紀州七代大彦の木の家づくり日記

「ここちよく美しい暮らしのために」
和歌山大阪にて「一軒一軒ていねいに150年」家づくりに取り組み続けています

「プレカット」と「手刻み」と

2009年02月09日 | 家づくり。素材の話(木・左官・工法など)

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さて、この間から色んなブログをちらほら見ていると、「プレカット」と「手刻み」なんて話がチラホラ。

昨日お客様にも質問されたし、便乗してこの話題いきましょうか(笑)

《木造建築において、柱や梁、土台等の構造木の接合を、大工さんが墨をつけて(絵を書いて)人力で(キカイも使いますが)加工するのが「手刻み」

今言った内容全て=つまり基本的に棟上までの大工さんの仕事全てを、コンピューター&大型キカイでやってしまうのが「プレカット」。》

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とは言ったものの、、、、

うちは、実際「プレカット」ってやった事がないので、うちがお付き合い頂いている、本物のプロフェッショナルの皆様《プレカットもやってる材木屋さんや、建材屋さん、それと僕も尊敬する建築家の先生(プレカット経験あり)》に教えてもらう話も加えながら。

昔は、梁組みが複雑ならばプレカットが出来ない。等、言いましたが

今や、技術がどんどん進化してる様で、よっぽどの事までできる模様です。(そうは言っても、うちがよくする梁組み等は、なかなか難しいらしいですが)

そして、これよく聞くと思いますが、

下手な大工さんがする位なら、よっぽどプレカットの方がイイ」と。

そりゃその通りなんでしょうね。

だから、

「プレカット」はダメだ。なんて申しませんよ。(ご期待に反してるかもしれませんが)

だけど、

やっぱり腕の良い当たり前の大工さんが「手刻み」するなら、「手刻み」の方が、家のためには良い。というのは、まあたぶん反論はないんじゃなかろうかと。

その点、うちはイイ大工さんを揃えてる自負(他所様や建築関係の皆様にもお認め頂いてますし)はありますから、「手刻み」でイイと思っています。

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そもそも、手刻みの良さは、

簡単に言うと、棟梁が一本一本の木の性質を見て、将来の木の狂いや曲がりを考えながら、それに対応した接合部を考える。って事です。

その上、接合部に、木と木のねばりある接合が出来るような組方を考えて、それを1本1本の柱や梁に墨をつけて(図面を書いて)、手で加工する。

だからこそ長年経っても、強くてしっかり持つ。のです。

その点、「プレカット」に、将来の木の狂いや性を見なさい。って言ってもそりゃ不可能。そんなにコンピューターは賢くありません。

『じゃ、プレカットの長年経った後の強さはどうなのか?』

って言っても、そりゃプレカットで長年経った家がないのだから分かりません。

「手刻み派」のつくり手がゴチャゴチャ言う様に(笑)、やっぱり弱いのか??それともそんな心配しないでイイ位強いのか??

「プレカット派」の皆様は

今のプレカットは、熟練した大工さん位の精度がある。絶対大丈夫だ。』と言うし、

「手刻み派」は

『棟上の時、プレカットの木組みが終わった上に乗ってみろよ。「手刻みの木組み」とは比べものにならない位揺れて、怖いじゃね~か。結局は金物でもつんだろうよ。金物がどんだけ持つのよ??。30年40年って経年したらどうなるよ。』って言うし、

結局は、やっぱり実際経ってみないと分かりませんね。

まあ、うちは「手刻み」の方が断然強いと思っている。「手刻み派」です(笑)

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実は、プレカット業者さんに聞いても、おっしゃる様に

「そりゃ、上手い大工さんが手刻みするんだったらその方がイイよ」って事にしといてもらって(笑)

要は一番の「プレカット」の理由。

値段の話があります。

大体プレカットもやる材木屋さんに教えてもらった感じから言いますと、

「手刻み」を「プレカット」にすると、それにかかる費用は、半分以下になる感じ。(かっちりと見積もりとったわけではありませんから、間違ってたらすんません)

そんだけ安くなるんだったら、「お施主さんにとって、いいじゃんよ~」って言われれば、それはそうなわけで、、、、、

まあ結局は、お客様が手刻みにそれだけの価値があるか?認めてくれるか?って事になるのでしょうが。

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でも。。(ここからは、あくまでもうちの考え。)

無垢の柱・梁を使って、軸組み工法で家を建てるのなら、

せっかく長年日本の気候風土を耐えてきた実績のあるやり方があるのだから、それをするべきだと思います。

今までのやり方で問題が起こってるのなら仕方ないですが。

「イイ大工さんがいなくなったから。。」って言うのは、何だか議論のスタートが間違ってる様な気がするし、その理屈で言うなら、結局イイ大工さんはいなくなります。

また、「値段が安くなる。」と言うのも、スタートが間違ってる様な気がします。

木造建築の根幹なんだから、そもそもそこの予算を削る。というのは違うのではないかと。。

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無垢の柱・梁は工業製品じゃないのだから、

やっぱり、手間を省く大量生産的な考えはどうかな~と。

集成材であれば合理的な考え方で符号する。と思うのですがね。

プレカットするなら、別に無垢の柱と梁を組む軸組み工法にこだわらなくとも、それこそ製品化されている集成材でいいんじゃないかと。(と言っても、僕は関西では集成材は使いたくないですが)

いやいや、そもそもツーバイフォーでもいいんだと思うし、

何だか、僕の中では、どこまで言っても「無垢の木の木造軸組み。とプレカット」が「しっくり」こないのです。。

それは、関西で「無垢の木の木造軸組み。と高気密」が、僕の中でどこまで言っても「しっくり」こないのと似てまして、(だって高気密高断熱にしたいなら、木造にこだわらなくとも、鉄骨とか鉄筋コンクリートでやれば良いじゃないか?と思うのです)

やっぱり、何だかスタート地点が根本的におかしいのでは?と思うのです。

まあ、僕の言ってる事は古いわけで、

無垢の木をできるだけたくさん使ってもらおう!という山や材木屋さんの観点から考えると、また違うと思うし、

大工さんの組み方を、コンピューターで安く実現して、技術のない大工さんでも出来る様に普及させて、無垢の木の家をたくさん造ろう!なんて視点から見ると、また違う考えになるのかもしれませし、

これからは、無垢の柱と梁も、強さや含水率を測ってそれこそ製品の様にしていかなきゃなんだから、と言われるかもしれませんが、、、、、、

それでも、やっぱ僕はどうもしっくりこない。。。(笑)

基本的な根本的な所って、モノスゴク大切だと思うんで、そういう所を甘く見るとえらいしっぺ返しをくらうんじゃないかな~と。

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そういや、去年末ですか、

国土交通省も力をかしている全国的な大工さんの育成塾(「大工塾」でしたか?)から、若い大工さんを修行させてもらえないか?とお誘いがありまして。。。

手刻み」の技術を教える指導工務店になって、学校を出たての子の面倒を見てやって欲しいと。

関東や関西それぞれの地方で工務店を探すのだろうけど、

関西では、大阪や京都では足らなくて、和歌山の工務店にお声がかかるほど、「手刻み」のできる工務店って少なくなってるんだな~と。。。

何だか、とっても寂しくなるとともに、「大工さんの技術の伝承」というのも、世間的には、こりゃ相当にやばいんだな~。なんて思いました。

まあうちはうちで、

「手刻み」は必ず残していきますが。

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まあ、結局は、それぞれのつくり手がそれぞれの考え・信念のもと、取り組めばイイ事で、他所様の事をそりゃ間違っとる!なんていう事でもない。事なんでしょうが、、、

ただ、一つだけ。

あまりオーバーにイイ格好しすぎるのは、そりゃちょっと違うと思います。

」とか「無垢」とか「自然素材」とか「手づくり」とかのキャッチをふんだんに使いながら、「プレカット」ってのは、ちょっと違うのではと思うのです。

そもそも、

根本の木構造を手づくりしないで、他の部分で「自然素材をふんだんに使った手づくり」なんてできるのか自然素材(そもそもこの『自然素材』って言葉が曲者ですが)を上手く使いこなせるのか

なんて言うと、、

こっちが言い過ぎかな~~(笑)

《今日は普段思ってる事をそのまま書いてみました。特段、誰か・どこかを当てこすってるわけではないので、お願い致します。》

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