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ひ鳥ごと

Tweetとは、鳥のさえずりのことです。

JRの短絡線・貨物線などを通る旅客列車の運賃計算経路まとめ

2009-10-06 00:19:45 | 鉄道
自分用メモも兼ねて書いておきます。
対象は、定期列車や頻繁に運転される臨時列車が通るルートのうち、JR時刻表やJTB時刻表の索引地図(路線図)に出てないもののみ。

* デルタ線通過型

・東北本線~青森信号場(青森駅を経由せず)~津軽線(北斗星)…青森経由
青森駅構内の夜間集中工事のため。カシオペアは展望室の向きの都合上青森駅に入ってスイッチバックを行います。

・常磐線~武蔵野線(わくわく舞浜・東京、ぶらり鎌倉など)…新松戸経由
常磐線⇔西船橋方面で運行する時は南流山駅構内でスイッチバックを行います(ただし、新松戸~南流山間は運賃計算に算入されません)。

・大宮~東北貨物線~武蔵野線(快速むさしの、ホリデー快速鎌倉など)…南浦和経由
東北線(旅客線)との分岐点が与野駅構内にあるため、与野駅を通るルートで計算されます。旅客営業規則(規則)第70条の区間が大宮までだった頃は、最短経路で運賃が計算されたため、西浦和方面については武蔵浦和経由で計算されました。

・新小平~国立(快速むさしのなど)…西国分寺経由

・大崎~大崎支線~西大井(湘南新宿ライン、スーパービュー踊り子など)…品川経由
たとえば湘南新宿ラインで新川崎から大崎に来て、山手線に乗り換えて品川に行くと本来なら大崎~品川間が区間外乗車になってしまいますが、規程149条でこの場合の区間外乗車は認められています。

・瀬戸大橋~四国…宇多津経由
宇多津に停車せずに坂出・高松方面に行く列車は宇多津のホームを経由しませんが、運賃計算上は宇多津経由扱いになります。

* 貨物線通過型

・府中本町~武蔵野南線~鶴見(ホリデー快速鎌倉など)…川崎経由南武線
走行ルートのうち鶴見~新鶴見信号場(≒新川崎)は品鶴線と重なりますが、品鶴線上に武蔵小杉駅が開業したら運賃計算のルートは変わるのでしょうか?

・赤羽~東北貨物線~山手貨物線~池袋(成田エクスプレス、湘南新宿ラインなど)…田端経由。ただし、旅客営業取扱基準規程(規程)第110条により赤羽線(埼京線)十条経由で計算。
走行ルートは東北貨物線・山手貨物線であり、それらの属する東北線・山手線を経由するものとして計算するのが本則ですが、規程110条の定めにより十条経由で計算することが認められています。
ほかに規程110条に特例が定められているのは成田エクスプレスの新宿~錦糸町間直通利用(御茶ノ水・秋葉原経由)とはまかぜの尼崎~和田山間(姫路通過)の直通利用(福知山経由)

・鶴見~横浜羽沢~東戸塚(湘南ライナーなど)…横浜経由
現在計画中の相鉄との連絡線が完成し、横浜羽沢で客扱いが始まった場合にどうなるかは不明です(品鶴線と同様に経路特定区間を設定する?)。

・新大阪~(貨)梅田~西九条(はるかなど)…大阪経由
時刻表の索引地図には新大阪~西九条間の大阪駅を経由しないルートが出ていますが、運賃・料金は大阪経由で計算されます。また、さらに天王寺以南(関西線・阪和線方面)と相互利用する際は規則69条(経路特定区間)の定めにより天満経由での計算になります。
ところでこの走行ルート上に大阪駅に隣接して北梅田駅を設置する動きがあるようですが、これが実現した場合はやはり大阪駅と運賃計算上同一視されることになるのでしょうか?

「高速道路1000円で乗り放題」はアンフェアだと思う

2009-07-01 19:28:16 | 鉄道
鉄道直接のネタではないですが、鉄道業界も無関心ではいられない話なのでカテゴリ「鉄道」としました。

相変わらず「地方の高速道路土休日1000円で乗り放題」が続けられています。この施策、ただ実施するだけでは運営をしている高速道路会社が減収減益に陥るだけですが、その補填のために国は税金を投入しています。

利用者からしてみれば、マイカーを使うか高速バスを使うか鉄道を使うかといったことはあくまで「手段」の話であり、ストレスなく自宅と目的地の間が往復できればそれでいいわけです。「ストレスなく」という部分は、早いとか安いとか車窓の景色がきれいとかいった感じで、個々人で基準は異なってくるかと思います。
そこで高速道路の通行料が1000円となったことで、この基準のうち「安さ」の部分のウェイトが多くの人の中で増したのではないかと思います。そのうちの一部が「マイカーでの移動」にシフトしたということになります。

さて、「高速道路1000円」で経済的な恩恵を受けるのは、当然高速道路を利用する人のみです。逆に、高速道路を利用しない人にはメリットはまったくありません。つまり、鉄道・航空・船舶といった輸送モードは、ただ手をこまねいているだけでは道路に客を取られるばかりとなってしまいます。
当然各社とも様々な施策を打っていますが(JR東日本の「ツーデーパス」とかJR西日本の「西日本パス」とか)、一部の事業者からは悲鳴も聞こえ始めています。そりゃそうだ、税金を投入した高速道路の値下げと事業者の経営努力による増客施策じゃ競争するにも体力差がありすぎます。私がタイトルで「アンフェア」といったのはそこです。

高速道路利用促進のために税金を投入するのは、自動車利用の増加、すなわちCO2排出量の増加を促すという意味でもほめられた施策ではないのですが、この点については今回は割愛します(いいたいことは山ほどありますが)。

高速道路の利用促進をすることでマイカーを利用する人には非常に嬉しい状況になっていますが(バスも高速道路を利用しますが、マイカーの増加で渋滞に嵌る確率が上がっていることから、バス業界としては歓迎していないようです)、世の中には様々な理由でマイカーを利用できない人もいます。「旅行促進による景気刺激」というのが目的なら、高速道路ではなくて交通モード全体に網を被せられるような助成制度を検討すべきでしょう。それをせずに拙速に「高速道路1000円」としたのは、一部の業界からの陳情とかこの夏のうちに確実に実施される総選挙に向けたポイント稼ぎとか、何か別の意図があるのではないかと感じざるを得ません。

中央新幹線の建設は迂回ルートの方が金が掛かるらしい

2009-06-19 19:24:28 | 鉄道
こんなにハイペースでブログを書くのは久しぶりかもしれませんw

さて、リニア中央新幹線の工事費の試算が出ましたが、南アルプスを貫通する長大トンネルを掘る直線ルートより谷を通す迂回ルートの方がお金が掛かるんですね。それもン千億の差。

さて地元長野県と運営主体であるJR東海がこの新線のルートについてもめているようですが、仮に茅野を通る(=迂回ルート)ことになった場合にはいったい誰が得をするのでしょうか。迂回ルートには伊那谷、木曽谷と2ルートありますがとりあえずまとめておくことにします。

まず利用が想定される人ですが、東京-名古屋を乗り通す人の他に、途中駅の利用者も考えられますが、日本の人口が太平洋ベルト上に集中していることを考慮すると、乗り通す人が圧倒的になるものと思われます。
その証拠として、現行の「のぞみ」が新横浜を出ると名古屋まで止まらないにもかかわらず利用者が多数いること(→静岡を経由しようが長野を経由しようが関係ない!)、逆に塩尻と東京・名古屋を結ぶ特急列車(「あずさ」・「しなの」)は1編成あたりの車両数も1両あたりの定員も新幹線に比べて少ないですが、運転本数も少ない(少ない本数で間に合ってる)ことが挙げられます。
これはJRの「おトクな切符」の一種である回数券(「新幹線回数券」・「あずさ回数券」)の割引率にも表れています。「のぞみ」停車駅間の「新幹線回数券」の割引率は非常に悪く、その価格は「ひかり」の正規料金と同じです。すなわち、「ひかり」の価格で「のぞみ」に乗れる程度の意味合いしかありません。一方「あずさ回数券」は区間にもよりますがたとえば新宿-塩尻なら正規料金に比べ33%OFFです。そうでもしないと空席ができるんでしょう。
なので新幹線が茅野を経由することで得をするのは、諏訪・伊那周辺に住んでいて東京や名古屋に用事のある人か、東京や名古屋から人が来てくれることで潤う地元経済ということになるでしょう(もしかしたらストロー効果で人口が吸い出されて逆に地元経済が寂れるかもしれませんが)。まぁ、伊那は飯田からも塩尻からも距離があるのでメリットはあるかもしれませんが、東京-名古屋の需要の大きさを考えると(民間企業であるJR東海にしてみれば)重要度は低いかもしれません。

一方、直線ルート採用の場合には問題にならないと思われる事項としてあげられるのが並行在来線問題です。
もし新幹線が茅野を経由することになると、中央東線の長距離旅客需要は壊滅的になることが容易に予想されます。そうなるとJR東日本は黙っていないでしょう。新幹線建設の件で現状の計画に異議を唱えることは目に見えています(例えば「茅野以東はウチにやらせろ」とか)。そうして揉めることで開業時期が遅れることが予想され、受益者である東京-名古屋を移動する人たちがリニアの恩恵にあずかれないことになります。
あるいはそうまでいかなくても、中央東線の赤字転落が予想された場合に例えば甲府以西の経営を切り離す可能性があるかもしれません。現状で中央東線は長野県向けの石油輸送のルートとなっており、廃止するという選択肢は取れません(石油がなかったら長野県民は凍死するかもしれませんw)。そうなると地元が引き受けることになるのでしょうが、整備新幹線の開業によってJRから第三セクターへ経営が移管された路線についていい噂を聞かない(ちなみに一番ひどいのはしなの鉄道です)ことから、ここも同様の状態に陥る可能性がないとはいえません。
では在来線の経営分離によって損害を被るのは誰か?地元自治体が経営を引き受け(実際には地元自治体が出資する第三セクターの経営になりますが)、仮に赤字が出た場合には出資者たる地元自治体が引き受けることになるであろうことは容易に想像がつきます。すなわち住民の税金が投入されるわけです。

まずここまでで問います。税金が高くなってもリニアに乗りたいですか?

次に建設費自体の問題について考えてみたいと思います。
JR東海は民間企業です。かつては公共企業体(公社)である国鉄、そして民営化後の一時期は国(正確には国鉄の後身である国鉄清算事業団)が株を持っていましたが、現在は100%市場に株が放出されているので民間企業です。当然、その事業は自らの損得の論理で行われます。従って外部からの要因で新線や新駅を開業する場合は、それによって利益を得られる人が負担をすることになります。例えば新駅開業についていえば、ニュータウン開設に伴う「はるひ野」(小田急多摩線)の開業、土地区画整理事業の進捗に伴う「西府」(JR南武線)の開業、日大の請願による「船橋日大前」(東葉高速鉄道東葉高速線)の開業はそれらの事業主体によって何らかの負担がなされています。新線に関していえば、多摩ニュータウンについての京王相模原線(京王多摩川~橋本、調布~京王多摩川はニュータウン計画以前に開業している)や小田急多摩線(新百合ヶ丘~唐木田)に対する建設費の補助や、住宅・都市整備公団(現:都市再生機構)による路線設備の直接保有(住宅・都市整備公団線:小室~印旛日本医大、現在は京成電鉄100%出資の千葉ニュータウン鉄道に譲渡し、北総線の一部)がそれにあたるでしょう。
さて前述の通り、リニア中央新幹線が茅野を経由することで得をするのは長野県民、あるいは長野の地元経済ということですが、直線ルートに比して増大する6400億円について、JR東海は地元に対して負担を求めてくることは容易に予想されます(直線ルート採用の場合でさえ「途中駅は地元負担」と言っているわけですし)。それは、仮に1割負担としても(たぶん1割ではすまないでしょうが)あまりに額が大きすぎます。

もう一度問います。税金が高くなってもリニアは欲しいですか?

まもなく大井町線が溝の口延伸

2009-06-17 18:20:25 | 鉄道
いよいよ大井町線の溝の口延伸まで1か月を切り、ダイヤも発表されました。南武線から溝の口で乗り換えて大井町線方面に行くのに、平日朝夕のラッシュが酷い田園都市線を利用せずにすむのはありがたいですね。

しかし1つだけ問題があると感じられる点があります。上のリンク先で各駅停車が青と緑の2種類になることが案内されてますが、非常にわかりづらく、(大規模ではないにせよ)混乱を呼ぶことが予想されます。

問題の要点を抜き出すと、緑各停は二子新地・高津の両駅を通過し、青各停はその両駅も停車するということですが、これはつまり「新種別」緑各停は二子玉川を境に以西は急行の、以東は各停の停車パターンで運転するということであるといえます。

田園都市線では、2007年4月に朝ラッシュの混雑緩和を目的として「準急」という種別を制定しましたが、これは元々急行だった列車を、二子玉川以東の区間について各駅停車の停車パターンに変更したものです。あれ?大井町線の緑各停と同じではありませんか?

乗客にとっては、同じ名前でかつ停車パターンが複数ある種別があるのは紛らわしいだけです。他社であれば小田急線の急行・準急(経堂を通過したりしなかったりするものや、本厚木以西を各駅に停車する●急行の存在)がそのいい例でしょう。東急は、この大井町線の新しい種別について、「二子玉川を境に急行と各停の停車パターンが切り替わる」という特徴を的確に表現するために「準急」という名前を与えるべきであると思います。

Suica利用可能区間&東京近郊区間拡大

2009-01-21 20:43:02 | 鉄道
発表があってからだいぶ経ってしまったのですが一応……。

Suicaと大都市近郊区間については以前書いたわけですが、状況がより悪化してますね。何がひどいって、3月から新たにSuicaが使えるようになる区間より新たに東京近郊区間とされる区間の方が広いんですからね。まぁ新たに東京近郊区間に組み込まれる区間のうちSuicaが使えないのは鹿島線・久留里線・吾妻線・烏山線という地方交通線かつ(JR線としては)盲腸線にあたる部分ではありますがね。
なんというか、残念でなりません。これからの東京近辺の旅行はうまいパックツアーを見つけて行くほうがいいのかもしれないですね。

JR東日本としては将来的に磁気券の全廃も考えているようですが、この調子でいくと「東日本近郊区間」なるものでもできるのでしょうか。恐ろしや。

JR東日本がEF510を導入

2008-12-08 15:06:50 | 鉄道
今月も恒例の鉄道ブログ更新です(w

ソースはこちら(PDF)。

現在東北新幹線八戸~新青森間、九州新幹線博多~新八代間、北陸新幹線長野~金沢間、北海道新幹線新青森~新函館間の建設工事が進められていますが(開業予定順)、
このうち博多~新八代間および青森~木古内間を除いて並行在来線の経営がJRから分離される予定となっており、
その去就が注目されています。
これらの路線は地域の足であるとともに、現在は長距離列車の通過路線としても利用されており(だからこそ並行して新幹線が建設されるわけですが)、
特に新幹線が走らない深夜に運行される夜行・寝台列車についてその存続が一部には心配されています。

まず、対象となる区間で現在運行される夜行をまとめます。
・八戸~青森間 北斗星・カシオペア(不定期)・エルム(臨時)
・長野~金沢間(ここに挙げる列車はすべて直江津~金沢間) トワイライトエクスプレス(不定期)・日本海・北陸・きたぐに・能登
・木古内~函館間 北斗星・カシオペア(不定期)・エルム(臨時)・トワイライトエクスプレス(不定期)・はまなす

北陸新幹線並行区間については、どうも新潟県が在来線の線路を維持することについて消極的との噂も聞こえ、
地域輸送をバス転換した上で新潟県内の区間については廃止されるのではないかとの説もあります。
#ただしこの場合には、京阪神・北陸・東北を結ぶ貨物幹線が消えるという重大な問題もあります
また、北陸本線に接続する枝線4線(七尾線・城端線・氷見線・大糸線)についてもJR西日本は経営分離したいと考えているようです。

一方八戸~青森に関しては、東北本線区間の経営分離以外についてはJR東日本は維持に積極的な様子がうかがえます。
JR東日本は今年4月発表の長期経営計画「グループ経営ビジョン2020-挑む-」において
「地域輸送の担い手として役割を果たし続ける」としていますが、
東北本線の経営分離によってJRの線路と直接接続しなくなる八戸線・大湊線の両線について、
新幹線開業後もJRが路線を維持し続けると表明しています

さてようやく本題です。
先に挙げた夜行列車のうち、「カシオペア」のみはJR化後に製作された車両であって経年が浅いため、また乗車率が高いこともあり、
そう簡単に廃止にはされないだろうとは考えられていました。
しかし客車列車を運行するには客車本体だけでなく、あとは地上設備と機関車がないと運行できません。
このうち機関車については、現在JR東日本に所属する機関車はすべて国鉄時代に製作されたものであり、
この寿命が列車の寿命となってしまう可能性もないとはいえないのです。
実際、(客車ではありませんが)北陸本線で運行される「きたぐに」用の車両は経年が高いにもかかわらず大規模な修繕がなされておらず、
また新車両開発の話もないので新幹線開業後は列車もろともなくなるであろうとの噂が絶えません。
しかしJR東日本については、今回新しい機関車を導入する計画を発表したことで、
現在EF81が牽引する列車については当面維持されるということがほぼ確定したとみていいでしょう。

新幹線によって旅客の移動が便利になることはおそらく間違いはないでしょう。
しかし、貨物を運べないこと、0時~6時に運行できないことから、新幹線によって満たすことは絶対にできない需要があることも確かです。
民間企業による経営であることと、必ずしも多数派ではない需要であることの相容れない条件を、
JRは何とか両立させてほしいと一鉄道ファンとしては願うところです。

おかしなPASMO

2008-10-27 21:02:02 | 鉄道
PASMOのサービスが始まって1年半が過ぎました。
同時にSuicaとの相互利用も始まり、Suica/PASMOで連絡定期を作れるようになるなど、便利になりました。

しかし、先日京王線で人身事故があってダイヤが乱れた際に振替輸送を利用して、
それがきっかけでICカード乗車券のトラブルに巻き込まれてしまいました。

私はモバイルSuicaにJRと京王線との連絡定期券を入れており、この日も利用していたのですが、
事故により京王線を定時通りに利用できる見込みがないので振替乗車票を改札でもらいました。
その際に出場処理をし忘れてしまい、次に井の頭線の駅で入場しようとした際に自動改札で引っかかってしまったのです。
有人窓口にその旨申し出ると、「ここでは処理を行えないのでJRの駅で処理してもらってください」と連絡票を渡されました。

なぜ処理できないのか。
それは、京王の駅改札窓口にあるICカード乗車券の処理装置がカード型のみにしか対応していないからです。

鉄道の話ではないですが、昔Edyが普及しだした頃(かつ、おサイフケータイが今ほど普及していなかった頃)に、
一部のEdy取り扱い店舗に設置されていたチャージ機はカードタイプのみに対応するものでした。
スロットにカードを挿入し、現金を投入すると、バリュー(通貨価値)が積み増されたカードが返却されるというものです。
おサイフケータイの普及により、このチャージ機は非カード型にも対応できるタイプ(リーダ/ライタに乗せるだけ)に
置き換えられ、カード挿入タイプは今では見かけることはありません。

さて、PASMOの登場は2007年の3月です。一方、モバイルSuicaのサービスインは2006年の1月。
それぞれのサービスのプレスリリースを探してみると、モバイルSuicaについては2003年12月に
フィールド試験についてのプレスリリースが出ています。
一方PASMOは、2003年7月28日に各事業者から発表されたプレスリリースが最古のものとなっていますが、
この時点でPASMOを運営する(株)パスモは存在しません。
運営会社については翌年2004年1月30日のプレスリリースでようやくその存在が登場します。
このように、PASMOの企画とモバイルSuicaの開発がほぼ同時期に行われており、
PASMOがサービスインした暁にはモバイルSuicaと相互利用されることも当然視野に入っていたはずと考えられます。

なのに。京王を始め、一部のPASMO導入事業者の駅務機器はモバイルSuicaを扱えない。
具体的には、先述した以前の型のEdyチャージ機のようにカードをスロットに挿入するタイプの機器となっているのです。

SuicaやPASMOは非接触式ICカードです。
取り扱いにあたってはカードにリーダ/ライタを接触させることなく利用できます。
現実に、それが売りの一つでもあります。
例えば、磁気券だと改札機に乗車券を投入しなければいけないので、慣れない人の場合手間取る可能性がありますが、
「カードをかざすだけ」でいいのなら操作の難易度はずっと下がります。

実はこの「かざすだけ」は事業者側にもメリットがあります。
磁気券のように「投入」しなければいけない機械では、
機械の内部に券を受け入れたり排出したりする機構を設けなければいけません。
これにはモータやベルトといった部品を使いますが、これら可動部品はどうしても摩耗という事態から逃れられません。
これらの部品の交換や調整には当然コストがかかります。
また、券詰まりが起きる可能性もあり、それらのトラブル対応にもやはりコストがかかります。
一方かざすだけでよいのなら、カードの処理に必要な部品はアンテナ(と回路)のみとなります。
これは可動部品ではないので摩耗する心配はなく、モータなどに比べれば寿命はずっと延びます。
券詰まりの心配もありません。

窓口にあるカード処理機にも同じことがいえます。ようやく今回の話の本題です。
PASMOは現在カードタイプのみとなっていますが、非接触ICカードなので取扱機器に
必ずしも「挿入」操作をする必要はありません。
改札機と同じように「かざすだけ」の機械を設計することもできたはずです。
現実にJRでは改札の有人窓口に設置してあるICカード処理機は「乗せるだけ」のタイプとなっています。
なのに、PASMOの事業者では改札窓口にカード挿入タイプのICカード処理機を導入している。
これは以下の点でマイナスだと考えられます。
・機構の複雑化によるコスト高(導入コスト・メンテナンスコスト)
・取り扱いできない乗車券(モバイルSuicaなど)の処理を他社に依頼するための連絡票(=紙)が必要になる
・連絡票を渡して乗客を他社窓口に誘導することによる、乗客の不便
特に3つめについては、便利になるはずのICカード相互利用サービスで逆に不便になるという皮肉を生んでいます。

PASMOはサービスが始まってまだ2年もたっていないので、
PASMO事業者で導入したICカード関係の機器が更新されるのはかなり先の話になると思います。
しかし、その更新においては、乗客に負担をかけないようなシステムになるよう是非期待したいものです。

以上、今月の月記でした(w

東京近郊区間は広すぎやしないか

2008-09-30 17:28:02 | 鉄道
ほとんど月記です(w


近年、Suicaに代表されるICタイプストアードフェアカードの利用範囲がどんどん広がっています。今日はそのSuicaの話です。

JRには「大都市近郊区間」という乗車券に関するルールがあり、この区間内のみを利用する場合は乗車券の券面の区間にかかわらず別の経路で乗車してもいいというものです。例えば、新宿(中央東・東北)東京の乗車券で品川経由の乗車をしてもいいということです。大都市近郊区間は、こういった選択乗車を日常的にする可能性が高い都市に設定されており、その対象は現在東京・大阪・福岡・新潟の4都市となっています。

この大都市近郊区間の制度はあくまで「選択乗車を認める」という制度であり、運賃に関する制度ではありません。ただし、この制度により実質的に「経路によらず目的地までの最低運賃で乗車できる」ことになります。先の新宿~東京の例では品川を経由しようと池袋を経由しようと、(中央東)西国分寺(武蔵野)西船橋(京葉)と乗車しても中央東線四ッ谷経由の運賃でOK、ということです。

ICカードによる乗車における運賃計算はこのルールの考え方がベースとなっていると考えられます、実施にあたっては大都市近郊区間の制度によらずに実現しています。JR東日本のSuicaの場合、東日本旅客鉄道株式会社ICカード乗車券取扱規則第27条により、乗車区間の運賃は「出場駅において、入場駅から同一の取扱区間内を経由して最も低廉となる運賃計算経路で算出した普通旅客運賃をSF残額から減算」することとなっており、ここに大都市近郊区間のルールは不要となります。逆にもしSuicaの制度が大都市近郊区間のルールを参照しているのであれば、仙台付近にも仙台近郊区間なるものが設定されなければならないはずです。
#仙台付近に大都市近郊区間が設定されていないのは、JRの在来線のみによるループが存在しないためと考えられます

Suicaのエリア拡大と東京近郊区間の拡大・新潟近郊区間の新設が同時となっているのは、おそらく磁気乗車券(紙のきっぷ)の運賃・効力とSuicaのそれを合わせるためであると考えられます。

しかし、本当に磁気乗車券とSuicaの運賃・効力を完全に同一にする必要があるのでしょうか。例えば、普通運賃に関していえば、ICOCAの岡山・広島エリアには大都市近郊区間が設定されていないため、乗車経路によっては磁気乗車券とICOCAとで運賃が変わる可能性がありますし、モバイルSuica特急券や東海道新幹線のEX-ICサービスにおいては、これらのICによるチケットレスサービスは磁気券より低廉な運賃・料金が適用される一方で長距離乗車券に適用される特定都区市内の制度(「東京都区内」など)がICサービスでは適用されないなど、磁気券とICでサービスが違う例が出てきています。

大都市近郊区間の制度には選択乗車以外にも特別ルールがあり、その中でもっとも影響が大きいと思われるものは
・有効期間は1日(大都市近郊区間内完結でない場合は、100kmを超えると2日以上有効になる)
・下車前途無効(大都市近郊区間内完結でない場合は、100kmを超えると途中下車が可能になる)
の2つではないでしょうか。
現在東京近郊区間は東京駅より100kmを超える区間に設定されており(東京-熱海、東京-宇都宮、東京-高崎で約105km)、さらに新幹線は東京近郊区間に含まれていないので在来線経由か新幹線経由かで乗車券の効力が変わるケースが出てきます。

例えば、東京から熱海や伊東・下田方面へ泊まりで旅行する場合に、踊り子号などを利用する在来線経由だと伊東までのJR線全線が東京近郊区間内に含まれるので、1泊以内でないと往復乗車券や連続乗車券を利用できません。これはジパング倶楽部や大人の休日倶楽部の割引を受ける際に影響してきます。ジパング倶楽部や大人の休日倶楽部ではJR線の利用が片道または往復または連続で200kmを超える旅行の場合に割引を受けることができますが、東京~熱海・下田方面は200kmに満たないため片道では割引を受けることができません。しかし、2泊以上の旅行をしようとすると、東京近郊区間内完結(伊豆急行線直通の場合を含む)なので往復乗車券や連続乗車券では有効期間が2日間となって期間内に復路を利用できず、片道+片道とせざるを得ないため、20~30%引きという大きな割引をあきらめなければならなくなってしまいます。新幹線を経路に含めれば東京~熱海・下田方面の往復が有効期間4日間となり、かつジパング倶楽部の割引対象とすることができますが、東海道新幹線を含むの場合は大人の休日倶楽部の対象にならない(特にジパング倶楽部併用のできないミドルで問題)ですし、ジパング倶楽部利用の場合は20%~30%の割引が利くとはいえ、新幹線の特急料金は高いので要らぬ負担を強いているとも考えられます。
乗客の利便性(+乗車券発売の簡便化)のために大都市近郊区間制度を設定しているということでしょうが、これではサービス低下の誹りを免れないでしょう。

Suicaの利用エリアと大都市近郊区間の範囲が直接関係ないのなら、これらを合わせなくてもいいのではないでしょうか。例えば、東京近郊区間の限界を東京から50km以上100km以内の範囲に設定し、それ以外の区間で選択乗車の設定が必要であれば旅客営業規則第157条による選択乗車の設定を行えばよいはずです。具体的には、1999年改定以前の東京近郊区間、すなわち東京起点で
・東海道線 ~平塚
・中央東線 ~大月
・高崎線  ~熊谷
・宇都宮線 ~小山
・常磐線  ~土浦
・千葉方面 ~成田空港・成東・茂原・木更津
の区間をベースとし、これに当時との事情の違いを反映させれば(東海道線方面を湘南新宿ラインの終点の小田原までとするなど)よいのではないでしょうか。そうすれば100kmを超える乗車券の問題のいくつかも解決されますし、現状ではエリアが広がりすぎて実態と乖離してしまった感のある「近郊」という語との整合性がとれることとなります。

女性専用車の位置づけ

2008-08-25 05:43:03 | 鉄道
「痴漢から女性を守る」という大義名分の元に、
あちこちの鉄道事業者で女性専用車が導入されています。
しかし、実はこれは法的な裏付けがないものなのです。

一言でいえば、憲法第14条(法の下の平等)の存在がその理由です。
これにより性別による優遇を法的に裏付けることができなくなっているのです。

そこで各社とも「乗客にご協力いただく」というレベルで女性専用車の運用を行っているのですが、
気になるものを一つ見つけました。

列車の接近時等に駅自動放送を利用するケースが最近増えていますが、
京王線の朝のラッシュ時のこと、女性専用車の運用がある電車の接近時に、
「~前の1両は女性専用車です。ご注意ください
という放送がありました。
あくまで「お願い」というレベルでの運用なのに「ご注意ください」とは何様だ、
と思ったというそんな話でした。

JR東日本は駅構内で携帯の充電をできるようにすべき

2008-07-10 21:17:19 | 鉄道
タイトル長いなぁw

まぁ趣旨はタイトルの通りです。

現在モバイルSuicaの入会促進キャンペーンが展開されています。
えきねっと会員限定モバイルSuica新規入会キャンペーン
モバイルSuicaご紹介でチャージもらえるキャンペーン
auでいこう。モバイルSuica入会キャンペーン
いずれも新規入会でもれなく(auのキャンペーンのみ抽選)モバイルSuicaのチャージがもらえるというものです。

ところで携帯電話に搭載されているFeliCaチップは携帯電話のバッテリーからの給電によって動作します。
すなわち、完全に電池を消耗してしまうとおサイフケータイの機能が利用できないことになります。
#FeliCaチップ搭載機種では電池消耗判定を早めにしているので「電源が入らない」程度ならまだ大丈夫ですが、
#その後再起動操作を繰り返したりすると完全にアウトです

ところが、改札をくぐってしまうと商用電源から携帯電話の充電をする手段がありません。
もしかしたら一部の飲食店で客用にコンセントが提供されているケースがあるかもしれませんが、
多くはないでしょう(少なくとも私は駅構内では見たことがありません)。

駅構内では見たことがありませんが、一部のコンビニにおいて有料で携帯電話の充電ができるようになっていることがあります。
これの利用率はわからないですが、メンテナンスはさほど手間がかからなさそうなので、割はいいのではないかと思います。
JR東日本は、モバイルSuicaの利用拡大を目論むなら、こういった設備を駅構内(たとえばNEWDAYSとか)に設置して、
携帯電話を電池切れの心配をせずに利用できるようにまずすべきであると思います。