ひ鳥ごと

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中央新幹線の建設は迂回ルートの方が金が掛かるらしい

2009-06-19 19:24:28 | 鉄道
こんなにハイペースでブログを書くのは久しぶりかもしれませんw

さて、リニア中央新幹線の工事費の試算が出ましたが、南アルプスを貫通する長大トンネルを掘る直線ルートより谷を通す迂回ルートの方がお金が掛かるんですね。それもン千億の差。

さて地元長野県と運営主体であるJR東海がこの新線のルートについてもめているようですが、仮に茅野を通る(=迂回ルート)ことになった場合にはいったい誰が得をするのでしょうか。迂回ルートには伊那谷、木曽谷と2ルートありますがとりあえずまとめておくことにします。

まず利用が想定される人ですが、東京-名古屋を乗り通す人の他に、途中駅の利用者も考えられますが、日本の人口が太平洋ベルト上に集中していることを考慮すると、乗り通す人が圧倒的になるものと思われます。
その証拠として、現行の「のぞみ」が新横浜を出ると名古屋まで止まらないにもかかわらず利用者が多数いること(→静岡を経由しようが長野を経由しようが関係ない!)、逆に塩尻と東京・名古屋を結ぶ特急列車(「あずさ」・「しなの」)は1編成あたりの車両数も1両あたりの定員も新幹線に比べて少ないですが、運転本数も少ない(少ない本数で間に合ってる)ことが挙げられます。
これはJRの「おトクな切符」の一種である回数券(「新幹線回数券」・「あずさ回数券」)の割引率にも表れています。「のぞみ」停車駅間の「新幹線回数券」の割引率は非常に悪く、その価格は「ひかり」の正規料金と同じです。すなわち、「ひかり」の価格で「のぞみ」に乗れる程度の意味合いしかありません。一方「あずさ回数券」は区間にもよりますがたとえば新宿-塩尻なら正規料金に比べ33%OFFです。そうでもしないと空席ができるんでしょう。
なので新幹線が茅野を経由することで得をするのは、諏訪・伊那周辺に住んでいて東京や名古屋に用事のある人か、東京や名古屋から人が来てくれることで潤う地元経済ということになるでしょう(もしかしたらストロー効果で人口が吸い出されて逆に地元経済が寂れるかもしれませんが)。まぁ、伊那は飯田からも塩尻からも距離があるのでメリットはあるかもしれませんが、東京-名古屋の需要の大きさを考えると(民間企業であるJR東海にしてみれば)重要度は低いかもしれません。

一方、直線ルート採用の場合には問題にならないと思われる事項としてあげられるのが並行在来線問題です。
もし新幹線が茅野を経由することになると、中央東線の長距離旅客需要は壊滅的になることが容易に予想されます。そうなるとJR東日本は黙っていないでしょう。新幹線建設の件で現状の計画に異議を唱えることは目に見えています(例えば「茅野以東はウチにやらせろ」とか)。そうして揉めることで開業時期が遅れることが予想され、受益者である東京-名古屋を移動する人たちがリニアの恩恵にあずかれないことになります。
あるいはそうまでいかなくても、中央東線の赤字転落が予想された場合に例えば甲府以西の経営を切り離す可能性があるかもしれません。現状で中央東線は長野県向けの石油輸送のルートとなっており、廃止するという選択肢は取れません(石油がなかったら長野県民は凍死するかもしれませんw)。そうなると地元が引き受けることになるのでしょうが、整備新幹線の開業によってJRから第三セクターへ経営が移管された路線についていい噂を聞かない(ちなみに一番ひどいのはしなの鉄道です)ことから、ここも同様の状態に陥る可能性がないとはいえません。
では在来線の経営分離によって損害を被るのは誰か?地元自治体が経営を引き受け(実際には地元自治体が出資する第三セクターの経営になりますが)、仮に赤字が出た場合には出資者たる地元自治体が引き受けることになるであろうことは容易に想像がつきます。すなわち住民の税金が投入されるわけです。

まずここまでで問います。税金が高くなってもリニアに乗りたいですか?

次に建設費自体の問題について考えてみたいと思います。
JR東海は民間企業です。かつては公共企業体(公社)である国鉄、そして民営化後の一時期は国(正確には国鉄の後身である国鉄清算事業団)が株を持っていましたが、現在は100%市場に株が放出されているので民間企業です。当然、その事業は自らの損得の論理で行われます。従って外部からの要因で新線や新駅を開業する場合は、それによって利益を得られる人が負担をすることになります。例えば新駅開業についていえば、ニュータウン開設に伴う「はるひ野」(小田急多摩線)の開業、土地区画整理事業の進捗に伴う「西府」(JR南武線)の開業、日大の請願による「船橋日大前」(東葉高速鉄道東葉高速線)の開業はそれらの事業主体によって何らかの負担がなされています。新線に関していえば、多摩ニュータウンについての京王相模原線(京王多摩川~橋本、調布~京王多摩川はニュータウン計画以前に開業している)や小田急多摩線(新百合ヶ丘~唐木田)に対する建設費の補助や、住宅・都市整備公団(現:都市再生機構)による路線設備の直接保有(住宅・都市整備公団線:小室~印旛日本医大、現在は京成電鉄100%出資の千葉ニュータウン鉄道に譲渡し、北総線の一部)がそれにあたるでしょう。
さて前述の通り、リニア中央新幹線が茅野を経由することで得をするのは長野県民、あるいは長野の地元経済ということですが、直線ルートに比して増大する6400億円について、JR東海は地元に対して負担を求めてくることは容易に予想されます(直線ルート採用の場合でさえ「途中駅は地元負担」と言っているわけですし)。それは、仮に1割負担としても(たぶん1割ではすまないでしょうが)あまりに額が大きすぎます。

もう一度問います。税金が高くなってもリニアは欲しいですか?

まもなく大井町線が溝の口延伸

2009-06-17 18:20:25 | 鉄道
いよいよ大井町線の溝の口延伸まで1か月を切り、ダイヤも発表されました。南武線から溝の口で乗り換えて大井町線方面に行くのに、平日朝夕のラッシュが酷い田園都市線を利用せずにすむのはありがたいですね。

しかし1つだけ問題があると感じられる点があります。上のリンク先で各駅停車が青と緑の2種類になることが案内されてますが、非常にわかりづらく、(大規模ではないにせよ)混乱を呼ぶことが予想されます。

問題の要点を抜き出すと、緑各停は二子新地・高津の両駅を通過し、青各停はその両駅も停車するということですが、これはつまり「新種別」緑各停は二子玉川を境に以西は急行の、以東は各停の停車パターンで運転するということであるといえます。

田園都市線では、2007年4月に朝ラッシュの混雑緩和を目的として「準急」という種別を制定しましたが、これは元々急行だった列車を、二子玉川以東の区間について各駅停車の停車パターンに変更したものです。あれ?大井町線の緑各停と同じではありませんか?

乗客にとっては、同じ名前でかつ停車パターンが複数ある種別があるのは紛らわしいだけです。他社であれば小田急線の急行・準急(経堂を通過したりしなかったりするものや、本厚木以西を各駅に停車する●急行の存在)がそのいい例でしょう。東急は、この大井町線の新しい種別について、「二子玉川を境に急行と各停の停車パターンが切り替わる」という特徴を的確に表現するために「準急」という名前を与えるべきであると思います。

不思議な11条

2009-06-11 18:15:34 | misc
11条といっても日本国憲法の話ではありません。

昨秋のリーマン・ブラザーズ破綻以来アメリカではクライスラー、GMと大型倒産が相次いでいますが、これらの報道で必ず出てくるのが「連邦倒産法」(「連邦破産法」とも)という法律です。この法律は様々な倒産処理手続きについて規定された法律で、簡単にいえば日本の破産法・会社更生法・民事再生法を合わせたような内容となっています(厳密には違うけど)。

リーマン・ブラザーズ、クライスラー、GMともにこの法律のChapter 11に規定された手続きを取って処理を行っていますが、日本の報道ではこれを「第11条」と訳している例がどうも多く見られます。しかし、英語で「条」にあたる単語はarticleであり、chapterは日本語では「章」と訳されるべきです。すなわち、Chapter 11は「第11章」となるわけです。

これは個人的な見解ですが、「第11条」と書いてる人(新聞記者を含む)はこの法律のことについて何も調べずに書いてるんじゃないかと思います。じゃなきゃこんな書き方はしないでしょう。