係が悪化して、軍備にムダな費用がかかるし、ロシアとの貿易もできないなど悪いことだらけです。勝つ見込みのない戦争にこれ以上関わりたくないのが本音です。

  上川外相が静岡の知事選の応援で、女性の支持者を前にしての演説において「この方を私たち女性がうまずして何が女性でしょうか」と発言して問題になっていますが、たいしたことではないです。「うむ」という言葉を使ってしまったのがミスなんですが、これは「知事にする」という意味で使われています。
しかし、特に政治家は言葉を慎重に選ばないといけません。「産まずして何が女性か」というのは昔からある言い回しなのでしょうが、たぶん戦前の文言であって、確かに今の時代には不適切なのですから、不適切発言と指摘されてもしかたありません。

人間は言葉で考える動物ですから、普段から使う言葉は選ばないといけません。

【ワシントン時事】2024/05/21    バイデン米大統領は20日、ホワイトハウスで演説し、国際刑事裁判所(ICC、本部オランダ・ハーグ)のカーン主任検察官がイスラム組織ハマス指導者と並んでイスラエルのネタニヤフ首相らの逮捕状を請求したことを「言語道断だ」と非難した。また、カーン氏の主張を「拒否する」と表明した。
 バイデン氏はパレスチナ自治区ガザでの戦闘について触れ、「今起きていることはジェノサイド(集団殺害)ではない」と明言。「イスラエルとハマスは決して同じではない」とも述べ、イスラエルが民間人保護に取り組んでいることは「明らかだ」と強調した。
 その上で、「イスラエルの安全保障への脅威に対し、米国は常に共に立ち向かう」と語った。米国内で高まる反ユダヤ主義を容認しない考えも改めて表明した。

【パリ時事】2024/05/21    国際刑事裁判所(ICC)の主任検察官がイスラエルのネタニヤフ首相やイスラム組織ハマス指導者の逮捕状を請求したことを受け、フランス、スペイン両政府は、司法機関としてのICCの「独立性」を支持すると相次ぎ表明した。逮捕状請求を「言語道断」と非難したバイデン米大統領とは対照的な対応となった。欧州メディアが21日伝えた。
 仏外務省は声明で「パレスチナ自治区ガザでの容認できない市民の犠牲」を何カ月も警告してきたと強調。スペイン外務省もX(旧ツイッター)への投稿で、ICCの職務は「介入を受けず自由に遂行されねばならない」と訴えた。

※ いくらアメリカの政権が黒いものを白と言い張っても、黒いものは黒いのです。ところで日本国政府はどんなコメントを出すのでしょうか。だんまりでしょうかね。
ただし、ICCはまだ逮捕状の請求がでた段階で、これからどのようなやりかたで裁判が行われるのか、行われないのかわかりません。プーチンにも逮捕状が出ていますが、先日は中国で歓迎されていました。

 産経新聞 2024/5/23
 米大統領選の共和党候補指名争いを3月に撤退したヘイリー元国連大使(52)は22日、ヘイリー氏が4月に入所した米シンクタンク・ハドソン研究所で米外交政策について演説後、本選でトランプ氏とバイデン大統領の「どちらに投票するか」との司会者の質問に答えた。
 演説でヘイリー氏は「太平洋で戦争を阻止するには欧州での戦争に勝つ必要がある」と述べ、中国の台湾侵攻を抑止するにはロシアに侵略されるウクライナを勝利に導く必要があると訴えた。
 そうした自らが唱える外交政策をめぐり、ヘイリー氏は「トランプ氏は完全ではないが、バイデン氏は破滅的だ」と指摘し、「トランプ氏に投票する」と答えた。

 「ウクライナが負けることが、中国が台湾に侵攻する動機になる」と言っているようにも見えますが、中国はそれほど愚かではないでしょうから、熟した柿の実が落ちるのを待つと思います。もちろんいくらか木を揺らしたりはするでしょうし、もう少し手荒くするなら緩く海上封鎖をするという方法もあるようです。
ヘイリー氏がトランプに接近し始めたのは、トランプ政権の中で地位を確立しようと考えているからかもしれません。トランプの年齢を考えれば、トランプの支持を得てトランプの次という目もないわけではないでしょう。

 朝日新聞デジタル  2024/5/20
 呉江浩・駐日中国大使は20日、日本の国会議員約30人が台湾でおこなわれた頼清徳(ライチントー)新総統の就任式に出席したことについて、「公然と台湾独立勢力に加担するもの」と非難した。在日中国大使館が日本の政治家や学者を招いた座談会で述べた。
 呉氏は、頼氏が率いる民進党について「完全な台湾独立組織」とし、「平和統一の可能性が縮小する」と新政権を批判した。また、「外部勢力が台湾問題でもって中国を制しようとしている」と外国と台湾の結びつきを牽制(けんせい)し、「日本という国が中国分裂を企てる戦車に縛られてしまえば、日本の民衆が火の中に連れ込まれることになる」とも述べた。
 呉氏は「台湾問題は中国にとって核心的利益」と強調し、「我々は最大の努力を尽くして平和統一を目指す一方、武力行使の放棄も絶対確約しない」と主張。「国家の主権と領土の保全を守る中国政府と国民の意思と能力を過小評価すれば、大きな間違いになる」と述べた。

 日中共同声明(1972年)の二項、三項、六項
二 日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。
三 中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。
六 日本国政府及び中華人民共和国政府は、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に両国間の恒久的な平和友好関係を確立することに合意する。
 両政府は、右の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき、日本国及び中国が、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。

※ 台湾については、この日中共同声明に書かれているとおりです。したがって、台湾の今後については台湾に住む人々がよく考えて決めることです。日本と台湾の関係は民間のレベルでの交流に限定されているはずで、日本国政府が干渉するということはありません。
駐日中国大使の発言は恫喝とも取れるものですが、しかし、日本の立場が以前と比べて特に変化したというわけではないと思います。どちらかといえば、中国が最近の軍事力の増強を背景にして少し牽制を強めているという感じはします。
バイデン大統領は「中国が台湾に侵攻したら、アメリカは軍事的に対応する」と、記者会見やテレビ局のインタビューで何度か答えているようですが、アメリカは基本的には今までどおり【対応をあらかじめ明確にしないことで中国の行動を抑止する「あいまい戦略」と呼ばれる戦略】なのだと思います。
『軍事的に対応する』というのは『傍観はしない』という程度の意味で
、米軍が直接中国軍との戦端を開くということではないはずです。
とはいえ、かりに(あくまでも’かりに’です)米軍と中国軍が戦闘状態になることを考えてみます。その場合には米軍基地のある日本に中国からのミサイルが飛んで来る可能性が出てきます。駐日中国大使が言っているのはそういうことなのでしょう。「気を付けていないと巻き込まれますよ」ということです。
なお、日米安全保障条約がありますが、この条約に基づいて日本がアメリカに協力できる範囲は日本国憲法が定める範囲に限られます。同様に、日本が自衛のために出来ることも、日本国憲法の定める範囲です。つまり、戦闘の拡大につながるような武力による反撃はできないということです。「成らぬ堪忍するが堪忍」です。
もちろん正当防衛・緊急避難は認められますが、実際にこれが認められるには法令が定める条件をクリアする必要があります。ではいわゆる暴力装置は全く機能できないのかということですが、「その場の状況からみて社会通念上(国民の生命を守るために)必要かつ相当であると認められる限度内の実力を行使することは許される」のだと思います。


 上川外務大臣会見記録  2024/05/10
 我が国は、先般のパレスチナが国連加盟に係る安保理決議案につきまして、パレスチナが国連加盟に係る要件を満たしているとの認識の下、中東和平の実現に向けて和平交渉を通じた、国家の自立を促進する等の観点を含め、総合的に判断をし賛成しました。他方で、我が国がパレスチナの国連加盟に関する安保理決議に賛成したことと、パレスチナを国家として承認することは別個の問題であり、我が国の現状立場に変更はないところであります。
 引き続き、我が国は、当事者間の交渉を通じた「二国家解決」を支持し、独立国家自立に向けたパレスチナ人の希望を理解し、これに向けたパレスチナの努力を支援してまいります。

 【ベルリン共同】 2024/05/23
 ドイツのベーアボック外相は22日、ノルウェー、スペイン、アイルランドがパレスチナを国家として承認することについて「『象徴的な承認』ではなく、政治的な解決が必要だ」と述べ、イスラエルとパレスチナの当事者間の交渉を呼びかけた。
 ドイツはパレスチナ国家樹立によるイスラエルとの「2国家共存」を支持。ベーアボック氏は記者会見で「今この瞬間に単純な承認が平和をもたらすのであれば、世界中のどの政治家もためらわないだろう」と指摘。「政治的解決を図るために、今は具体的な措置が必要だ」と述べた。

 【AFP  2024/02/17】
  フランスのエマニュエル・マクロン大統領は16日、「パレスチナ国家の承認は、フランスにとってタブーではない」と述べた。

 イスラエルのネタニヤフ首相は二国家解決を強く拒否しています。
バイデン大統領は二国家解決を支持したことがあるようですし、アメリカは全体としてもその方向になりつつあるようです。
二国家解決というからには、将来的にしろパレスチナ国家を承認する方向であるということです。

 (NHK NEWS  2024/5/26) Google 生成AI活用した新たな検索サービスで誤情報が表示
アメリカのIT大手グーグルが今月から提供を始めたばかりの生成AIを活用した新たな検索サービスで、誤った情報が表示されたとアメリカのメディアが伝えています。ピザにチーズをくっつけるために接着剤を使うことを勧めるなどの回答が表示され、波紋を呼んでいます。

 これに似たことを私はWindows11のCopilotで経験しました。
今はそうでもないのですが以前は検索しようとするとなぜかCopilotがしゃしゃり出てくる時期がありまして、試しに「高遠城址公園のコヒガン桜の開花予想を教えて」と質問したところ、とんでもなく早い時期を回答してきました。

これは変だと思って普通にGoogleで検索したら、今年も例年の開花時期とそれほど違わないという答えが出てきたので、Copilotに「間違ってるぞ」と入れたら、謝っていましたが、謝ればよいというものでもないわけで、まだまだ生成AIなるものは実用には耐えないです。
例えれば、小学校低学年がネットの情報を調べながら回答しているような感じです。似た言葉を追いかけているだけで、常識もなければ、慎重でもありません。あまり時間をかけずに、答えらしいものを出してくるのですが、あてにならない情報です。
あるいは暇な人が生成AIと遊んでやって、それでAIが経験し学習してだんだん大人になってくれるなら、そのうち使えるようになるのかもしれませんが、システムの中身がどうなっているのかわからないので、何とも言えません。もちろん私は使っていません。
価値のある正しい情報を手に入れるためには、検索して出てくるたくさんの情報からよさそうなものを自分の経験をもとに選んで、さらに複数の情報を比較検討する必要があります。

【2024/6/2 AFP】 中国の董軍(Dong Jun)国防相は2日、シンガポールで開催中のアジア安全保障会議(通称シャングリラ会合)で演説し、南シナ海(South China Sea)情勢やアジア太平洋地域での弾道ミサイル配備の動きをめぐり、中国の自制にも「限界」があると警告した。
 董氏はフィリピンと米国を念頭に、「中国は権利侵害や挑発を前にこれまでは十分に自制してきたが、限界というものがある」と述べた。
 同盟関係にある米、フィリピン両国は、中国の軍事力や影響力の増大に対抗して防衛協力を強化している。
 南シナ海に位置するフィリピンは台湾にも近いことから、米国はアジア太平洋地域での同盟とパートナーシップを強化する上でフィリピン支援を重視。これが中国側の反発を買っている。

 フィリピンからすれば、「その言葉をそっくりそのままお返しします」と言いたいはずです。
かつてアメリカはフィリピンにあった大きな海軍基地から撤退しまして、それと期を同じくして中国は「南シナ海の管轄権はもともと自国にある」というような法律を作り、諸々の権利を主張し始めたのだと記憶しています。フィリピンはなすすべなく指をくわえてみていたわけですが、フィリピンとアメリカにはもともと相互防衛条約が存在しておりまして、フィリピンが再びアメリカに接近し、アメリカに基地を提供して、現在は中国と向き合っているということなのだと思います。
このエリアではフィリピンの軍事力が弱いことに付け込んで、中国がすでに相当踏み込んでしまっているようなので、小競り合いくらいは起きるかもしれません。しかし、大きな戦闘になるとアメリカ軍が出てくる可能性が高いので、中国もそれは絶対に避けるはずです。それで、中国の国防相のあのような発言になるのだと思います。

(読売新聞 2024/07/13) 
オランダ・ハーグの仲裁裁判所が中国の南シナ海における主権主張を否定する判決を出して12日で8年となった。中国とフィリピンとの摩擦が再燃している。

一方でウクライナ国内の一般市民の現状とか、ウクライナの政治に関する情報の記事がほとんどないのが気になります。まるでウクライナをゼレンスキーが独裁しているようにすら見えてしまいます。

アメリカがウクライナと長期の安全保障協力協定を結ぶのだそうです。すでに英仏独など15ヶ国は署名しているのだそうで、日本も署名する方向らしいです。これは、いわゆる集団安全保障とは違うもののようで、もう少し緩やかな協力関係の協定のようです。簡単に言えば「ハシゴは外しませんから頑張って戦ってください」という意思表示のようなものだと思います。

こうして長引く戦争を見て思うのは、「重要なのは勝つ事ではなく負けない事」ということです。「まともに負けてしまわない」ためにはどうすればよいかというと、「まともには戦わないこと」です。
ロシアのような強国が理不尽に攻めてきた場合、ウクライナ国民の命と生活を考えれば、ゼレンスキーが国外に脱出するというのもひとつの選択肢だったとあらためて思います。ゼレンスキーひとりが汚名を着ることで、それで国民の生命を救うことができるのなら、それも政治家としては偉大な選択です。
「しょせん彼はコメディアンに過ぎなかった」とか「さっさと逃げやがった」とか、酷いことを言われてズタズタにされるかもしれませんが、それも政治家のりっぱな仕事なのだと思います。
そして、そうならないためには、攻め込まれないように外交的手段でロシアとの関係を保つことが重要だったわけで、それが本来の政治家の仕事です。いかに相手がならず者国家とはいえ、攻め込まれてしまった時点で政治的には失策なのです。
大昔なら相手に無理攻めさせて勝つという戦略もあったでしょうが、時代が違います。それにそもそもロシアはそういう相手ではありません。「まさかアメリカが」と思った事が全くなかったわけではありませんが。

それで思うのは、アメリカのスタンスと、ウクライナや日本のスタンスは、おのずと違うということです。軍事大国であるアメリカは、強力な核抑止力も持ってるので、かなり好き勝手なふるまいができますが、日本がそれをまねることは絶対にできません。大国と大国のはざまの小国には、それなりの処世術があるはずです。

まあ、表面的には勇ましいことも言い力を誇示したりもし、同時に友好的な関係を築くことに努力し、面倒なことが起こらないように腐心するという多面性を要求されるのが外交であり政治なのでしょう。

  【読売新聞 2024/06/15 】 ローマ教皇フランシスコは14日、先進7か国首脳会議(G7サミット)に歴代教皇で初めて出席した。人工知能(AI)に関する議論の場で、AIの利用や開発に関する倫理について基調講演を行い、各国首脳にAI規制の推進を呼びかけた。
 教皇は演説で、AIが標的を選択して殺害する自律型致死兵器システム(LAWS)について「いかなる機械も、人間の命を奪うことを選んではならない」と述べ、「開発と使用を再考し、最終的には使用を禁止することが急務だ」と訴えた。「AIの上手な活用を可能にする条件を整える責任は政治にある」と締めくくり、各国首脳らに規制に取り組むよう求めた。

 実はこの記事の表題が《 ローマ教皇、AI規制の推進呼びかけ「最終的には使用禁止が急務」「いかなる機械も人間の命を奪うことを選んではならない」 》だったので、私はAI全般の全面的な禁止を言っているのかと思い驚いたのですが、そうではありませんでした。あくまでも殺傷兵器としての利用についてということでした。
なお、「使用禁止」という強い表現を使っているのは読売新聞だけのようでしたが、実際にはどんな言葉だったのでしょうかね。
ローマ教皇がこのような政治の場で首脳とテーブルを囲んでいる図は珍しいですが、今の世界はそうしなければならないほどに緊張が高まっているということなのでしょう。

  【毎日新聞 2024/06/12 】 米インド太平洋軍のパパロ司令官が、10日公開の米紙ワシントン・ポストのインタビューで、中国が台湾に軍事侵攻した場合の初期対応について「多数の機密装備を使い、台湾海峡を無人兵器による地獄絵図にする」と述べた。無人航空機や無人艦艇などの活用が念頭にあるとみられ、「約1カ月は中国側に惨めな状況を強い、我々は他の対応をするための時間を稼げる」と説明した。
 パパロ氏は、同紙のコラムニストであるロギン氏のインタビューで、中国の艦隊が侵攻のために台湾海峡の航行を始めた場合の対応を説明。無人兵器の詳細は明かさなかったが「本物で調達可能だ」と強調した。米国防総省は2023年8月、2年間で数千の自律型兵器システムを配備する計画を公表しており、無人兵器の大量調達を急いでいる。
 <中略>
 米国は台湾と正式な外交関係はないが、国内法である台湾関係法に基づき、台湾の防衛に必要な武器供与などを行っている。米軍による台湾防衛の意思を意図的にぼかす「あいまい戦略」も取っているが、バイデン大統領は有事には米軍を送って防衛する意思を再三表明。今年5月の米タイム誌のインタビューでも、米軍派遣の可能性について「状況による。米国の軍事力を使うことは排除しない」と述べている。

 ここで言っている「自律型兵器システム」は、たぶん前の記事でローマ教皇が禁止にしなさいとおっしゃっていたヤバい兵器です。このヤバい兵器をどこに配備するのでしょうかね。
どちらにしても、アメリカ軍の戦争の戦い方は、もう従来のスタイルではなさそうだということがわかります。最前線での戦闘の主役は無人の自律型兵器になるということです。もしかするとすでにウクライナでの戦闘で実戦テストが行われている可能性もあります。ウクライナでの戦争ではドローンが大きな効果を上げているようですが、このドローンがアメリカ軍だとAIによる自律型兵器に置き換わっていくということだと思います。
アメリカがその開発を進めているということは、当然中国も進めているはずです。
しかし、このような高価な新兵器ではなく、ドローンにような安価な兵器を大量に投入して飽和攻撃にしてしまうのも実戦では有効だと思います。
 
 緊張を高めて、防衛予算の増額を要求し、兵器産業を活性化しても、何も良いことはありません。人類が行きつく先は見えています。
旧約の時代からすでに「彼らは剣を打ち直して鋤とし、槍を打ち直して鎌とする。国は国に向かって剣を上げず、もはや戦うことを学ばない」と言われているわけです。それにもかかわらず人を昔と変わらず駆り立てているのは、恐怖心なのか猜疑心なのか欲望なのか妄想の産物なのか、いったい何なのでしょう。 
 たとえば「世界の緊張が高まっているから、軍備を増強しなければならない」というのは、アメリカ的な考え方ですが、間違った考え方です。それをするなら、いっそ核武装してしまった方が、まだ合理的です。「防衛予算を増やしてもいたちごっこだから、日本国は核武装します」と宣言してみたらどうですか、もちろん冗談ですが。
諸悪の根源がアメリカ的な考え方にあることは明白です。アメリカは今でも世界一の軍事大国なのですから、今からでも考え方を変えて、真剣に軍縮に取り組まないと、とんでもないことになります。

 2024-07-11  CRIonline】 (中国)外交部の林剣報道官は11日の定例記者会見で、ブリンケン米国務長官の中国に関する発言に言及し、強い不満と断固たる反対を表明しました。

 林報道官は、「ウクライナ危機の発生当初、米国は中国がロシアに軍事支援を提供したというデマを撒き散らしていたが、未だにいかなる実質的な証拠も示していない」と訴え、「実際には、ロシア側の兵器とその部品の6割以上は米国をはじめとする西側諸国から輸入したもので、ウクライナ側に破壊されたロシア軍装備のコア部品の95%以上は西側諸国から輸入されたもので、ロシア製兵器に使われている西側製部品の72%を米国企業から購入したものが占めているとするデータもある」と述べました。

 さらに、「米国とその同盟国は未だにロシアとの貿易を中断しておらず、昨年の対ロシア貿易額は1300億ドルを上回ってロシアの対外貿易の18%を占めている。米国が一方で大規模なウクライナ支援案を発表しながら、他方では中国とロシアの正常な経済貿易往来を非難しているのは、明らかに偽善的なダブルスタンダードではないか」と指摘しました。

 林報道官はまた、「誰がウクライナ危機を企てた張本人なのか?誰が地域を衝突に陥れた黒幕なのか?誰が危機を長引かせている元凶なのか?誰が世界の平和と安定を脅かす最大のトラブルメーカーなのか」と四つの質問を投げかけ、「国際社会はそれをはっきりと見ており、中国はウクライナ危機の張本人ではなく、当事者でもない。米国による責任転嫁や脅迫は絶対に受け入れられない」と強調しました。(end)

 CRIというのは中国国際放送(以前の北京放送?)です。日本の報道機関でこれをニュースとして報道しているところはないようです。内容的にみても特に目新しいところはないのかもしれません。
また、ここで言っている「ブリンケン米国務長官の中国に関する発言」がいつのどの発言なのか、はっきりしません。
ロシアのウクライナ侵攻についての中国のスタンスはあいまいなものでして、明確には善悪の評価をしていないのだと思います。そういう立場でアメリカや西側諸国を批判的に見るとこうなるということです。
この記者会見の内容がすべて正当なものとも思えませんが、ある程度の真実を語っているようには思います。

そういえば、こんな記事もありました。

真実を教えよう! 米国がウクライナ追加支援を決めた「3つの隠蔽された目的」(塩原 俊彦) @gendai_biz 2024.05.12


話は変わりますが、バイデン大統領の大統領候補としての評価がだいぶん下がってきているようです。民主党内でよくよく検討してあきらかにトランプに負けると判断されれば、出馬断念を説得されるかもしれませんね。ただ、本人が納得する必要があるわけで、本人が自身をどう評価しているかということにかかっているわけです。しかし、自分自身の評価も満足にできないほど老いが進行してしまったらどうするのかとは思います。もちろんそこまで進行すれば現在の任期も全うできませんから、憲法修正第25条の適用を考えることになるわけです。ただし、立候補はこの範疇ではありません。
言葉の言い間違い自体は、若いうちからありがちな人もいます。原稿なしでその場で言葉を組み立ててゆくという作業が、どのように脳内で処理されて実行されているのか、私などには皆目見当もつきません。私もかなり言い間違いが多いタイプなので、そのあたりの評価には興味があります。ただ、隣にいるゼレンスキーを紹介するのにプーチンと言ってしまうのを見れば、不安になります。バイデンの頭の中で、ゼレンスキーとプーチンは置き換わるほど近くにいるわけです。
バイデンは当然ですが78歳のトランプでも大統領候補としては高齢過ぎます。こういった人が候補者として残ってしまうのは結局選挙資金や利権のつながりなのでしょうかね。それともアメリカの国民がみんな老人好きなのか。まったくわかりません。

 7月13日にトランプ前大統領が銃撃を受けました。トランプは耳を怪我したようですが、大きなケガではなかったようです。しかし観客の1人が死亡し、重症者が2人出たそうです。
20歳の犯人が何の目的で今回の暴挙に至ったのか、全く情報がありません。政治的な目的なのか、それとは別の動機があったのか、犯人は射殺されたので、わからないままかもしれません。ライフル銃を乱射している犯人は、即時に射殺して止めるしかありません。銃のある社会は怖いです。
暴力ではなんの解決にもなりません。暴力は暴力を呼ぶだけです。
今回の事件は、結果的にはトランプの選挙戦にとってプラスに働くだろうと予想できます。もともと打たれ強いイメージのあるトランプですが、はからずも今回、本当に撃たれても強いところを示しました。
トランプに勝てるとしたらミシェル・オバマなのだそうです。だったら司法の専門家で政治的にも経験がありたぶん意欲もあるであろうカマラ・ハリス副大統領でいいように思うのですが、なぜミシェル・オバマなのでしょうかね。

⑱ 7月25日追記  バイデンが撤退を表明し民主党の大統領候補はカマラ・ハリスでほぼ確定のようです。近いうちに党大会で正式に指名されて受諾することになるでしょう。まだ副大統領候補がはっきりしていませんが、すでに打診しているでしょうから、それも近々決まっていくはずです。
現状ですでにトランプとハリスの得票予想はほぼ互角になっているようですから、ハリスが勝てる可能性は充分にあります。
とにかくバイデンから後継を指名されるまで、ハリスはバイデンを支える立場だったわけです。それを考えれば、わずか数日でほぼ民主党内を固め、トランプと互角の評価を得たことは、驚くべきことです。
トランプがコアな支持者を持っているのは事実ですが、反トランプ側からすれば78歳のトランプに不安を感じ、しかもバンス副大統領候補には危険な匂いを感じてしまっているようです。

ハリスは59歳。経歴は、地方検事⇒州の司法長官⇒上院議員⇒副大統領です。また2019年の大統領選挙では立候補者のひとりでした。


7月25日のbloombergの記事によれば『 この「新生カマラ」は民主党全体に支えられ、自身と自身が発するメッセージに対する自信にあふれている。メッセージの核は以下の問いだ。「あなたが住みたいのは自由と法の支配がある国か。それとも、混乱や恐怖、憎悪に満ちた国か」。 ハリス氏は、思いやりがあって法と秩序を重んじる検察官として出馬する。中間層を強化し、自由と平等のために戦い、未来に目を向けると訴えている 』ということです。

TV討論会などの結果によってどうなるかわかりませんが、今の時点では勢いはハリス側にあるように感じます。いままでずっと、白人の高齢者同士の選挙戦にうんざりしていた人々が、ハリスの登場で活性化されて投票することになれば、アメリカは変われるかもしれません。
しかしまあ、あまりハリスに期待し過ぎてもいけません。現職の副大統領であるハリスは、基本的にはバイデンの政策を引き継ぐというスタンスです。

⑲ 7月27日追記  カマラ・ハリスが表舞台に立ったことで、彼女についてあることないこといろいろと尾ひれを付けて中傷するような記事が出てきています。
刺激的な表題に誘われてそんな記事を読んでも、その内容はとるに足らない昔の事柄についてのゴシップ記事のようなものです。
これから選挙までに、まだまだいろいろと言われて、つらい思いをするかもしれませんが、笑顔とみなぎる自信で力強く乗り切ってもらいたいものです。

考えてみれば、資金もなければ人脈もない一地方検事がアメリカの政治の世界の階段を登るということは、ものすごいことなのだとわかります。
それをやってのけて、現に副大統領であり、次期大統領候補なのです。
重要なのは、今彼女が何を考え、これから何をしようと考え、アメリカと世界をどのように導こうとしているかということです。

⑳ 8月9日追記  この記事も追記の繰り返しで長くなりましたから、今回でいちおう終わりにするつもりです。

1945年8月9日、原爆の投下により、当時の長崎市の人口24万人(推定)のうち約7万4千人が死亡しました。
その平和祈念式典が今日行われます。



今年の長崎市の式典にはイスラエルを招待しなかったようです。これについてG7の6カ国とEUは懸念を示して、式典への高官の派遣を取りやめたそうです。「イスラエルをロシアやベラルーシと同等に扱うことになり、誤解を招きかねない」という懸念からだそうです。
西欧諸国の感覚ではイスラエルは仲間ということなのですかね。あとはユダヤ社会の政治への影響力が無視できないということもあるのでしょう。
長崎市長は「表向きの理由」を話していますが、「イスラエルのやり方に対する批判」を形にしたと受け取られても仕方のないことです。もちろん本当のところは私にはわかりません。
これは慰霊のための式典でもありますから政治利用するのは控えるべきという考えも理解できますが、これはこれでいいんじゃないかとも思いました。多少の波風を立てないと、本当のところは見えてこないわけで、これによって、西欧の政府の考え方や団結力もよくわかりましたし、イスラエルがためらわずに市民を巻き添えにし続けることができる理由も少しわかったような気がします。


赤城の鈴ヶ岳

2024-05-12 08:49:11 | 登山・ハイキング

2024年5月10日、赤城の鈴ヶ岳にシャクナゲの咲く頃だろうと思って出かけました。


   地図 (この地図は国土地理院のホームページの地図をもとに、加工を加えて作成しました)

鈴ヶ岳へ登るには、新坂平から鍬柄山経由で往復します。鍬柄山を往復で計2回登ることになりますが、1回の登りが150m程度なので、鈴ヶ岳の登りと合わせても450mですから、たいしたことはありません。登山道には何カ所か補助のロープが付いていますが、難しいところはありません。
鈴ヶ岳は赤城山の側火山で、溶岩ドームです。登山道の付いている尾根以外はかなり急な斜面になっているようです。

以下は写真です。


  新坂平の駐車場(A地点)


  新坂平の風景

山の斜面を見ると数本の山桜が花を付けているのが見えましたが、もうほとんど散ってしまっているようでした。登山道に花びらがたくさん落ちていました。


  鍬柄山の山頂(C地点)

以前は道標が立っていたのですが、なくなっていました。鈴ヶ岳の山頂は展望がないので、鍬柄山で展望を楽しみます。鍬柄山と鈴ヶ岳の標高はほぼ同じです。


  鍬柄山からの眺め

上州武尊山と至仏山が見えていました。


  鍬柄山山頂のすぐ先にある岩場

ロープも付いているので、危ない感じはありません。


  鍬柄山側から見た鈴ヶ岳


  荒山と鍋割山

ずいぶん上の方まで新緑が上がってきています。


  鈴ヶ岳のシャクナゲ

鍬柄山と鈴ヶ岳の間の鞍部(D地点)を過ぎて、鈴ヶ岳に少し登ると登山道の北側斜面にシャクナゲの群落があります。
今年は花の数が少ないです。満開を少し過ぎた感じに見えました。


  鈴ヶ岳の山頂

展望はほとんどありません。
山頂に登る登山道は1本だけです。
鈴ヶ岳は登山道も山頂も大きな岩だらけで、溶岩ドームらしい山です。

赤城山はこれからいろいろなツツジが咲いて、それからレンゲツツジが咲きます。シロヤシオが咲くのは5月の末頃でしょうか。



Dell SupportAssistのメモリリークとアンインストール

2024-05-09 14:59:53 | Weblog

DELLのデスクトップパソコンがおかしくなってしまいました。
メモリー使用量が90%を超えて、スムーズに動かなくなっていました。
タスクマネージャーを調べると、DellSupportAssistというプログラムがメモリーを大量に使っていることが判明しました。
検索して調べたところ、どうもメモリリークを起こしている可能性が高いようです。
Wikipediaによれば、【メモリリーク (英: memory leak) とは、プログラミングにおけるバグの一種。プログラムが確保したメモリの一部、または全部を解放するのを忘れ、確保したままになってしまうことを言う。プログラマによる単純なミスやプログラムの論理的欠陥によって発生することが多い】

これについてのDellの対策を調べると、【解決方法 回避策:コンピュータを再起動します(シャットダウンしないでください)】とだけ書いてありました。
これでは、根本的な解決にはならないようですが・・・

さらに調べると個人の記事として【 [公式回答]まさかのDELL SupportAssistは不要 】というような記事が出てきました。要するに「不具合が発生するなら、アンインストールしてもかまいません」とDELLのサポートが回答する程度のソフトのようです。
これについては、あとで私もDELLのサポートに確認して似たような回答をいただきました。
【このプログラムがなくても、このプログラムがしていたような作業は、ほかのソフト(Windowsに組み込まれているソフトの意味らしい)でもしているから、再インストールしなくてだいじょうぶ】というような回答でした。

ということで、アンインストールして、とりあえず問題は解決したようです。しかし、なんかスッキリしませんよね。
DELL側ではすでにこういう問題が起きる可能性がわかっているわけですから、対象者にメールなどで連絡してくれればよさそうなものです。
それに、サポートの契約を結んでいないユーザーは、対処に困ってしまうのではないかと思います。パソコンの動作が非常に遅くなるので、途方にくれます。
また、DELLの提供している解決方法にしても、この(シャットダウンしないでください)を読むより前に、多くの人はシャットダウンしてしまっているはずです。シャットダウンしたからといって壊れることはないようですが、それにしてもイヤな感じはします。ちなみにメモリー使用量が90%を超えた状態で再起動をかけるとかなり時間がかかります。このまま再起動しないのではないかと心配になるくらいです。
《 追記 2024.05.14 》 DELLのこの不具合は5月に入って多発していたみたいです。正しい対処方法はどこかに公開されているのでしょうかね。そういえば、あのあとDELLのアップデートがありましたから、そういう形で対策したのかもしれませんが、特にアナウンスはありませんでした。


 


バラモン教~ヒンドゥ教~仏教

2024-05-02 19:35:24 | Weblog


バラモン教・ヒンドゥ教・仏教の関係がはっきりしなかったので、いくつかコピペして並べてみました。
長い文章の途中だけ切り取ったりしているので、誤解を招くところがあるかもしれません。ご勘弁を。

A.バラモン教(出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典)

インド古代の宗教。バラモンが司祭し指導したためヨーロッパ人が便宜的につけた名称。仏教興起以前のヒンドゥー教をいい,そのうちの最古の段階を「ベーダの宗教」ということもある。アーリア人がインダス川上流地方に侵入し,先住民を征服してこの地方に定住,発展する間に次第に形成された信仰。彼らは自然現象を神々として畏敬し,供犠によって神を祭ることで災厄を免れ,幸福がもたらされると信じた。この祭りを司るバラモンが最高の階級で,王族 (クシャトリヤ) を第2,農工商人 (バイシャ) を第3,被征服民の奴隷 (シュードラ) を最下位とするカーストをつくり上げた。やがてガンジス川上・中流へ広がっていく間に,この祭祀中心主義への反省批判が起り,自然現象の背後にあって現象を動かす原理としての梵 (ブラフマン) と,自己の内奥にある純粋無垢の我 (アートマン) とが融合する梵我一如の境地を追求する思想が出現。ここから祭祀にとらわれない自由思想家群が現れ,このなかからブッダやマハービーラが出て,仏教やジャイナ教を説いた。他方,一般の人々に対しては現象を動かす原理である梵を神とし,この神ブラフマーを唯一最高神とする信仰を説くこととなり,このような最高神として,ほかにシバ神やビシュヌ神崇拝が出現しのちのヒンドゥー教となった。

ウパニシャッド哲学
ウパニシャッド哲学は、古代インドの後期ヴェーダ時代(紀元前1000年 - 紀元前500年)の文献『ウパニシャッド』にもとづく哲学である。バラモン教が形式的になり、バラモンが単に祭祀を司る役割だけになっていることを批判し、内面的な思索を重視し真理の探究をすすめる動きが出てきた。それがウパニシャッド哲学であり、ヴェーダの本来の姿である宇宙の根元について思惟し、普遍的な真実、不滅なものを追求した。ウパニシャッド哲学によると宇宙の根源であるブラフマン(梵)と人間の本質であるアートマン(我)とを考え、この両者が究極的に同一であることを認識すること(梵我一如)が真理の把握であり、その真理を知覚することによって輪廻の業(ごう)、すなわち一切の苦悩を逃れて解脱に達することができると考えている[3]。後期ヴェーダ時代に現れたこの内面的思索の重視と、業・輪廻の死生観は、次の時代にバラモン教に対抗する二つの宗教(仏教とジャイナ教)を誕生させた。

B.ヒンドゥー教( 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) )

インドで信奉されている宗教の一つ。インド教といわれる場合もある。本来、宗教・文化の渾然(こんぜん)とした複合体に対する便宜的な呼称であり、正確な定義を与えることは不可能。「ヒンドゥー」Hinduとは、インダス川の名称に起源をもつペルシア語であり、「インダス川の流域の人々」を意味したが、のち「インド人」を意味するに至った。これが英語などにも取り入れられて、ヒンドゥーの宗教・文化をさすのにヒンドゥイズムという語がつくられた。ヒンドゥー教はこの語の邦訳である。

広義のヒンドゥー教はバラモン教をも内に含んでいるが、ヒンドゥー教という語はバラモン教と区別して使用されることがある。この場合には、バラモン教は、仏教興起以前にバラモン階級を中心にベーダ聖典に基づいて発達した宗教をさす。他方、ヒンドゥー教は、紀元前6~4世紀にベーダ文化の枠組みが崩壊し、バラモン教が土着の民間信仰などを吸収して大きく変貌(へんぼう)した形のものをさしている。しかし両者はまったく別のものというわけではない。ヒンドゥー教は多神教であり、特定の開祖をもたず、その起源も明確ではなく、自然に形成されたもので、宗教的な観念や儀礼と融合した社会習慣的性格を多分にもつ。一般に民族宗教といわれるが、インドを越えて伝播(でんぱ)したこともあり、またインドそのものがヨーロッパに匹敵する一つの世界であるなどの理由で、それを否定する学者もいる。ヒンドゥー教は、途方もないほどの包摂力をもち、極度に発達した哲学体系から、もっとも原始的な信仰や呪術(じゅじゅつ)をもそのなかに取り込んでいる。そのうえに、カースト制度やアーシュラマ(生活期)制度をはじめ、人間生活の全般を規定する制度、法制、習俗などを内包している。ヒンドゥー教はおよそ「宗教」という概念を逸脱している。

インダス文明が現在のパキスタンの領内にあるモヘンジョ・ダーロとハラッパーを二大拠点として紀元前2300~前1800年を中心に栄えていた。しかし紀元前1500年ころアーリア人が西北インドに進入、パンジャーブ(五河)地方に定着し、紀元前1200年を中心に聖典『リグ・ベーダ』を編纂(へんさん)した。その後、紀元前500年ころまでに主要なベーダが編纂され、バラモン教の全盛時代を迎えた。しかし紀元前500年ころ、社会的大変動の結果ベーダ文化の枠組みが崩壊して反バラモン教的自由思想家たちが輩出し、仏教やジャイナ教が成立した。仏教が宗教・思想界の主流をなしていた紀元前2~後3世紀ころ、バラモン教が土着の非アーリア的民間信仰・習俗などの諸要素を吸収し、大きく変貌を遂げてヒンドゥー教が成立した。ヒンドゥー教はバラモン教を基盤としてはいるが、(1)固有の聖典の編纂と哲学諸体系の成立(紀元前後以降)、(2)宗派の成立(紀元1~2世紀以降)、(3)強いバクティ(信愛)思想の盛行(600~800年以降)、(4)タントリズムの形成(7世紀以降)、(5)イスラム教の浸透(13世紀以降)、(6)イギリスの支配、キリスト教の伝播、西洋文明との接触(1800年以降)、などの過程を経て、今日みられるヒンドゥー教が形成された。

宇宙観
宇宙の創造には種々の説がある。絶対者ブラフマンが遊戯(リーラー)のために宇宙の創造を行ったとしたり、この現象世界はブラフマンの幻力(マーヤー)によって現出されたもので、本来は幻影のように実在せず、ブラフマンのみが実在すると説かれることもある。宇宙の中間にある大地は、メール山(須弥山(しゅみせん))を中心とする円盤で、七つの大陸と七つの海をもつ。メール山が真ん中にそびえ立つ大陸がジャンブ・ドゥビーパと称され、その重要部分がバーラタ・バルシャ、すなわちインドである。この宇宙は、ブラフマー(梵天)の1日の間、すなわち1カルパ(劫(こう)、地上の43億2000万年)の間持続し、1日が終わればふたたび宇宙は梵天に帰入する。宇宙は1カルパごとに創造と帰滅を繰り返す。1カルパは1000マハーユガに相当し、1マハーユガは4期からなり、後の期は前の期よりも人間の信仰・道徳性などが低下しており、現在は紀元前3102年に始まった暗黒期であるカリ期にあたり、この期の終わりに宇宙の大帰滅が起こるといわれている。

業と輪廻
人間は死んで無に帰するのではなく、各自の業のために来世においてふたたび新しい肉体を得る。このように生死を無限に繰り返す。これが輪廻(りんね)である。業(ごう)とは、行為を意味するサンスクリット語のカルマンkarmanの訳語。あらゆる行為は業として蓄積され、業は、その行為者がその果報を経験し尽くさない限り消失しない。業・輪廻の思想はウパニシャッドのなかで初めて明確な形をとり、ヒンドゥー教の中核的な教義となったが、本来人間の自由意志を否定する運命論や決定論とは本質を異にしている。

法(ダルマ)
サンスクリット語のダルマは、習慣、義務、教説など多くの意味をもっているが、簡単にいえば行為の規範である。ヒンドゥー教にはダルマをまとめた法典群があるが、その中心的課題は種姓法と生活期法である。種姓法はバラモン、王族、庶民、隷民の4階級(バルナ)のおのおのに課せられた法である。生活期法は学生期、家住期、林棲(りんせい)期、遊行(ゆぎょう)期という人生の4時期のおのおのについて規定されている規範である。各自の生まれた種姓と現に属する生活期に対して規定された法を、事の成否や利害を考慮することなく、利己心を離れて実践することが勧められている。ダルマの実践は、物質的・経済的利益を追求する実利(アルタ)、愛情・性愛を追求する愛欲(カーマ)、および次に説明する解脱(げだつ)とともに、ヒンドゥー教徒の人生の四大目的とされている。

解脱(モークシャ)
ダルマ・実利・愛欲はたとえ実現されたとしても、得られる結果はせいぜい天界に生まれることが最高の果報であり、結局、輪廻のなかにとどまっているにすぎない。そこでウパニシャッドの思想家たちはさらに進んで業・輪廻からのまったき自由、すなわち解脱(モークシャ)を追求するに至り、解脱が人生の最高の目的とされた。それを実現する方法として、行為の道、知識の道、信愛(バクティ)の道という三つの道が説かれ、とくに神に対する信愛の道は万人に実践可能であり、7、8世紀ころから大きな宗教運動となって展開し今日に至っている。業・輪廻・解脱の問題は、一般のヒンドゥー教徒にとって切実な問題であったばかりではなく、思想家たちにとっても重要な課題であった。種々事情を異にするとはいえ、ヒンドゥー教の頂点を形成するサーンキヤ学派をはじめとする六つの代表的哲学体系(六派哲学)が成立し、理論的・体系的に解脱とその方法を考究した。なかでもウパニシャッドに立脚するベーダーンタ学派はインド思想の主流を形成し、現代のインドの知識人の代表的な哲学となっている。

C.仏教(Wikipediaより)

仏教の教義は苦の輪廻からの解脱を目指す。原因と結果の理解に基づき、諸々の現象が縁起するとされる。
仏教の教義は時代や地域ごとに変化していった。歴史に実在した人物としての釈迦が生前に説いた教義についても、諸説がある。

仏教学者の中村元は、そもそも歴史に実在した人物としての釈迦は「仏教というものを説かなかった」と主張する。
釈迦が説いたのは、いかなる思想家・宗教家でも歩むべき真実の道である。ところが後世の経典作者は、仏教という特殊な教えをつくってしまったのであると述べ、仏典が説く「仏教の教義」の多くは後世の創作であると指摘した。
原始仏典『スッタニパータ』第803偈でも、釈迦は明確に「教義」をもつこと自体を否定している。
《 かれらは、妄想分別をなすことなく、(いずれか一つの偏見を)特に重んずるということもない。かれらは、諸々の教義のいずれかをも受け入れることもない。バラモンは戒律や道徳によって導かれることもない。このような人は、彼岸に達して、もはや還ってこない。》
仏教は、普通は「法を説く」と言われているのに、ここでは「法」(dhamma)を否定している。 その意味は<教義>なるものを否定しているのである。教義を否定したところに仏教がある。

釈迦が臨終の直前に語った生涯で最後の言葉は、《 さあ、修行僧たちよ。お前たちに告げよう。もろもろの事象は過ぎ去るものである。怠ることなく修行を完成させなさい 》。
仏教の要訣は、無常をさとることと、修行に精励することとの二つに尽きることになる。<無常>の教えは、釈尊が老いて死んだという事実によってなによりもなまなましく印象づけられる。それがまた経典作者の意図であった。仏教の本質は、ここに尽きるのである。

中村元の弟子で仏教学者の植木雅俊は、さまざまな原始仏典を引用し、釈迦が主張した「本来の仏教」を以下のように推定復元している。
《 本来の仏教の目指した最低限のことは、①徹底して平等の思想を説いた。②迷信やドグマを徹底的に否定した。③絶対神に対する約束事としての西洋的倫理観と異なり、人間対人間という現実において倫理を説いた。④「自帰依」「法帰依」として自己と法に基づくことを強調した。⑤釈尊自身が「私は人間である」と語っていたように、仏教は決して人間からかけ離れることのない人間主義であった――などの視点である。》

D.空海関連

(大日経入真言門住心品)
仏言さく
菩提心を因と為し、大悲を根本と為し、方便を究竟と為す
秘密主、云何が菩提ならば、謂く実の如く自心を知るなり
秘密主、是の阿耨多羅三藐三菩提は、乃至彼の法として少分も得可きこと有ること無し
何を以ての故に。虚空の相は是れ菩提なり、知解の者も無く、亦た開暁(さとる者)も無し
何を以ての故に。菩提は無相なるが故に
秘密主、諸法は無相なり、謂く虚空の相なり
   注)阿耨多羅三藐三菩提:仏の悟り。一切の真理
をあまねく知った最上の智慧。

(般若心経)
観自在菩薩が深般若波羅蜜多を行じし時、五蘊は皆空なりと照見して、一切の苦厄を度したまえり。
   注)深般若波羅蜜多:根源的な叡智の完成
   注)私は、この観自在菩薩の「観」は仏教の瞑想法としての「観」のことだと思っていたのですが、ネット上にそういう解釈は見当たりませんでした。あるいは、「観られることに自在」と訳すなら、「衆生を救うためにいろいろな姿を取って現れる菩薩」という意味かもしれませんが、これだと十一面観音のようです。「いろいろな姿に観られることができる」ということがつまり「自分自身の実体というような観念にとらわれず、こだわりなく自由に自分を変えることができる」という意味であれば、般若心経を説く主人公としては適任といえるかもしれません。

(空海:般若心経秘鍵)
無辺の生死何んが能く断つ。
唯禅那正思惟のみ有ってす。
(中略)
夫れ仏法遥かに非ず、心中にして即ち近し。
真如外に非ず、身を棄てて何くんか求めん。
迷悟我に在れば、発心すれば即ち到る。
明暗他に非ざれば、信修すれば忽ちに証す。

(理趣経)
説一切法清浄句門
(「一切法つまり現象世界に存在するすべてのものが本質として清浄である」ということを説く)

《 追記 》真言密教で使う「清浄」の意味がなかなか分かりません。
松長有慶氏の書いた理趣経の解説には【「一切法の清浄句の門」とは、現象世界に存在するものすべてが自と他の対立を離れ、自他無二平等ということがわかっていることが清浄であるという意味です。】とあります。
ネットを調べたところ【「清浄」について】という詳しい解説がありましたのでリンクを貼っておきます。

http://www.buzan.or.jp/wbuzanhap/wp-content/themes/buzanha/_assets/general_pdf/10Ohnishi.pdf

ここからいくつか抜き書きすると、
・「清浄」と訳されている原語には、「普段は隠されているそのものの本来のすがた、本来の存在意味」という意味がある。
・「清浄」が諸法の根源的境地・価値に通じるものであることを示している。

・真言行者が菩薩道を歩むとは、他を思いやる悲念と共に、判断を誤らぬ無我なる清浄に思いを至さねばならない。
・区別限定をする類の戯論を離れて、 無垢光の真実義たる清浄にこそその根拠を置いているのである。
・清浄なる実態はどういうものであるかといえば、 寂静でもあり、 何よりも平等であることを特徴としている。
・清浄な菩薩は、純粋な慈悲心の自らなる発動の結果として行動する。

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仏教については釈迦の話しかコピーしませんでしたが、その後大乗仏教が盛んになり、禅宗や密教も出てくるわけです。
空海関連の経典の並び順については、いい加減です。
仏教の悟りとは、大日経によれば「実の如く自心を知る」です。そのための修行法は空海によれば「唯禅那正思惟のみ」ということです。般若心経の観自在菩薩の修行内容もこのようなものだったはずです。修行法についてはこれ以上詳しく書かれていませんが、私はサマタ瞑想・ヴィパッサナー瞑想を思い浮かべます。
私が親戚の法要で耳にするお経は、これ以外には観音経偈や修証義があります。修証義は聞いてある程度わかるので好ましく思います。
禅宗は私には分かりません。柳田聖山訳の「臨済録」は読んで面白いのでたまに開きますが、内容はさっぱり分かりません。
ヒンドゥーの本としては、上村勝彦先生の書いたバガヴァッド・ギーター関係の本がよいと思います。

 《 『バガヴァッド・ギーターの世界 ヒンドゥー教の救済』 上村勝彦著 》
久しぶりにこの本を拾い読みしています。素晴らしい本です。読みやすくわかりやすい文章です。
どのページを開いても、心に響いてきます。ギーターの世界を仏教やそのほかの思想と比較しながら丁寧に解説しています。
もとはNHK出版から出た本ですが、今はちくま学芸文庫として手に入るようです。