洋楽に目覚めた60年代は、ティーンズ向けの純情な恋の歌が花盛で、ポールとポーラの永遠の青春デュオ「ヘイ・ポーラ」や、ジリオラ・チンクェッティの胸キュンカンツォーネ「夢みる想い」、私の誕生日パーティに彼を招いたら、彼が別の娘と仲良くなっちゃって…と歌うレスリー・ゴーアの「涙のバースディ・パーティ」など懐かしいです。
純情な歌ばかりでなく「今日はパパもママも留守だから早く家に来て、そして二人でイイことしましょ」と自分の気持ちに素直な?ネリー・ラッチャーの「ハリー・オン・ダウン」とかもあって、まさに青春でしたねぇ…ま、これは1947年と少々古いヒットでしたが。
70年代に入ると私はサザン・ソウルに夢中。これは純なティーンズ・ポップスと違ってオトナの歌だから不倫ソングも多く、人に見られないようあの暗い場所で逢おうよ…と歌う、ジェームス・カーの不朽の名作「The Dark End of The Street」
夫の不倫相手に電話をかける設定の、シャーリー・ブラウンの「Woman To Woman」など好きですが、これは歌っている当人の実話というからコワい話で、相手も歌手なのでそれをアンサーソングで返したという、売れてナンボの商売とは言え、スキャンダルもネタ取り込んでしまうすごい世界の話ですが。
そんな不倫ソングを歌わせたらナンバーワンかも知れない人が、ルーサー・イングラムで、72年発売の「(If Loving You Is Wrong) I Dont Want To Be Right」は、ビルボードのR&Bチャートで3週連続ナンバー1となり、ポップチャートでも3位となる大ヒット。 カバーも多く出ているようですが、私はミリー・ジャクソンのアルバム「愛のとりこ」に入っているヴァージョンが好き。彼女の話は改めて書きたいと思いますが。
君を愛することが罪になるなら、僕は罪を犯す…君の家には君を大切に思う人がいる、知っているけど君を求める…いや、アブない歌で写真写りもややあぶない男?ですが熱っぽいハイトーンで歌われるとつい…なんて女性ファンもたくさんいたのでしょう。
この曲が入った72年の2枚目のこのアルバムですが、ホーマー・バンクスなどが書いた佳曲が揃っていて、アルバム通しての満足度はとても高い愛聴盤です。
地味なジャケットですが、71年のデビューアルバム KOS-2201(左)のA面トップの曲「Ain't Thatloving You (For More Reasons Than One)」も、大好きな曲で、これはルー・ロウルズのカバーも出ていましたが、ルーサー・イングラムがやっぱり良いな。
中央のアルバムは先の2枚より間隔が空いた76年のアルバムですが、持ち味は変らずお得意の不倫ソング「Let's Steal Away To The Hideaway」=そっと抜け出して隠れ家に行こう=などが歌われていて、これまたとても良い曲なのです。
以前ゴスペル曲の所で書きましたが、Let’s Steal Away to the Hide wayと言うくだりは、1860年代にウォーレン・スミスと言う人が作った「Steal Away」という曲が始まりだそうで、ゴスペルの世界ではLet’s Steal Awayのあとto Jesus =イエスのもとに行こう、と続くのだそうです。
集会を禁じられていた黒人達が、労働歌を装って歌う事で、「今夜森で集会があるぞ」と伝える隠語に使っていたそうで、それが姿を変え、この不倫の曲が出来ているみたいですが。
ルーサー・イングラムさんは2007年の今日3月19日に、70を前にして疾患で亡くなったのですが、そんな事を思い出しながら彼の歌を聞き、今日もまたサザン・ソウルの沼に足を踏み入れ、どっぷりと浸かっています。
※以上は閉鎖された旧ブログ(2021/11/30)からのの再掲載なので、本日の累計〇話は無しです。