図解 気象学入門 3章 気温のしくみ 1

2019-03-12 12:34:42 | 読んだ本について
大気を温める「放射」を知る 

地球放射(=地球の発する赤外線)について知ることは、日々の気温の上昇、下降の理解に欠かせない。

太陽放射=太陽から放射される電磁波全体

大気の温まり方や地表の温度の決まり方を考える上で、放射の中でも赤外線の知識が重要。

ウィーンの法則=温度が高いほど波長の短い電磁波が放射され、温度が低いほど波長の長い電磁波が放射される。

ステファン‐ボルツマンの法則=単位面積あたりから放射されるエネルギーの大きさは、温度が低いほど小さく、温度が大きいほど大きくなる。温度(絶対温度)が2倍になると、エネルギーはその4乗つまり16倍になる。

放射による熱の伝わり方は、双方向を行き来する放射のバランスによって決まる。

○放射による大気の温められ方 
太陽放射のエネルギーのうち、30%が大気に吸収され、70%は素通りして地表に到達する。
全地表の受け取る太陽放射と出る放射のバランスだけで落ち着く平均温度は、氷点下になることがわかっている。それにもかかわらず、地表の平均温度が約15℃に保たれているのは、大気中の水蒸気による温室効果のおかげ。

キルヒホッフの法則=ある波長の電磁波を選択してよく吸収する物質は、逆にその波長の電磁波をよく放射する性質がある。

→暖められた大気は、そこに含まれる水蒸気から赤外線を放射している。

地球全体を平均して考えると、大気からの地表への放射は、太陽放射が地表に届くエネルギーの2倍ある。


年間地球に届く太陽放射エネルギーを100とすると、
31は、白い雲や、地表の雪などに反射されて、宇宙空間に戻る。(宇宙へと反射される太陽放射の割合=アルベド) 
反射しない69のうち、
20は大気に吸収される。
49が地表に届く。
49は地表を温め、地表からは、その温度に応じた赤外線が放射される。









図解 気象学入門 2章 雨と雪のしくみ 3

2019-03-07 12:33:21 | 読んだ本について
自分で殖える積乱雲の不思議

積乱雲は、降水粒子の落下によって周囲の空気が引きずり下ろされ、冷たい下降気流を、生み出す。
その冷たい下降気流が、地表に当たって向きを変え、水平方向に進み始める。
この水平方向の気流が外側の空気とぶつかる部分をガストフロントという。
ガストフロントは、暖かい空気を下から押し上げ、あるいは別の雲のガストフロントと衝突することで、上昇気流を発生させる。
上昇気流により、新たな積乱雲を発生させる。

ある積乱雲から、子や孫の積乱雲が近辺に発生し、成長期、成熟期、衰退期の積乱雲が、混ざったものを、「気団性雷雨という。」

積乱雲は、成熟するとガストフロントが新たな雲を発生させる性質がもとになり、他から指示されて動いているわけではないのに、整然と自己組織化されることがある。

マルチセル(multi=多重):成長期、成長期、衰退期のセルが順序良く並んだもの。集団として長い寿命をもつ。日本でもよく発生する。

スコールライン:マルチセルが線状に組織化されたもののうち、進行方向が線状とは直角の方向に移動するもの。
1ヶ所に災害をもたらすほど多量の雨を降らせることはあまり考えられない。

テーパリング(tapering=先が細い)クラウド:線状に組織化された降水セルの進行方向が、線状に連なる方向と同じになっているもの。詳細や仕組みは未だ十分に解明されていない。
危険な災害をもたらすタイプ。

スーパーセル:単一の積乱雲。上昇気流だけが起こる場所と、下降気流だけが起こる場所に分かれている。竜巻を発生させる。