中国人理解/異文化理解

「中国人とうまくつきあう実践テクニック」(総合法令出版)著者による公式ブログ

贈り物選びに注意(答えと解説)

2011-02-22 | ■中国人の価値観と仕事観

ケーススタディ「贈り物選びには要注意」
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◆「贈る物選びには注意」というテーマです。皆さんいっしょに考えてみてください。◆中国出張のとき、取引先の担当者にお土産を買って行こうと思います。相手は仕事で日頃からお世話になっている中国人です。鈴木さんは成田の免税店でお土産を選ぶことにしました。◆しかし、次の①から⑥の品物の中で、「贈り物」には相応しくない品物があります。贈り物としてはたいへん失礼な品物があります。さて、「贈り物」として相応しくないのは、どの品物でしょうか?贈り物として相応しくないと思う品物に×を、大丈夫と思う品物には○をそれぞれつけてください。

① 職人が手作りで仕上げた伝統工芸品の和傘
② 日本各地の有名お菓子を集めた詰め合わせセット
③ 設立25周年を記念して作ったインテリアとしても美しい木目調の置時計
④ 秋葉原でしか買えない数量限定のキャラクターデザインの可愛い扇子
⑤ 太陽パネルで電池交換の不要なハイテク目覚まし時計
⑥ 会社のエコキャンペーンで製作し、TVでも有名になった緑の帽子




◆さて、いかがでしょうか。○と×の記入は終わりましたでしょうか?記入が終わったら方から答えを確認してください。答えはこのブログの最後の行にあります。まず、答えを確認してから、解説を読み進めてください。

◆まず、最も注意しなければならない品物は③と⑤です。ポイントは「時計」です。掛け時計、置時計、目覚まし時計など、中国ではこのような「時計」を送るということは厳禁です。「時計」は中国語で「鐘」(zhong)と発音します。掛け時計は「掛鐘」(kua zhong)、置時計は「坐鐘」(zuo zhong)、目覚まし時計は「閙鐘」(nao zhong)と言います。

◆「時計」の「鐘」(zhong)という文字の発音が、「終」(zhong)という文字の発音と同じです。「時計」を送るということは、「終了」、「おしまい」を連想させます。つまり、「私たちの関係をこれで終わりにしましょう」という意味です。大げさに言うと「絶縁状」を叩きつける行為、「絶交宣言」なのです。

◆また、「時計を送る」という意味の「送鐘」(song zhong)という言葉は、まったく同じ発音に「送終」(song zhong)という言葉があり、これは「死者を見送る」、「死者を弔う」という意味になります。

◆例えば、皆さんの家族や友人の結婚式に黒いネクタイをして来た人がいたら、皆さんはどう思うでしょうか?「縁起でもない」、「なんて失礼な人なんだ」と思うでしょう。中国人に「時計」を送るということは、これと同じような感覚です。不吉なことを連想させる常識はずれの行為なのです。

◆選択肢には「会社設立30周年記念」の置時計とか、「キャラクターデザイン」の目覚まし時計とありますが、これらはあまり問題ではありません。会社のノベルティグッツでもキャラクターデザインであってもそうでなくても、「時計」は送ってはいけない品物です。

◆但し、同じ時計でも「腕時計」は問題ありません。プレゼントしても大丈夫です。「腕時計」は中国語では「手表」(shou biao)と言います。「鐘」(zhong)という言葉は入っていないので大丈夫です。置時計や目覚まし時計は発音から連想される言葉から、「贈り物」として相応しくない品物なのです。

◆同じような理由から、①の「傘」や②の「扇子」も避けたほうがいい品物です。中国語の発音では「雨傘」(yu san)、「扇子」(shan zi)と言います。これらの言葉は、中国語の「分散」(fen san)、「離散」(li san)という言葉を連想させます。これは「散らばる」、「ばらばらになる」、「別れ別れになる」という意味です。「関係が壊れる」、「縁が遠のく」というマイナスイメージを連想させる言葉です。

◆選択肢には日本的な図柄、伝統工芸、職人が作った、日本ブランドといった説明がありますが、これらは特に意味がありません。「傘」と「扇子」という品物が送ってはいけない品物なのです。

◆この話をしたとき、ある企業の方から「あと二週間早く知っていれば・・・」というコメントがありました。聞くと、前回の中国出張で中国の取り引き先に「置時計」をプレゼントしたそうです。彼は、「そう言えば先方は、贈り物を渡したときあまりうれしそうな表情ではなかった」とその時の様子を振り返って話してくれました。

◆もし、このことを事前に知ってさえいれば、絶対に起こさないで済むミスでした。中国では考え方や習慣の違いを「知らなかった」というだけで犯してしまうコミュニケーションギャップがけっこうたくさんあります。逆に、これは知ってさえいれば、避けることができたことです。

◆常識を疑い、「違い」を見つけ出す目を持ち、こうしたポイントをひとつひとつ発見していくことも中国ビジネスでは大切なことです。「気付くこと」がいかに大切であるかを知ることが異文化理解を深めていく基本であると言えるでしょう。


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◇産経新聞「フジサンケイビジネスアイ」にてコラム執筆中
 http://www.sankeibiz.jp /毎週月曜日






【解答】①× ②× ③× ④× ⑤× ⑥×







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