「悟浄出立」万城目 学！

「西遊記」の沙悟浄、「三国志」の趙雲など、有名な中国古典の名脇役たちを主役とし万城目目線でするどく描き直す意欲作だ。

何より、異彩派の万城目さんと言えば、奇想天外？コミカル？とにかく面白い！！っと言うものが多く、好き嫌いも多いはず。
ところが、本作はへぇ～こんな静かで重厚感ある作品書けるんだぁ～とまずはびっくり。今までの作風とはまるで違う。ユニークなのは脇役目線ということだけだ。誰もが知っている悟浄や趙雲などが主役と言うのは、これだけメジャーキャラなのにえらく新鮮で面白い。その後の3作の項羽や司馬遷にからむ話は打って変わって重厚。すごく読ませる。

地味と言えば地味なのだが、しっかり読ませてくれるのでこれはこれで有りだ。
こうなると、いつもの奇想天外万城目ワールドが更に冴えてくるというものだ。こういう幅のある書き手って期待をしてしまう。次回作が待ち遠しい！