Being on the Road ~僕たちは旅の中で生きている~

日常の中にも旅があり、旅の中にも日常がある。僕たちは、いつも旅の途上。

重慶の街角から 第2回(重慶)

2020-12-20 22:40:30 | 旅行

2019年の記録

ビルの谷間の路地裏に広がるLost China

 

午前中に散歩に行き、昼すぎにマンションに戻って休んでいると濾州の友人からWeChatが入った。

「何で重慶にいるの?重慶、面白い?」

さすがの僕もムッとした。というのも、友人の実家のある濾州郊外の古鎮にマンションを買ったので、G.W.に遊びに来て、と言っていたので、重慶までのフライトを予約した。ところが、訪問の最終確認をすると、その頃は、上海に行っているとのこと。早割の格安チケットなので変更できない。やむなく重慶に2泊することにした。数ヶ月前の「G.W.に遊びに来て」と言ったことなど、完璧に飛んでいるのだ。そのことを返信すると、しばらく返事がない。友人に僕を招待する義務がある訳でもないので、僕もそれ以上何も言わなかったが、その後、暇つぶしにでも、と思ったのか、ゲームアプリをお詫びに送ってきた。僕は、ゲームの類は、まったく興味ないので、やれやれ。

 

夕方に再び散歩へ、細い路地から野菜の入ったレジ袋を持った人が次々に出てきた。ビビッときた、その先には、必ず生活者の市場がある。路地を入って行くと、思わずウォ~と唸ってしまった。10年以上前の北京オリンピックを機に消えた猥雑な中国が存在していたのだ。それまでの中国では、あたりまえに路上で生きた動物をその場で捌いて販売していた。鶏や家鴨はもちろん、生きた羊も路上でしていたのだが、僕が住んでいた山東省の片田舎でも、パッタリとなくなった。(法律で禁止された) 重慶は、内陸とはいえ直轄市 (北京、上海、天津に重慶。要するに大都会であることを意味する。) である。でも、2019年・春、リアルに存在していた。

 

僕は、中国に限らず都市では、旧市街や貧民窟のスナップを撮ってきた。不衛生で汚い光景のどこが良いのか?と思う人も多い。特に外国語を話す友人の大半は、「そんなところ撮るなよ、もっと綺麗なところを案内するから」と。でも、僕は、この猥雑が好きで、すでに消滅した光景も含め、その写真と記憶は、僕の宝物だ。

ビルの谷間に連なる露店街に何人の人がいるだろうか、少なくない数の人が、スマホをいじっている。それでも、この光景にシャッターを切ったのは、僕だけだろう。いずれ消える日常風景を記録に残すのは、酔狂な異邦人だ。

 

旅は続く