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日本学術会議公開シンポジウム「戦後アジアの地域再編と、学術の共同〜分断・協調・再分断を超えて〜」

2021-12-04 16:35:52 | 社会・政治
 ユーラシア協会経由で、日本学術会議のオンラインセミナーの案内が来た。JASPM大会と一部かぶるが、めったにないチャンスなので参加することに。
 梶田隆章会長のあいさつ、学術を通じて世界平和に貢献すると言う立場を明確にしています。
 第一セッションは日韓中三国関係の歴史。不幸だった20世紀の三国関係を、学術交流の側面から見直すと言うもの。
 日中戦争中の学術交流は、当時の研究者に頭が下がる思い。
 日韓の民主主義の考え方の違いは興味深い。日本はあくまでも代議制だが、韓国は大統領制もあり、直接民主主義を目指していたと言う。どちらも対米重視ということもあり、乖離している部分は乗り越えられるのではないか?と言う趣旨。しかし一方で「国策研究」が増えていることも危惧しているとのこと。
 戦後分断国家の歴史、ドイツ、ベトナムは解消したが、朝鮮半島と中台関係はまだ残っている。
 なるほど、現在はインド太平洋と言う枠でアジアを捉えることが多く、日中韓と言う枠組みが忘れ去られていることを警戒。
 第2セッションはモンゴル、ロシア、インドと議論の領域を広げて。
 最初の登壇者は日蒙関係の研究者。モンゴルと言うのはちょっと特殊なポジションで、中国の一帯一路の影響は小さいが、隣接するロシアの影響が大きい。しかし日本が国際援助でロシアに続く2位。しかしここに来て急激に中国との交易額が増えているそう。
 ロシアからの登壇者、こういう学術交流はさすが日本学術会議です。中国の台頭により、20世紀に比べて日露交流が縮小していると言う。北方領土問題がこじれているためと思われるが、由々しきこと。
 続いて韓国から。興味深い、RCEPの枠組みでは中国が圧倒的だが、中国のいないTPPでは日本が圧倒的な交易額。なるほど、中国の経済的脅威は金額だけでなくレアメタルなど資源面でも中国が優位な点があるのか。とは言え、東南アジアが参加していないTPPよりも参加しているRCEPの方が成長性はありそうだ。
 セッション最後の登壇者はインドから。BIMSTECと言う南アジア、東南アジア諸国の経済的、技術的共同体があるそう。SAARCと言うもっと古くからの経済的共同体もあるが、政治介入があり公平な経済共同体とは言えないと言う。インドはデジタル先進国なものの、共同体でデジタル施策の強化が必要だと言う。それにしても、登壇者の画面シェアでバッテリーがほとんどなくて、ハラハラしたなあ(笑)。
 第3セッションは東アジアの金融協力。なるほど、一帯一路は後付けで中国の資本輸出に名前がつけられた、と言う考え方があるのか。ただ、中国の価値観に紐付いた資本がアジアを支配するのは新しい。政治的対立とは違って、金融協力は日中米で強化されているとのこと。むしろ一帯一路はアジア資本が世界で台頭することを評価している。
 続いて法的側面から。まあうすうす分かってはいるが、国際法と言うのは無力な面があるなあ。中国の圧倒的強さも見える、20世紀はODAが世界中に貢献して日本は絶大な支持を得ていたが、今や中国のは一帯一路で中国支持国が増え、日本の支持は減っている。とは言え、故・中村哲医師のように途上国から絶大な支持を得ている日本人もまだたくさんいる。
 中国の成功、COVID−19を見事に乗り越えて、習近平独裁体制を固めている道のりがすごい。ヨーロッパや日韓では中国の支持は低いものの、途上国の支持は高い、ただし、全面的には信頼していない様子。
 アメリカの東アジア戦略。米中対立は新冷戦か、アメリカの衰退か?と言う問いは刺戟的。そもそもトランプがMake America great AGAINと言っているところにも出ている。アメリカが日本を守るのではなく、日本がアメリカを守ると言うのは衝撃的。だんだん物騒な話、核戦争を視野に入れた話。もちろん、それを煽るようなことはしない、東アジアでの紛争で米中の代理戦争をするな、経済共同、学術共同を進めるべき、と言う主張。
 中国が変わるきっかけは必ずある、と言う指摘、おそらく経済危機で変わるだろう、とのこと。
#JASPM大会に戻るので、日本学術会議のシンポジウム参加はここまで。


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