祈りを、うたにこめて

祈りうた(でくの坊  少年  「嘘」のねがい)

少年

 

 

少年は盗みをした

少年はしらばくれた

少年は盗みをし、しらばくれた けれど

とがめられなかった

少年は石を投げた

玄関のガラスを割った

 

少年は盗みをし、しらばくれ、とがめられなかった けれど

石を投げて玄関のガラスを割った

そのまま家に帰った

少年は盗みをし、しらばくれ、とがめられなかったけれど

玄関のガラスを割り、そのまま家に帰った

家に帰って母に何も言わなかった

何も言わずに夕飯を食べた

 

盗みをされ、しらばくれられ、玄関のガラスまで割られた

その家のひとは

その後もいっさいとがめなかった

 

その日から六十三年あまり

少年は その日を

心臓に縫(ぬ)いつけたままだ

 

 

 

 

「嘘」のねがい

 

 

おれはずるいな

―嘘がつぶやいた 

 嘘を平気でつける

その嘘をつぎつぎと重ねることもできる

重ねているうちに

 なんだか本当のような気がしてくる

だから 心はあんまりいたまない

 

でも

―あるとき嘘がまじめな顔をしていった

おれは 実をいうと

嘘が嫌いなんだ

勝手な話だけれど

もしも体のなかに嘘の玉があって 

その数が決まっていて

嘘をつくたびに一つずつ

ひとつずつ無くなっていく

そうであるなら どんなにいいか

嘘の玉は

いつか使い果たされるんだから

(重ねて嘘をついたら

ひとつ増えるんだけれど)

 

おれがいよいよというとき

―嘘か本当かわからない顔で嘘がささやいた

最後の一個がくす玉のように割れるんだ

そこから一枚 

紙が出てくる

その紙にはこう書いてあるんだ

「嘘はこれで最後です

 これは  ほんとうです」

 

 

●ご訪問ありがとうございます。
 2022年5月24日「虐待 楽園追放」に、嘘をつける自分であったことを書きました。その後、悔い改めをしました。
傷つけた相手と会うことはもうないでしょうから、直接お詫びすることはできません。心のなかでお詫びしました。

 「原罪(げんざい)」という、人が生まれながらに持っている罪の性質については、まだ解決ができていません。この罪は「神を無視して自分の自我を主張し続けてきたため、大きく道をそれてしまった」罪です。神からの赦しがないとほんとうの解決はありません。解決の道を求めて探り続けていきたいと思います。

 

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