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佐竹伸一句集『山峡・やまかい』

2025-04-22 17:14:20 | インナーポエット

 

佐竹伸一氏は 教師であり 山岳写真家であり 俳人である

句集を戴いたのだが ひねくれたワタシの性格には 子どもの作文のように素直すぎて…ついに読み進むのが苦になり 正直挫折しそうになっていた そしてしばらく置きっぱなしになったのだが…

しかしいよいよ気を取り直して読み進むと 中盤から見ごたえのある句が 深い山峡のように多数現出した ただ随所に同様季語の多用があり惜しく思った もう少し季語を深耕し安易に簡便なリフレインに逃げないようにして欲しい気がする

全体としては情緒に流されかけては踏みとどまり 自己を客観視しようとする態度が清々しい句集であったと思う 

 

 

白線を伸ばす若葉のグラウンド

この村にこの子が一人夏休み

穭田の光の道を登校す

猛吹雪固まって来るランドセル

 

野火走る節くれだちし手元より

鳥雲に入る淡雪を肩にのせ

天上天下唯我独尊つくしんぼ

ぜんまいや空を切り取る深き谷

 

駆け足でついて来いよと春の水

山峡の空へ空へと花の道

祭壇の照れくさき顔百合の花

緑陰を離れたくなし野の仏

 

高台へ踏み込むペダル夏燕

変化とは生きていく術雨蛙

荷を山毛欅に預け歩荷の三尺寝

桃すべてお尻揃えて売りに出す

 

深山竜胆夜空の星になるところ

放棄田の芒も天に至りけり

進退を迫る断崖花芒

霧深しラーメンに降る黒胡椒

 

真っ先に陰る家にも吊し柿

大粒のなめこにやりと顔を出す

カップから溢れ出す湯気冬に入る

臼餅のごとく白鳥蹲る

 

人責むる骨の髄まで霙かな

屋根叩き尽くして雪となりし雨

三度跳ね公魚氷の棒となる

真っ白な雪に隠れているブルー

 

鉄瓶は湯気立て川は波を立て

病床に額縁ほどの冬の窓

冬の夜黒ずみ痩せてゆく妻よ

亡き人を呼び出す電話冬銀河

 

 

田水が入ると 夕暮れ以降には蛙が鳴き出す不思議🐸

 

 

 



1 コメント

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阿部宗一郎の系譜 (青萄)
2025-04-22 21:53:23
佐竹氏にお礼の葉書を書こうと袋をゴソゴソしたら 数年前の高野先生の葉書と佐々木隆二さんという写真家のポストカードが出てきた これは高野先生が2通同封して送ってくださったもので➰
ワタシの俳句が写真俳句になって載っていました 「夏草やすべて針金ではないか 青萄」
ハァ こんな俳句を作ったこともありましたよね💦
佐竹氏へのハガキは近くのセブンイレブンのポストへ ついでにプチトマトとエビグラタンと金の食パンを買ってきました 金の食パンはセブンにしか売っていませんのでね🍞
最近は郵便局もブラック企業化 現場の配達員さんが一番苦労しています そもそもノルマ?って何でしょうね🦖
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