COCCOLITH EARTH WATCH REPORT

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Nスペ「ライスショック」をどう考える? 学生達の反応

2007-12-23 00:05:58 | Weblog
 2007年10月に放送された、NHKスペシャル『ライスショック~あなたの”主食”は誰が作る~』は衝撃的内容であった。食の欧米化による米離れと、WTO加盟に伴う市場の部分的開放による安価な外国産米の流入が、米農家の経営を圧迫している。農村の高齢化と過疎化で、耕作放棄地や維持できない集落が増加している。日本特産と思われていたコシヒカリも、アメリカや中国の広大な農地で栽培が進み、日本への輸出のチャンス到来を待ち構えている。日本より自由化の進んだ台湾では農村の荒廃が著しい。政府は米の国際競争力向上を狙って、大規模農家の重点支援を打ち出した。しかし、日本で食べている米の4割を生産している中間山地の農家は、支援を閉ざされて営農が困難に追込まれている。その上、かつては収益を上げていた大規模農家も、買取り価格の激減で経営難に陥るところも出てきている。番組には3人の識者が登場し、以下のような意見を語った。

A.鈴木宣弘氏(各国の農業政策を研究)
 先進国では何が起きても国民を守る食糧自給体制が整備されている。主要食品を国内で作れないことを許す国は世界に絶対ない。欧米で乳製品自給率が70%を切ればパニックが起きる。経済学の常識では土地の大きさが非常に重要であり、いくら頑張っても越えられない壁がある。日本の米がアメリカやオーストラリアの米と戦えるとは考えられない。
B.本間正義氏(経済財政諮問会議の農業分野専門委員)
 グローバル化で日本も台湾化してゆく。工業製品の輸出を優先する方が国民を豊かにできる。輸入による食糧の安定供給を本気で考える時期に来ており、売ってくれる友達を沢山作っておくことが究極の安全保障である。大規模化推進で起こる一部の農家の撤退は、市場メカニズムの中での調整と見なせる。米は主食から野菜のひとつに消費パターンが変わりつつある。
C.内橋克人氏(経済評論家)
 輸入に要する外貨を日本企業がいつまで稼ぎ出せるか保証がなく、食糧の輸入依存は危険である。大規模化は、農業への工業的発想の当てはめで、環境や文化を守るのという農業の多面的機能が失われる。主食を他国に依存した国が安泰であった例は歴史上ない。現に穀物価格の急騰が多くの国を直撃している。西・北欧では農業を守るのは公的費用であることと位置づけている。

 以下はVTRで3氏の見解を視聴した学生達の反応である。

[学生190] 今、日本の農業は大きな改革に直面している。我々の古くから主食とされてきたコメが一番問題である。日本のコメは、政府により保護され守られてきたが、それもなくなり、市場で厳しい価格競争を争うことになる。私は食料を100%自給にするのは不可能であるが、主食であるコメは、ある程度自給をするべきだと思う。いきなり市場を自由化せず、もう少し他の国々の政策を見てから、実行するべきだと思う。日本の農業は日本文化の一部であるし、私自身日本の美しい農村の情景が消えてしまうのは、寂しく感じる。

[学生196] 政府が農業の大規模化を推し進めていることを初めて知った。ヨーロッパやアメリカ、中国などは、土地が日本の何倍もある。しかし、土地のない日本が同じように真似るのは無理がある。なので、私は、農業の大規模化は失敗すると思う。だから、そういったことに回す予算を、もっと有効活用すべきだ。私は、土地の少ない日本は、輸入の安定、安全供給に力を入れるべきだと思う。

[学生210] 日本の米の需要がこんなに下がっているとは知らなかった。安い米を輸入することで、多数の消費者は得をするので、その得をした分を農家に所得転移できれば良いのではと思う。また、外貨獲得の不安もあるが、食料の相互依存はやむを得ないと思う。

[学生185] 今回、三人の識者の意見を聞いたが、私はどちらかというと鈴木教授や内橋教授の国内の米を守るという考えに共感した。なぜなら自国の主食が安定的に生産できなければとてもではないが国民は安全に生活できないと考えるからだ。そして食料自給という点でふと思いだしたのが十数年前にあった米の凶作の事件である。あの頃は凶作といえども海外からの米の輸入は生産の半分程度であった。この先、仮に競争が自由化になり、安価な海外産の米に押され、時給率が十数%となった時に作物の不作等有事があった場合、果たして自国の国民を守れるのであろうか。日本のみ凶作ならまだしも世界的に凶作な場合、果たして友達と呼べる国が自国の国民より優先してくれるだろうか。何事にも競争原理を導入し、食べる物がなくなり、共食いになることだけはご免こうむりたいと思った。

[学生187]  日本の自給率の問題はもう手遅れになりかかってると思う。今回のVTRを見てそれを実感した。米の生産を他国の国々が行うことは決して悪いことではない。彼らも資本主義の中で生きていかなければいけない。ただこれは生産者よりも日本で暮らす消費者の意識の問題があると思う。私は自国の主食である米は、自国のものが良い。また生産者も日本人としての米のプライドは捨てる必要はないし、それが維持できるように国が保護する部分を多くする必要がある。

[学生167] 古米と日本
 テレビで細木数子が、日本には食べきれないほどの古米があり、それを北朝鮮に送って経済支援すべきだ。と言ってたのが頭の片隅に何故だか残っていた。今回の講義でイメージが浮かんだ。日本は品質において、現在の中国のような評価ではないことが救いであるが、品質を守ってきた田舎の高齢者をないがしろにして利益優先、経済主義にはしり、有るものを活かそうとしないならば、それこそ国の責任になる。私自信田舎から来ておいて、後継者がどうのとは言えないが、何を守るべきか分からなくなってきた時代なのだろうか。

[学生205] 「一番の安全保障は友達を増やすこと」というのは、政治的な利害問題で日本ががんじがらめになる可能性を無視するものではないだろうか、そして頼るばかりでは国としての信用もなくすのではないか、と感じました。また、これまでみてきた資料で何度も繰り返し主張されていた「環境と経済は別個のものではないが、研究者や人は問題を他人にそれを押し付けたがる」がここでも現れている気がしました。

[学生192] 主食である米は他の工業製品のように単純に経済利益だけ追求して海外から安く輸入すればいいというものではないと思う。鈴木教授や内橋氏の言うようにあまりに食料自給率が下がるのは一国の危機に繋がると思う。自由化が悪いとは言わないが、政府による農家の保護は必要であると感じた。

[学生207] 日本の食が欧米化していることは別に何の問題でもないと思います。日本人がいくら米を食べなくなっても健康的には他で補えれば全然かまいません。時代の変化というものは止めるすべがありません。しかし、問題は農家の人の収入が減るということです。政府は米を保護しなくなったが、それによって発生した新たな問題の解決ため農家を保護する政策を進めるべきだと思います。新たな米の使い道を見つけ需要を増やすことがまず必要なことではないでしょうか。

[学生178] 日本の食糧自給率の低さは以前から問題視されていたことだが、主食である米ですら危機的状況なのだということに驚きました。とはいえ、その背景にはもはや日本人の主食は米である、というかんじがなくなってきていることと関係しているのではないだろうか。実家住まいでない私も、1週間の間に米を食べる機会は数える程度のような気がするし、周りにもそういう人は少なくない。そんな日本の食生活の変化に伴った農業政策を政府は考えてほしいし農家の人も頑張ってほしい。

[学生206] 私はお米が大好きで、反パン食派なので、ライスを食べる人の人口が減っていることと、お米の生産が危機に瀕していることを知り、大変ショックでした。そして、外国で日本のブランド米が栽培されているのは、少し日本人として納得いかない気もします。それによって日本の本来のお米が脅かされているのは納得いきませんし、がっかりしました。政府も対応を考えなければならないと思います。私は自由貿易化についてほとんど知らなかったので、なぜそんな事をしたのか疑問に思いました。そして休止中の田んぼなどによる土壌の問題や、自然災害との関係について、こういった方面からも環境問題に関係しているのかと驚きました。

[学生174] 日本における米を筆頭とした食料の自給率が激減している。海外の安い米の流入によって農村が米を生産して得られる利潤が減ったからだ。ただでさえ、日本の面積は狭い。食料をより安く、大量生産するためには広大な面積は絶対条件になる。その点においてもオーストラリアやアメリカなどに敵うはずがない。日本が取るべき手段は食料の流入を止める事だけだろうか。私たちが為すべき事はむしろ国際化の時代のニーズにあった、例えば確たる食料輸入ルートの確保や、日本の米のおいしさを世界に伝える工夫を施し、日本の米をブランド化するなどの前向きな検討の方だろうと思う。

[学生203] 現在、米の売れ行きが低迷していく状況で、農村の過疎化と高齢化が進んでいます。台湾の没落してしまった集落を見て、これからの日本を今考えなければならないと感じました。以前はきれいに作られていた棚田が現在放置され、土砂崩れの悩みとされているのもそのきっかけだと思います。もし、海外に主食である米の生産を頼ることにしてしまうことは、人々は土地も水も限られているという点を無視するという気がします。これから日本の食卓から米をなくさないためには自給をあきらめず、日本自身で現状の問題の解決策を編み出す必要があると思いました。

[学生212] [学生212] 戦後、高度経済成長を経て欧米的な豊かさに味をしめてしまった日本は食に関しても欧米食品の、文字通り、味をしめてしまった。確かに古来からの日本の食文化が失われている現状は嘆かわしいことだが、こればかりは致し方ないように思える。しかし食糧の安定供給も大事だが、米農家などの被害を抑える、より有効な政策を模索する必要があるようにもおもう。

[学生180] 日本の主食である米が、そうとう厳しい状況に置かれている現状を初めて知って驚きました。日本の状況、特に主食に関しての、鈴木氏や、内橋氏の意見はしごく真っ当なものと思えましたが、本間氏の意見にはあまり賛同できませんでした。友人を沢山作っておく、というのは常にそうあるのが一番ではあるけれども、現実にはそうとは限らない。また、世界的に飢饉などの問題が起きて、その友人達もまた危機に陥った時に、では日本は誰に助けてもらうのか。そういった、僅かだが確実にある、国家の存亡に関わるリスクを回避するために、各国とも主食だけは、国家としてコアな部分だけはコストをかけてでも維持していると思うのです。

[学生176]  私はこしひかりなど日本独自の品種ブランドが海外でも作られていることを初めて知りすごく驚いた。米は日本の独自の気候と土壌でしかできないものだと思っていた。私が幼い頃に米不足でタイ米の輸入していた時期があった。細くてパサパサしたタイ米が多く出回ったが日本人の口には合わなかったことが記憶にある。個人的に内橋氏の意見に賛成だ。日本には昔から米を主食にし米にまつわる農業の歴史や文化がある。一時的な生産コストの比較などでこれらの文化を踏み躙ることはあってはならないと思う。
 衰退しかけた日本の農業のビジネスによる復興はないのだろうか。ビジネスだけではなく国が農家や農業にたずさわる企業や協会をバックアップし、米農業の後退を防ぐべきだと思う。そうすれば、日本の米文化を守ることに繋がるし、輸入による異文化社会の中でも生き残れる可能性がもっと高まると思う。

[学生220] 私はVTRの冒頭で鈴木氏が語っていた、『経済では土地の大きさによる壁があり、日本の米がアメリカやオーストラリアの米とは競合できはしない』と言われたことに、強い印象を受けた。日本の自給率を回復するにはもう手遅れであると言われたも同然であり、他国の米は今後も安く大量に輸入されてくるのであろう。それでも日本はできる限りのこと、例えば国による生産の保護、などするべきだと考える。

[学生197] 先進国の食糧自給率が維持、向上に向かう中、日本は低下の一途を辿っている。このような日本の自給率の低下には国民の食生活の多様化や狭い耕地面積、食糧の輸入依存が考えられる。日本の食糧自給率の低下を防ぐ鍵を握るのは、わが国の主食である米にあると思う。食生活の多様化でパンを食することも多いが、ご飯食への関心を高めることで食糧自給率の回復へと繋がるのではないだろうか。また高齢化などによる農業従事者の減少も問題となっている。国全体で若い人が農業に関心を持つような工夫をすることも今後の日本の農業にとって重要である。地道な積み重ねによって日本の食糧事情を変えて行かなければならない。







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