こたつむり本舗

りうまちゃーなナマケモノのブルーな戯言の綴れ書き

氷艶2017ー破沙羅ー 5/20 マチネ 感想その四

2017-06-04 17:01:28 | ハコの覚書
 怨みに沈んだ岩長姫によって「破沙羅」の世界に召喚されたのが「歌舞伎」の世界の仁木弾正(市川染五郎)、空から登場するやいなや、この世界にやって来たからには極悪非道の限りを尽くすと宣言する底抜けに陽性な極悪人w常にバックにちゃぶ台座布団が乱れ飛んでいるようなキャラクターw
 先代萩の世界からは切り離されているんで氷艶の仁木は役としてはあまり仕所がない、一幕中盤以降の岩長姫との酸いも甘いも噛み分けた艶っぽくも怪しく危ない大人のやりとりと、二幕序盤の阿国に化けた義経をつまみ喰う戯れのやりとりくらいで、あとはトコトン突き抜けたヴィランぶりを堪能するが吉。とにかく楽しそうに悪事を働く仁木が楽しいw
 仕所が薄い分、とにかく立廻りが派手、なんたって仁木もスケート靴で立廻りをするから!とにかく早い!大きい!スケート靴で六方も踏む!宙乗り沢山!一体仁木は何度空を飛んだことやら判らない!これでもか!とガンガンあの手この手で前に出てくる大悪党!ひたすら楽しいw
 でもね、前から思っていたんだけど、舞踊では無双の華やかさの染五郎さんなのに、芝居になるとどうも線が細くなるのはどうしてかと不思議だった。確かに私が染五郎さんの演技をよく観ていたのは、まだ若手の頃で脇を固めていた頃ではあったんだけど、花形御曹司なのどうして?と…なんとなくこの人は性格が良すぎて周りの人に合わせすぎる傾向が強いのかなと今回ハタと思い付いた。舞踊だと否応なく舞台の中心で一人で引っ張らないといけないけれど、そういう状況で本来の才能が煌めく人なのかなと。
 今回の氷艶は善人側は台詞無しのスケーター中心の座組なので、悪人の頭目二人仁木と岩長姫で芝居を作る必要がある上に飛び道具的な役柄もあってガンガン出てくるわけで…これからが本当に楽しみです。
 しかし、氷艶の市川染五郎の凄いところは演出家としての手腕!あのプランはどこから出てくるのか謎!良い意味で裏切られっぱなし!観たいと思っていたモノがほどよいタイミングで出てくる作品構成感覚も見事、それとシアターじゃなくてアリーナだから縦方向にダイナミックな使い方をしてくるだろうなとは思っていたけど想像以上に縦の視点がいっぱいで、プロセニアムじゃなくて花道育ちの人の視点は違うと感心するやら呆れるやら…全くこの人の頭の作りはどーなっているのやら…この人はウォルフガみたいング・アマデウス・モーツァルトの生まれ変わりかなにかですかねw


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