現在使用中のスピーカーは前出の「Onkyo Scepter 1001」と「TAD TSM-2201-LR」の二つです。
これらのスピーカー、透明度が高くかつ芯のある音が気に入ってはいるのですが、なんとなく物足りなさを感じる今日この頃。
云ってみれば、日本のスピーカーは「優等生」的なんです。
もっと違ったアプローチがあってもいいのでは? などと贅沢な悩みを抱いてしまいます。
そして最近妙に気になるのが「Sonus faber」(ソナス・ファベール)というイタリアのスピーカーブランド。
販売されているスピーカーはきれいな木目とレザー仕様で高級家具のような雰囲気を纏い、ストラディバリやガルネリ(17~18世紀に作成されたヴァイオリンの名器)などと名付けられています。
楽器が音を奏でる、という発想なのですね。
リュートの形を模した「ガルネリ・メメント」というスピーカーはどんな音がするのだろう、ヴァイオリンの音色を等身大に聴かせてくれるのではないか?
・・・しかしソナス・ファベールのスピーカーは高い! おまけにガルネリ・メメントは生産終了ときています。
従来、「よいスピーカーは大きくて重い」と思い込んできた私。
しかし、実際に音を奏でる楽器は「大きくて重い」方がよい音が出るわけではなく、音程・音圧で役割分担しています。
このギャップは何なのだろう?
そんな折、楽器の発想で作られたスピーカーを見つけました。
「IL CONFORTO」という弦楽器工房の「Pino Parlante Acer」。
つまり、ヴァイオリン製作のプロが作ったスピーカーです。
ヤフオクで出品されていた中古品を格安で落札しました。
出品者殿は音にこだわりのある方で、オリジナルをチューニングしてさらによい音に仕上げた一品。
<仕様>
表板材:ヨーロピアンシカモア、裏・横板:ハカランダ突き板・シナベニヤ、上下板:ハカランダ、突き板・シナベニヤ
スピーカー:ウッドコーン DCU- F101W
横:136mm、縦:260mm、奥:87mm
届いたスピーカーの小ささと軽さにまず驚きました。
ティッシュの箱をやや大きくした程度で、重さは木の空箱くらい。
でも、外見が美しく、高級ギターのような仕上げになっています。
ユニットはウッド(木製)コーンのフルレンジ。
どんな音が出るのかなあ・・・ セッティングはそこそこに、Accuphase E-460 につないで早速音を出してみました。
ふだん聞いている Scepter 1001 と同程度の音量で始めたら、オーケストラのパーカッションのところで音が割れてしまいました。それもスピーカーが壊れそうな「パンッ!」という音。
「まずい!」とウッドコーンを確認したところ、割れてはいなそう。ホッとしました。
音量を落としてクラシック系の優秀録音サンプルCDを聞いてみました。
しかし、大きな音圧で聞く習慣ができていた私の耳には、なんとなく物足りなくてピンときません。
その中でも弦楽器はまあまあかな・・・と感じつつも、ちょっとガッカリした気分で1日目終了。
さて翌日(つまり今日)、今度はパソコンに取り込み済みの3500枚のCDから、いろんな楽器や編成の音楽を聴きまくりました。ただ、突発的なパーカッション系、ジャズドラムの連打などはウッドコーンが割れそうで怖いので、おとなしめの音楽中心に。
音量も中くらいに絞って。
するとどうでしょう。
このスピーカーの本性がみえてきました。
弦楽器の音が生々しく聞こえてきたのです。
柔らかくて軽やかな響き。
スピーカーに近寄って耳を澄ますと、そこにある楽器が音を出しているのでは、と勘違いしてしまいそう。
ミルで挽いたコーヒー豆をドリップで入れる時の、あの最初の濃厚な一滴が落ちてくる瞬間をイメージしました。
香ばしくかぐわしい音色。
ソロの弦楽器~室内楽を流していると、なんだかヨーロッパの貴族がお抱えの楽士に部屋で演奏させているような・・・言い過ぎかな(笑)。
あえて表現すると、Scepter 1001 は静寂な音場の中に芯のある音像を配している印象で、一方の Pino Parlante Acer は楽器そのもの。
Pino Parlante Acer を聞いた後で Scepter 1001 に切り替えると「透明感」というヴェールを無理に被せているような気さえしてきました。沈み込む低音、音の広がりや余韻は Scepter の方が上ですけどね。
しかし Pino Parlante Acer はフルレンジらしくバランスがいいので、低音が足りないとかの物足りなさは感じませんでした。
「音楽は大きな音で聞けばよいというものではありませんよ。品のよい調度品のように生活の中に溶け込む音楽をお楽しみください」とたしなめられた気分です。
1980年代に名を馳せたアコースティック・レーベルの Windham hill 系もよろし。
William Ackerman のギターの響きが部屋の中で魅力的に広がります。
このレーベルは録音も優秀ですが、初期の1970年代のモノは録音が粗く、 Scepter ではあまり聴く気になれないでいました。
しかし Pino Parlante Acer は、その粗い録音さえも柔らかい音色で聴きやすくしてくれたのでした。
そこで「ハッ!」と閃きました。
「古い録音もいけるもしれない」
Scepter や TAD モニターは、音の再現性に関しては優秀すぎるのか「録音を裸にする」傾向があります。つまり、録音が悪いとそれをさらけ出してしまうので、聞くに堪えない音楽になってしまいがち。
それを Pino Parlante Acer で聴くと・・・う~ん、思った通りとてもいい。
フリッツ・クライスラーやミッシャ・エルマン、カペー四重奏団、ユーディ・メニューインなどがその時代の空気とともにアナログレコードのような音で迫ってきて感激しました。
中音量で聴く悦楽に目覚めました。
いいスピーカーに出会えて幸せです。
出品者殿に感謝!
アナログレコードを再生するとどんな音になるのだろう。
このスピーカーを真空管アンプにつないだら、もっとまろやかな音が聴けるかな?
などと、夢が膨らむのでした。
これらのスピーカー、透明度が高くかつ芯のある音が気に入ってはいるのですが、なんとなく物足りなさを感じる今日この頃。
云ってみれば、日本のスピーカーは「優等生」的なんです。
もっと違ったアプローチがあってもいいのでは? などと贅沢な悩みを抱いてしまいます。
そして最近妙に気になるのが「Sonus faber」(ソナス・ファベール)というイタリアのスピーカーブランド。
販売されているスピーカーはきれいな木目とレザー仕様で高級家具のような雰囲気を纏い、ストラディバリやガルネリ(17~18世紀に作成されたヴァイオリンの名器)などと名付けられています。
楽器が音を奏でる、という発想なのですね。
リュートの形を模した「ガルネリ・メメント」というスピーカーはどんな音がするのだろう、ヴァイオリンの音色を等身大に聴かせてくれるのではないか?
・・・しかしソナス・ファベールのスピーカーは高い! おまけにガルネリ・メメントは生産終了ときています。
従来、「よいスピーカーは大きくて重い」と思い込んできた私。
しかし、実際に音を奏でる楽器は「大きくて重い」方がよい音が出るわけではなく、音程・音圧で役割分担しています。
このギャップは何なのだろう?
そんな折、楽器の発想で作られたスピーカーを見つけました。
「IL CONFORTO」という弦楽器工房の「Pino Parlante Acer」。
つまり、ヴァイオリン製作のプロが作ったスピーカーです。
ヤフオクで出品されていた中古品を格安で落札しました。
出品者殿は音にこだわりのある方で、オリジナルをチューニングしてさらによい音に仕上げた一品。
<仕様>
表板材:ヨーロピアンシカモア、裏・横板:ハカランダ突き板・シナベニヤ、上下板:ハカランダ、突き板・シナベニヤ
スピーカー:ウッドコーン DCU- F101W
横:136mm、縦:260mm、奥:87mm
届いたスピーカーの小ささと軽さにまず驚きました。
ティッシュの箱をやや大きくした程度で、重さは木の空箱くらい。
でも、外見が美しく、高級ギターのような仕上げになっています。
ユニットはウッド(木製)コーンのフルレンジ。
どんな音が出るのかなあ・・・ セッティングはそこそこに、Accuphase E-460 につないで早速音を出してみました。
ふだん聞いている Scepter 1001 と同程度の音量で始めたら、オーケストラのパーカッションのところで音が割れてしまいました。それもスピーカーが壊れそうな「パンッ!」という音。
「まずい!」とウッドコーンを確認したところ、割れてはいなそう。ホッとしました。
音量を落としてクラシック系の優秀録音サンプルCDを聞いてみました。
しかし、大きな音圧で聞く習慣ができていた私の耳には、なんとなく物足りなくてピンときません。
その中でも弦楽器はまあまあかな・・・と感じつつも、ちょっとガッカリした気分で1日目終了。
さて翌日(つまり今日)、今度はパソコンに取り込み済みの3500枚のCDから、いろんな楽器や編成の音楽を聴きまくりました。ただ、突発的なパーカッション系、ジャズドラムの連打などはウッドコーンが割れそうで怖いので、おとなしめの音楽中心に。
音量も中くらいに絞って。
するとどうでしょう。
このスピーカーの本性がみえてきました。
弦楽器の音が生々しく聞こえてきたのです。
柔らかくて軽やかな響き。
スピーカーに近寄って耳を澄ますと、そこにある楽器が音を出しているのでは、と勘違いしてしまいそう。
ミルで挽いたコーヒー豆をドリップで入れる時の、あの最初の濃厚な一滴が落ちてくる瞬間をイメージしました。
香ばしくかぐわしい音色。
ソロの弦楽器~室内楽を流していると、なんだかヨーロッパの貴族がお抱えの楽士に部屋で演奏させているような・・・言い過ぎかな(笑)。
あえて表現すると、Scepter 1001 は静寂な音場の中に芯のある音像を配している印象で、一方の Pino Parlante Acer は楽器そのもの。
Pino Parlante Acer を聞いた後で Scepter 1001 に切り替えると「透明感」というヴェールを無理に被せているような気さえしてきました。沈み込む低音、音の広がりや余韻は Scepter の方が上ですけどね。
しかし Pino Parlante Acer はフルレンジらしくバランスがいいので、低音が足りないとかの物足りなさは感じませんでした。
「音楽は大きな音で聞けばよいというものではありませんよ。品のよい調度品のように生活の中に溶け込む音楽をお楽しみください」とたしなめられた気分です。
1980年代に名を馳せたアコースティック・レーベルの Windham hill 系もよろし。
William Ackerman のギターの響きが部屋の中で魅力的に広がります。
このレーベルは録音も優秀ですが、初期の1970年代のモノは録音が粗く、 Scepter ではあまり聴く気になれないでいました。
しかし Pino Parlante Acer は、その粗い録音さえも柔らかい音色で聴きやすくしてくれたのでした。
そこで「ハッ!」と閃きました。
「古い録音もいけるもしれない」
Scepter や TAD モニターは、音の再現性に関しては優秀すぎるのか「録音を裸にする」傾向があります。つまり、録音が悪いとそれをさらけ出してしまうので、聞くに堪えない音楽になってしまいがち。
それを Pino Parlante Acer で聴くと・・・う~ん、思った通りとてもいい。
フリッツ・クライスラーやミッシャ・エルマン、カペー四重奏団、ユーディ・メニューインなどがその時代の空気とともにアナログレコードのような音で迫ってきて感激しました。
中音量で聴く悦楽に目覚めました。
いいスピーカーに出会えて幸せです。
出品者殿に感謝!
アナログレコードを再生するとどんな音になるのだろう。
このスピーカーを真空管アンプにつないだら、もっとまろやかな音が聴けるかな?
などと、夢が膨らむのでした。