長くなったので、読んだメモその2。
クラインの壷/岡嶋 二人(おかじま・ふたり) 新潮社版4992 新潮文庫 お-30-2
平成5年 1月25日発行
平成6年 1月15日 5版
株式会社新潮社
カバー/藤田 新策
余談だが、岡嶋二人というのはまさに二人で一つのペンネーム。この作品を最後にコンビを解消
してしまい、井上夢人(いのうえ・ゆめひと)氏は引き続き小説を、田奈純一氏はテレビ関係のお仕
事についているらしい、と巻末解説に書いてあった。しかもその解説は新井素子。素子姫ですよ
素子姫。
今ならこのK-2は実現可能なのだろうか。自作のゲームブック(これまた懐かしい)シナリオを新
型ゲームに採用され、原作者として参加して欲しいという依頼を受けた主人公は、怪しげな製作
会社に足を踏み入れる。情報漏洩を防ぐため、行き先がわからないように車に乗せられ、揺られ
た先にあるのは研究室。待っていたのは、実に魅惑的な体感型ゲームだった。
全身を包むラバースポンジ、現実とゲームの境目はなく、リアルな体験として痛みも暖かさも味
も感触も全て伝わってくるゲームの世界で、某国に潜入するアクションゲームは被験者のデータを
細かくサンプリングしながら実現へと一歩一歩開発を進めていたが、ゲームの中で主人公は警告
を発する謎の声を耳にする。
とまぁクラインの壷、というのはメビウスの輪の立体バージョンのアレからきている。エッシャーの
絵によくあるやつで、ハードカバー版には実際、エッシャーの絵が使われていたように記憶してい
る。当時は読まなかったのだが何故これを読むようになったかというと。
最近、とある懐かしいまんがのタイトルを眼にしたからだ。
クラインの壷、というと私は、この小説よりも心臓病の名前として思い出すのである。
ここで気付いた人はすごいとしかいいようがない。そしてニヤニヤしながら最後まで読んでいた
だければ幸いだ。
それは先天性の心臓病の一つで、心臓が身体に応じた成長ができなくなり、その病気にかかっ
た人は幼少期に手術を受けなければ大人になれず死んでしまう、というもの。私はこの知識を、か
つてマンガから得た。
というわけで、ここからは読んだメモ「深海魚は眠らない」。
超少女明日香 雨の封印/和田 慎二
花とゆめCOMICS 白泉社
1989年 1月25日 第1冊発行 360円
雨の封印/昭和63年 花とゆめ3~4号 掲載
同時収録/深海魚は眠らない 初出:昭和58年週間マーガレット38号 掲載
嵐の山荘モノのミステリー。私は和田慎二と柴田昌弘で育ったのだが、それはとりもなおさずミス
テリー(とエロ?)で育ったといっても過言ではないかもしれない。そういえば、今でも好むのはサ
スペンス系のドラマだし、推理モノは好きだ。しかし、当時は別段ミステリーだからとか、推理モノだ
から読む、という意識はなかった。ただ、和田慎二の描く全てが好きだったし、柴田昌弘の描く少
女たちが好きだったというだけなのだ、きっと。
でなぜこれが出てくるかというと、くだんの心臓病が、この話に登場する人物に深く関係している
のである。「彼女は大きくなれない」というセリフを、いやそれ以外のセリフもあらゆるコマの一つ一
つも克明に覚えていた。
岡嶋二人の小説を読んだあと、この「クラインの壷」と呼ばれる心臓病を調べてみたが一向にヒ
ットしない。それで諦めて、「深海魚」を読み直そうと思い立ったのである。善は急げ、で貸本屋の
ばっちゃんのところへ行く。あった!もう絶版だが、白泉社版「超少女明日香 雨の封印」に収録さ
れている。ありがとうばっちゃん!!読みたいと思ったその日に読めた私は幸せだ・・・
うわぁ、懐かしい・・・
こういうのを語りだすともうきりがないのでアレなのだが、当時私はマーガレットではなく、おそら
く昭和59年発行の「花とゆめEX. SUMMER号」に掲載されたのを読んでいる筈なのだ。明記され
ていなかったが、「夏に来たイブ」という名作と並んでの2本立てだったように記憶している。この
「夏に来たイブ」も、ヒロインのミミが激烈にかわいくて、画面も美しくて、長いことこの雑誌は宝物
だった。
そして何故この話が特に好きだったかというと、物語もさることながらムウ=ミサが出てたから、
なのだ。「ちょっとしたいきさつで引き継いだ探偵事務所」でのお話なのですよ。もうwktkですよ。
勿論、神・サキコンビも好きだけれども、王道の斜めを行くライバルキャラとか横槍入れてくる人が
昔から大好きで大好きで。メンフィスよりもイズミル。パープル・アイも断然、小田切派(当時、友人
間でそういう派があった)だった。だって、ねぇ。
で、深海魚。
探しても見つからない筈だ、「クラインの壷」ではなく、「クロイドの壷」だったのだ!!!(な、なんだっ
てー!だよ本当に。) 今の今までずっと間違えて覚えていたとは、不覚。何十年ぶりかに喉に刺
さった小骨が取れやがりました。
クロイドの壷。
進行性心膜不全症で、ホルモンバランスの異常が原因といわれる。(体の)成長と共に心臓の表
面を覆っている心膜が柔軟性を失って心臓そのものの成長機能を失ってしまうが、幼少期には異
常が認められないため、手術可能な年齢を過ぎてから発見されることが多く、施術不能なまま死
に至るケースが多い、というような説明だ。
では「クロイドの壷」で改めて調べてみる。
やはりヒットしない。ひょっとしたら、和田氏の創作かもしれない。これに近いような病気はあるの
だけれど、ドイツ語でぐぐってもヒットしなかった。広義の心膜炎なのかもしれないが、なかなかズ
バリは出てこない。
そのかわりに、同じことを調べていたサイトさんを見つけた。
ヒゲクマ屋敷の謎/和田FAQ 相沢江梨子の病気は実在するのか?
そのものズバリ(笑)。全くおんなじことをしているのでちょっとほほえましかったり。でもこのサイト
さんの充実ぶりと来たら、ちょっとはまり込んだら抜け出せそうにない。佳き時代よ・・・
でこの勢いで、「夏に来たイブ」が収録されている「超少女明日香 眠る蛇」も借りてきた。明日香
のストーリーとしては、眠る蛇→雨の封印で一続きなので、もしお探しの方は両方まとめて読まれ
るとよい。そして「イブ」は非常によく出来たコメディーなのでお勧め。
念のためデータ。
超少女明日香 眠る蛇
花とゆめCOMICS 白泉社
1987年 8月25日 第1刷発行 360円
眠る蛇/昭和61年 花とゆめ 8~11号 掲載
同時収録/夏に来たイブ/昭和59年 花とゆめEX SUMMER号掲載
どちらも絶版で、「深海魚は眠らない」はどこにも再録されていない、はず。
明日香は再録本が出てます。
再びこれらの作品に出会えて、いろんなものといろんなタイミングに、感謝。
クラインの壷/岡嶋 二人(おかじま・ふたり) 新潮社版4992 新潮文庫 お-30-2
平成5年 1月25日発行
平成6年 1月15日 5版
株式会社新潮社
カバー/藤田 新策
余談だが、岡嶋二人というのはまさに二人で一つのペンネーム。この作品を最後にコンビを解消
してしまい、井上夢人(いのうえ・ゆめひと)氏は引き続き小説を、田奈純一氏はテレビ関係のお仕
事についているらしい、と巻末解説に書いてあった。しかもその解説は新井素子。素子姫ですよ
素子姫。
今ならこのK-2は実現可能なのだろうか。自作のゲームブック(これまた懐かしい)シナリオを新
型ゲームに採用され、原作者として参加して欲しいという依頼を受けた主人公は、怪しげな製作
会社に足を踏み入れる。情報漏洩を防ぐため、行き先がわからないように車に乗せられ、揺られ
た先にあるのは研究室。待っていたのは、実に魅惑的な体感型ゲームだった。
全身を包むラバースポンジ、現実とゲームの境目はなく、リアルな体験として痛みも暖かさも味
も感触も全て伝わってくるゲームの世界で、某国に潜入するアクションゲームは被験者のデータを
細かくサンプリングしながら実現へと一歩一歩開発を進めていたが、ゲームの中で主人公は警告
を発する謎の声を耳にする。
とまぁクラインの壷、というのはメビウスの輪の立体バージョンのアレからきている。エッシャーの
絵によくあるやつで、ハードカバー版には実際、エッシャーの絵が使われていたように記憶してい
る。当時は読まなかったのだが何故これを読むようになったかというと。
最近、とある懐かしいまんがのタイトルを眼にしたからだ。
クラインの壷、というと私は、この小説よりも心臓病の名前として思い出すのである。
ここで気付いた人はすごいとしかいいようがない。そしてニヤニヤしながら最後まで読んでいた
だければ幸いだ。
それは先天性の心臓病の一つで、心臓が身体に応じた成長ができなくなり、その病気にかかっ
た人は幼少期に手術を受けなければ大人になれず死んでしまう、というもの。私はこの知識を、か
つてマンガから得た。
というわけで、ここからは読んだメモ「深海魚は眠らない」。
超少女明日香 雨の封印/和田 慎二
花とゆめCOMICS 白泉社
1989年 1月25日 第1冊発行 360円
雨の封印/昭和63年 花とゆめ3~4号 掲載
同時収録/深海魚は眠らない 初出:昭和58年週間マーガレット38号 掲載
嵐の山荘モノのミステリー。私は和田慎二と柴田昌弘で育ったのだが、それはとりもなおさずミス
テリー(とエロ?)で育ったといっても過言ではないかもしれない。そういえば、今でも好むのはサ
スペンス系のドラマだし、推理モノは好きだ。しかし、当時は別段ミステリーだからとか、推理モノだ
から読む、という意識はなかった。ただ、和田慎二の描く全てが好きだったし、柴田昌弘の描く少
女たちが好きだったというだけなのだ、きっと。
でなぜこれが出てくるかというと、くだんの心臓病が、この話に登場する人物に深く関係している
のである。「彼女は大きくなれない」というセリフを、いやそれ以外のセリフもあらゆるコマの一つ一
つも克明に覚えていた。
岡嶋二人の小説を読んだあと、この「クラインの壷」と呼ばれる心臓病を調べてみたが一向にヒ
ットしない。それで諦めて、「深海魚」を読み直そうと思い立ったのである。善は急げ、で貸本屋の
ばっちゃんのところへ行く。あった!もう絶版だが、白泉社版「超少女明日香 雨の封印」に収録さ
れている。ありがとうばっちゃん!!読みたいと思ったその日に読めた私は幸せだ・・・
うわぁ、懐かしい・・・
こういうのを語りだすともうきりがないのでアレなのだが、当時私はマーガレットではなく、おそら
く昭和59年発行の「花とゆめEX. SUMMER号」に掲載されたのを読んでいる筈なのだ。明記され
ていなかったが、「夏に来たイブ」という名作と並んでの2本立てだったように記憶している。この
「夏に来たイブ」も、ヒロインのミミが激烈にかわいくて、画面も美しくて、長いことこの雑誌は宝物
だった。
そして何故この話が特に好きだったかというと、物語もさることながらムウ=ミサが出てたから、
なのだ。「ちょっとしたいきさつで引き継いだ探偵事務所」でのお話なのですよ。もうwktkですよ。
勿論、神・サキコンビも好きだけれども、王道の斜めを行くライバルキャラとか横槍入れてくる人が
昔から大好きで大好きで。メンフィスよりもイズミル。パープル・アイも断然、小田切派(当時、友人
間でそういう派があった)だった。だって、ねぇ。
で、深海魚。
探しても見つからない筈だ、「クラインの壷」ではなく、「クロイドの壷」だったのだ!!!(な、なんだっ
てー!だよ本当に。) 今の今までずっと間違えて覚えていたとは、不覚。何十年ぶりかに喉に刺
さった小骨が取れやがりました。
クロイドの壷。
進行性心膜不全症で、ホルモンバランスの異常が原因といわれる。(体の)成長と共に心臓の表
面を覆っている心膜が柔軟性を失って心臓そのものの成長機能を失ってしまうが、幼少期には異
常が認められないため、手術可能な年齢を過ぎてから発見されることが多く、施術不能なまま死
に至るケースが多い、というような説明だ。
では「クロイドの壷」で改めて調べてみる。
やはりヒットしない。ひょっとしたら、和田氏の創作かもしれない。これに近いような病気はあるの
だけれど、ドイツ語でぐぐってもヒットしなかった。広義の心膜炎なのかもしれないが、なかなかズ
バリは出てこない。
そのかわりに、同じことを調べていたサイトさんを見つけた。
ヒゲクマ屋敷の謎/和田FAQ 相沢江梨子の病気は実在するのか?
そのものズバリ(笑)。全くおんなじことをしているのでちょっとほほえましかったり。でもこのサイト
さんの充実ぶりと来たら、ちょっとはまり込んだら抜け出せそうにない。佳き時代よ・・・
でこの勢いで、「夏に来たイブ」が収録されている「超少女明日香 眠る蛇」も借りてきた。明日香
のストーリーとしては、眠る蛇→雨の封印で一続きなので、もしお探しの方は両方まとめて読まれ
るとよい。そして「イブ」は非常によく出来たコメディーなのでお勧め。
念のためデータ。
超少女明日香 眠る蛇
花とゆめCOMICS 白泉社
1987年 8月25日 第1刷発行 360円
眠る蛇/昭和61年 花とゆめ 8~11号 掲載
同時収録/夏に来たイブ/昭和59年 花とゆめEX SUMMER号掲載
どちらも絶版で、「深海魚は眠らない」はどこにも再録されていない、はず。
明日香は再録本が出てます。
再びこれらの作品に出会えて、いろんなものといろんなタイミングに、感謝。