でりら日記

日々の雑記帳

ノワール・視聴後

2007年10月28日 | 趣味の雑記

 ノワール、全話見終わった。
 ついでに、風邪は治らない。

 あれだけ躍起になっていた「本」については、クロエに続きを聞かされたということであれ以上の
興味はなくなってしまったんだろうかとか、結局ミレイユは何を思ってノワールという名で仕事を始
めたんだろうか、とか、(その筋では伝説となっていたのだからそう名乗る輩は多かったのかも知
れないが)、霧香の本名は、とかいろいろあったんだけどとりあえず面白かった。

 クロエ、は結局ああなるのだろうなと解っていただけに彼女を一番不憫に思う。可愛かったの
に・・・可愛かったのに・・・霧香の感情の乏しさと対比させる意味も合って、クロエは特に感情の機
微が物凄く丁寧に描かれていたのだが、それが霧香に向けられていたものだっただけに切ない。

 勿論、彼女は自分の大切なもの以外に対しては冷徹で、アルテナに造られた悲しい殺人マシー
ンであることに違いはないのだが、第12話「刺客行」でのスイスでのいきさつにも見えるように彼
女も心を持った人間であることには違いない。

 しかも、クロエが愛したのはアルテナと霧香だけではなく、霧香の愛するミレイユに対しても(そ
れが霧香の悲しみに繋がるものだからという理由があったにせよ)細やかな感情を向けており、も
う一度三人でゆっくりお茶を飲みたいと語ったあたり、アルテナの注いだ「愛情」の非情さが空恐ろ
しく感じられる。それはクロエの死を伝えられた時のアルテナの微笑みにも現われているのだが。

 三人を全く環境の違うところで育てた意味は解る。愛情を注ぎ純粋に細やかに育て上げたクロエ、
両親を殺し全てを奪い、ひとりで生きてゆく厳しさを与え我流で己を鍛えさせたミレイユ、記憶とい
う人生における最大の財産を奪い、本能に叩き込んだ技術のみで生き残る道を自ら選択させた感
情の乏しい殺人機械、霧香。彼女に関しては本当の名すら結局わからずじまいだが、それぞれ違
った強さ、脆さを持っており、それを補い合える素質をもそれぞれ備えているからだ。

 形骸化した「ソルダ」という哲学をもう一度あるべき姿に戻す為、旧いしきたりに則ってノワールを
復活させようとしたアルテナ、その駒として操られた三人、運命に抗おうとする二人。

 両親は愛娘を血腥い世界から遠ざけようとソルダを拒否することを選んだ結果、凄惨な最後を
遂げたにも拘らず、ミレイユは自らその世界に身を投じたし(それについては彼女は自分の選択を
肯定している)、記憶を奪われても身体に染み付いた技術は霧香をソルダの荘園へと導いた。苗
木の一人であるミレイユの両親の殺害を霧香に命じたのはおそらくアルテナだと思われる。

 どの苗木が残ってもアルテナにとってはよく、仕事であれば両親を殺したものとでも手を組む、そ
の冷徹さのみを彼女は望み、それ故に霧香に自分が「ノワール」であること、殺人請負人であるミ
レイユを頼ることの二つだけを彼女の記憶に残したのだろう。儀式の際に彼女らの心に生じる葛
藤を期待して。

 尺が足りないという感はなかったのだが、なんとも評判はよろしくないこの作品。海外ではなかな
か人気のようだが。クールなロリ顔二人が爽快に銃をぶっ放す+アメリカの雑多な町ではなくフラ
ンスの穏やかな街が舞台+シリアスドラマ、が受けたのだろうか。でもちょっと吹き替え版を見て
みたい気はする。

 まとめて観た分には、過去や謎が判明しなくても、二人で生きていければそれでいい、自分たち
はソルダのノワールとしてではなくユニット「ノワール」として生きていくのだと決めた二人の姿で正
直満足してしまったのだが(最後の銃声にはいろいろ解釈が分かれるにせよ)、毎週を追いかけて
観ていた人にとっては、26話も引っ張った挙句コレか!というところなのかもしれない。

 ちなみに、わたしは「コッペリアの棺」は、ストリングスフルコーラスバージョンを大変気に入って
いる。OPバージョンはなんとも間延びして聞こえるな・・・

 思い返せば、ノワールよりも先に私は「ファントム」を見ている。なのに、ファントムよりもアーシア
ンのちはやばっかり思い出していた。大貫絵だったんだよな、と反芻反芻。というわけでお勧めは
クロエです。(オチてない。)

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