公害①－２ ⑤
人ごみマニラでは，人も車もものすごくあふれています。これは単純にストレスになります。
⑥交通事故
マニラの道路は一見無法地帯です。車線も信号もおかまいなし，反対車線に飛び出しての追い越し，少しでも隙間があれば鼻をつっこむ，やたらならすクラクション・・・あらゆる交通法規がここでは存在しないかのように見えます。
しかし，私はマニラの道路には何らかの秩序がある，と感じております。これはフィリピン人の性格によるものだと思います。例えば、確かに隙間があればそこにノーズを突っ込むのは早い者勝ちです。しかし，割り込みをされたドライバーがそれで怒るわけではありませんし，また，ある種のあうんの呼吸でお互いが接触しないようにしているように見えます。
類似した例は，道路を歩いているときです。フィリピンで対向者とぶつかったことがありません。どちらかがよけます。デパートで混雑していても，いらいらしないようです。前の人が何かに気をとられ，歩みを止めてしまうようなケースでも，無理に追い越そうとしません。私が少し文句をいったら，彼女に叱られました。生まれつきの性質もあるかもしれませんが，フィリピンではある種の思いやりが道路上にあふれています。
実際，交通事故は極めて少ないと思われます。同じように交通事情の悪いマレーシア，タイ，韓国では，交通事故が多発します。統計上では，日本の交通事故は１０万人あたり約９００件（０２年），死亡事故６．５人でしたが，フィリピンではそれぞれ６．５件，１．１人です。まあ，フィリピンの統計を信じることはできませんが，私はフィリピンで交通事故を二回（軽い接触事故）しか見たことがありません。他の人の話でも，マニラでは交通事故を見ない，という意見で一致するようです。
ただ，それはフィリピン人同士の話。異邦人である日本人は，そうした特殊な秩序を理解することは難しいでしょう。道路には危険があふれています。道路上ではまさしく自己責任です。治安以上に，交通事故に気をつける必要があります。
⑦昆虫，ねずみ
公害ではありませんが，フィリピンは年中夏，ごみはそこらじゅうに落ちている，ということで，ゴキブリ，蚊，ねずみがものすごく多いです。特にゴキブリは毎夜のように部屋に飛び込んできます。日本ではゴキブリはあまり飛んだりしませんので，最初は大騒ぎしていました。現在は私の飼っている猫の格好の遊び相手になりますので，結構歓迎しています。
蚊は，日本のものより随分小型です。そのせいか，耳元に蚊がこないと羽音がしません。いつのまにか蚊にさされています。これがほぼ毎日のようにあります。現地の蚊取り線香はききません。殺虫剤直接噴射で対応しています。
小さいといえば，フィリピンの蟻も相当小型です。体長１ｍｍ位です。いつのまにか食い物に群がっています。ごくまれにこれに刺されると，上腕の半分程度がふくれあがります。
ねずみはどぶねずみです。子猫ほどの大きさがあります。
他にも，なにかわからないのですが，結構虫に刺されて毎日痒いです。
反対に蝶とか甲虫系とか，なごみの昆虫は見たことがありません。昆虫に限らず，マニラには自然が非常に少ない。コンクリートブロックと赤茶けたとたん屋根の街です。 これらの生物はばい菌を介在する可能性があります。赤痢とかマラリアとか，昔の南方戦記で兵隊さんが苦労した病気を運んできます。気をつけたいのですが。
犯罪の巣窟のようにいわれているマニラ。しかし，長期滞在者で犯罪にあったことのない人はたくさんいます。あったとしても，泥棒やスリぐらいでしょうか。殺人や強盗は気をつけていれば相当程度防ぐことができると思います。しかし，公害は必ず人を蝕みます。マニラの公害は都市としての機能が破綻しているところからきている事例が多いと思います。一言でいって，マニラは人のすむところではありません。マニラで生活することは，サバイバルです。将来はもっと田舎に住むつもりです。セブかドゥマゲッティ辺りが候補地です。
マニラに住んでよかったと思うことは，汚いものに対する耐性がついたことです。ソウルに初めて訪問したとき，汚い街だと思いました。多くの日本人がそう考えます。ところが，マニラに住んでから久しぶりにソウルに観光しにいったら，ものすごくきれいに感じました。日本がどれだけ清潔か，ということです。
私は日本人としては決してきれい好きではありません。部屋も車も年に何回掃除するか，というレベルです。床に落とした食べ物も平気で食べたりします。 しかし，マニラは度を越えていました。そのためか，逆にきれい好きになった面もあります。私は一日に何度か床をほうきではきます。また，２日に一回は床を雑巾がけします。そうしないと，足の裏が真っ黒になるからです。むろん，床に落とした食べ物は捨てます（あたりまえか）。 一日外出すると，顔が黒く汚れます。日本ではありえない汚れ方です。だから，外出から帰ればシャワーをあびることが多くなりました。一日数回シャワーをあびることもあります。 マニラの汚さは想像をはるかに越えていました（ちなみに，マカティやエルミタ等はマニラではかなりきれいな所です）。
でも，南アジアへ行くともっと汚く，もっとうるさいところもあるらしい。中国のトイレは想像を絶するらしい。下には下があるようです。 また，フィリピンの人たちの名誉のために付け加えておきますが，マニラの人たちは概してきれい好きです。家の前の道路を含めて毎日掃除します。シャワーもあびます。この汚さは，人が多すぎて行政が追い付かないからです。
