COCCOLITH EARTH WATCH REPORT

限りある地球に住む一地球市民として、微力ながら持続可能な世界実現に向けて情報や意見の発信を試みています。

BS世界のドキュメンタリーで、<シリーズ あなたの知らない食のはなし>を放送

2009-08-30 15:29:01 | Weblog
にほんブログ村 環境ブログへ
 お盆休みやスポーツ中継優先で、8月中は再放送でお茶を濁してきたBS世界のドキュメンタリーに、9月早々から<あなたの知らない食のはなし>と題した見応えあるシリーズ番組が放送されます。以下は番組のリストと番組ホームページから得た放送内容のあらすじです。いずれもNHK衛星第一で、時間は24時間表記です。大部分深夜の時間帯なので、私は録画して後で見ています。なお、NHKでは放送後10日間、オンデマンド見逃し番組を有料で配信しています。

【番組リスト】
番組1.1日(火)00:10‐01:00「巨大ビッグ・ビジネス」
番組2.2日(水)00:10‐01:00「“苦い”紅茶」
番組3.3日(木)00:10‐01:00「低価格商品はお得?」
番組4.4日(金)00:10‐01:00「キング・コーン~とうもろこしの国を行く~」
番組5.5日(土)00:10‐01:00「世界に広がる飢餓の怒り」
番組6.5日(土)23:10‐24:00「ランドラッシュが村を襲う~ルーマニア 穀倉地帯の攻防~」

【放送内容のあらすじ】
番組1.1日(火)00:10‐01:00「巨大ビッグ・ビジネス」(原題:Pig Business、制作:Price of Progress Productions イギリス 2009年)。
 世界の食肉産業が急激にグローバル化し、大量生産を始める中で歪みが生まれ、EU新規加盟国ポーランドでは小規模農家の経営を、アメリカの巨大豚肉会社が圧迫している。従来の食糧生産システムの崩壊と巨大企業による寡占化という現実、そしてその歪みにスポットをあてたドキュメンタリー。
 ポーランドは、EU加盟後、人件費などの安さを武器に大量の食品をヨーロッパに輸出するようになっている。そして、グローバル化の流れの中で、従来の小規模農業から、大規模農業への転換を試みている。その流れの中でポーランドのポメラニア地方に、世界最大と言われる豚肉会社が乗り込んできた。
 この会社はアメリカのノースカロライナに巨大な豚肉処理場を所有。そこでは豚の排泄物の処理をめぐって近隣住民が環境被害を訴えたため、1991年処理場からの排水の処理方法の規制が強化された。こうした中、会社は新たな工場建設地を海外に求め、ポーランドにねらいを定めた。そして、ノースカロライナでは規制を受けることとなった同様のシステムを使った豚肉処理場の建設を目指した。一部の国民からの懸念は表明されたが、食糧生産のグローバル化に乗り遅れまいと、ポーランド政府は工場の建設を容認する。
 番組の制作者は2003年から2008年にかけ、ポーランド同地方を訪れ、周辺への影響を調査した。工場周囲には、悪臭がたちこめ、池は汚れ、豚の死骸が浮いていることもあったという。付近の住民は皮膚炎や体調の悪化などの様々な被害を訴えるようになる。地元自治体が第三者機関に依頼し、大気汚染の調査をしたところ、目や鼻、のどにアレルギー症状を引き起こす物質が基準の25倍の濃度で検出された。工場側のポーランド代表は、「EUの環境基準は遵守していて、処理場内では基準を上回る有毒物質は検出されていない」と表明している。
 ポーランド政府は、「小規模農家が支える非効率な農業を再編するためにも、工場の誘致は必要だ」と主張しているが、工場のある村の村長は、「この誘致が村の美しい観光資源をも脅かしている」と語る。その一方で豚肉会社の環境担当副社長は、「消費者に安価な食糧を安定的に供給するためにはこうしたシステムは必要だ」と正論を主張する。
 食のグローバル化の中、大量生産の現場で起きている複雑な事象の一端をとらえる。

番組2.2日(水)00:10‐01:00「“苦い”紅茶」(原題:The Bitter Taste of Tea、制作:Borgen Production & Heinemann Media ノルウェー/デンマーク 2008年)。
 ヨーロッパでは近年、急速にフェアトレード食品が普及している。しかし、消費者が途上国の生産者の生活を持続的に支えるために支払っている「プレミアム」、割増金は、労働者に正しく還元されているのだろうか。一方、社会的責任を果たしていると公言する大手紅茶メーカーは、生産者の労働環境を守っているのだろうか。
番組は、紅茶の主な生産地であるスリランカ、インド、ケニア、バングラデシュの茶園を取材。スリランカのフェアトレードの茶園では、一般の茶園と同様に、労働者たちが過酷な長時間労働を強いられていた。茶摘みは女性たちの仕事で、男性たちは植え付け作業や工場での加工などを行う。茶園経営者は、農薬の散布の際、労働者に防護を呼びかけていると言うが、ゴーグルもつけず裸足のままで行われている。
 また、フェアトレードの紅茶生産者は消費者が余分に支払った金を直接受け取ることができない。プレミアム(割増金)は生産地の地域社会の改善などに充てられることになっており、その使い道は労働者が選出するフェアトレード共同組織のメンバーに委ねられている。しかし、労働者の中にはプレミアムの存在を知らない人も少なくない。
 番組は、フェアトレード商品は、上乗せされた金額の価値に見合うものでなければ見捨てられてしまうと結ぶ。

番組3.3日(木)00:10‐01:00「低価格商品はお得?」(原題:The True Cost of Cheap Food、制作:Wall to Wall イギリス 2009年)。
 不況が庶民の家計を直撃しているイギリス。主婦たちの味方は大手スーパーの低価格食品。番組は、この低価格食品の中身に注目。冷凍ミートパイやソーセージ、野菜、など、イギリスの家庭に欠かせない品目を徹底調査する。
 イギリスの大手7社のスーパーの低価格食品と値段の高い同じ食品の成分を比較すると、例えばミートパイやソーセージなどでは100g中のタンパク質やビタミンB12の含有量に明らかな差があった。また、のトマトに含まれるリコピンは高価なトマトより少ないという結果が出た。
 番組では、専門家に依頼し、コストを大幅に上げることなく、ミートパイやソーセージの肉の量を増やすことが可能かどうかを実験。18%しか肉が含まれていなかったミートパイの肉を25%に増やし、コスト増はわずか1ペニー(約1.5円)だった。街頭でこの<改良版ミートパイ>と低価格タイプのミートパイの食べ比べをしたところ、消費者はたちどころにその違いを見破る。
 番組の取材に対し、イギリスの小売業協会の担当者は、スーパーは低価格の商品を消費者に届けるために日々努力を続けており、その内容については表示していると説明。また、同じ地域に住む2家族が一週間の食費95ポンド(約1万5千円)以内で4週間暮らす実験に協力。ファーガソン一家はスーパーで、一方ジョンソン一家は地元の個人商店を中心に食材を買い、食費や食生活の比較をする。果たして結果は・・・。

番組4.4日(金)00:10‐01:00「キング・コーン~とうもろこしの国を行く~」(原題:King Corn、制作:Mosaic Films/itvs USA 2008年)。
 大学を卒業したばかりのカーチスとイアンは、アメリカ最大のトウモロコシ生産地、アイオワ州で0.4ヘクタールほどの土地を借り、トウモロコシを栽培することにした。普段 自分たちが口にしている食べ物の多くに、トウモロコシから作られた成分が含まれていることがわかったからだ。
 トウモロコシが育つ間、2人はコロラド州の牛の飼育場を訪れる。ここでは、牛のエサを牧草からトウモロコシに切り替えた。そうすると、子牛を市場に出荷するまでの期間が数年から、わずか4~5カ月に短縮されるのだ。その間、牛は狭い小屋の中で身動きができないように肥育されるため、肉のたんぱく成分が減り、脂肪が増えている。また牛の胃の中の微生物は、牧草の消化には欠かせないが、トウモロコシを与え続けると過剰な酸を発生させ、牛が病気になってしまう。そのため最近の飼料に、微生物を殺すための抗生物質が混ぜられるようになってきている。
 家畜の飼料としてトウモロコシが主流になった背景には、アメリカ政府の農業政策がある。1973年、当時のバッツ農務長官は、長年の減反政策から180度方針を転換し、補助金を出し穀物の増産を奨励。市場には安いトウモロコシがあふれるようになった。砂糖の代替品として開発されたコーンシロップは、炭酸飲料など様々な加工食品に含まれるようになり、アメリカ人の甘味料の摂取量は30%も増えた。
 収穫の時期を迎えるが、2人は自分たちが作ったトウモロコシをいったいどこに売れば良いのかと考え込んでしまう。農業補助金に支えられアメリカの食卓を席巻したトウモロコシが、蔓延する肥満や糖尿病、心臓病などの元凶ではないのか・・と考えるようになる。そして、穀物増産へと舵をきったバッツ氏の元を訪れ、思いのたけをぶつけるが…

番組5.5日(土)00:10‐01:00「世界に広がる飢餓の怒り」(原題:The Growing Anger of Hunger、制作:Article Z(フランス) 2008年)。
a. イントロ
 南北格差の進む中、世界的な食糧危機が進んでいる。その理由は温暖化や干ばつといった自然災害では無い。富める国が途上国の食のシステムを崩壊させようとしているのだ。この番組は、途上国からのリポートを交え、2008年にローマで開かれたFAO(国連食糧農業機関)の総会での各国の対応を分析。市場の自由化が進む中、農業に対して手厚い保護政策を行っている先進国から安い食糧が大量に輸出され、その結果、途上国の農業がダメージを受けているという現実を描く。

b. セネガルからの報告
 ある農家は、米と鶏が売れなくなったという。先進各国が実施する農業補助金で安く価格を設定された輸入米と輸入鶏肉で、地元の農家は値段的に対抗できないのだ。これは途上国のほぼ全てで見られる現象になっている。

c. 世界第2位の米生産国 タイ
 タイでは米農家がデモを実施。タイの米農家は、補助金を政府から得ているものの、家族を養える収入が得られないと語る。一方で、米輸出業者は、利幅が薄くとも大量の米を扱うことで莫大な利益を得ている。生産者よりも流通業者の方が恵まれているのだ。

d. インド
 先進国の企業は途上国の土地を購入し、進んだ技術で食糧を生産しようとしている。地元の農家には全く、太刀打ちできない。これは、“食を通じた植民地化だ”という声があがっている。マハラシュトラ州の土地も買収され、メガフードパークの建設が予定されている。インドのジャーナリストは、「この地域はインドの基幹食品であるとうもろこしを栽培してきた。それがメガフードパーク向けに、とうもろこし以外の食物の栽培を始めたら基幹食品が危なくなる。」と語る。

e. 問われる先進各国の対応
 番組は、FAO事務局長(アフリカ出身)や、フランスの農相、世界銀行幹部へのインタビューを通じ、先進国に有利な自由市場の体制が、途上国の農業を圧迫しているのではないかという疑問をぶつける。世銀は、補助金は一部のアグリビジネス企業を潤すだけで、途上国の人々のためになっていない事を認めた。FAO議長は、先進各国が自国のためにしか行動しないのであれば、途上国の飢えの問題は解決しないと断言した。

番組6.5日(土)23:10‐24:00「ランドラッシュが村を襲う~ルーマニア 穀倉地帯の攻防~」(原題:ランドラッシュが村を襲う~ルーマニア 穀倉地帯の攻防~、制作: NHK/ドキュメンタリージャパン 日本 2009年)。
 ドナウ川が国土を潤す農業国ルーマニアの肥沃な農地をアメリカやヨーロッパなど世界各国の穀物企業が狙っている。肥沃な土壌は化学肥料などに汚染されておらず、地価は西欧の5分の1、2007年のEU加盟で、外国企業の農地所有が認められ、100%、土地を所有することが可能となり、参入が加速した。ランドラッシュ、農地争奪戦だ。これに対し地元の農家は「外国企業が進出するのは時代の流れだ。自分たちも競争力を高め、世界市場で勝負しよう」と農業コンソーシアム(企業共同体)を結成、経営の共同組合化を進めて攻勢に出ようとしている。しかし、穀物メジャーや外国企業に価格決定権を奪われたルーマニア農家は苦境に立たされている。はたして農民の反撃は実を結ぶのか。番組では世界の穀物企業と地元農家のコンソーシアム、両者の攻防に密着し、穀物市場におけるグローバリズムが台頭する中で、ルーマニアの大地で何が起きているのか、検証する。

コメント (5)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 鳴子の米“ゆきむすび”のプロ... | トップ | 生きものの住む田圃に親しむ... »
最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
このシリーズ必見です♪ (あずーる)
2009-09-12 23:17:34
このドキュメンタリーについて記事をかいたのでTB送りましたが、うまくいかなかったのでコメントのこしておきます。また立ち寄りください。URLが不正と登録されているようです。
返信する
アズールさんへコメント御礼 (coccolith)
2009-09-13 11:28:37
coccolith blogにコメントを有難うございました。
コメントをいただいた記事にアズールさんのURLが入っていなかったので、サイトを探してコメント御礼を送らせていただきます。このシリーズは、世界の食糧事情の問題点を描いた見応えあるものでしたね。URL不正の意味が分りかねます。私は特に変わった設定はしておりません。こちらからTBを送ってみます。
返信する
おかしいですね。 (あずーる)
2009-09-13 14:34:45
cocolithさん、今日、再度、トラックバックを送りましたが、これも失敗でした。そちらからはくるので、そちらの設定で拒否されているようです。コメントを投稿する際、URLアドレスをいれたら不正なURLが含まれているためコメントできませんとなっています。昨夜も、今もそうです。おそらく何らかの制限がそちらのブログでかかっているのだと思います。
返信する
不正URL解除できました。 (あずーる)
2009-09-27 00:20:41
cocolithさん、おさわがせしました。私のブログアドレスはgooのフィルターにかかっていたようです。解除してくださいました。

で、さっそく全ての記事TBさせてもらいました。このシリーズ、食べ物から環境、経済、政策とすべてがつながっていて、本当に考えさせられるので、ひとりでも多くのひとに見てほしいです。
返信する
アズールさんへ (coccolith)
2009-09-27 22:31:07
しばらくお知らせが届かなかったのでどうされたのかと思っていました。不正URLが解除できたようで良かったですね。私にはどういうことだったか理解できませんが、目出度しです。TB有難うございます。BS世界のドキュメンタリーは良い内容のものがあえるので、これからも注目して行きたいと思います。
返信する

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事