チャイナMBAマネジメント協会

「CMMA: China MBA & Management Association)」

West Pointの怪物_長江商学院

2013-06-03 | 長江商学院MBA

こんにちは、長江商学院の石川です。

NY研修の締めくくりとして陸軍士官学校「West Point」のオリエンテーリング訓練に参加してきました。West Pointはマンハッタンから車で約1時間半程の距離にある米陸軍の士官養成学校です。ハドソン側のほとりに設けられた広大なキャンパスは65平行Km以上。世界で最も広い大学と言われています。

写真に写っている女性は、既に退役したWest Point卒業生。
「陸・海・空で士官学校を分けているのはなぜ?リーダーシップの方法論が違ったら、統合作戦で困るのでは?」と質問したところ
「リーダーシップに関しては、確かに同じようなことをそれぞれの学校で教えているわ。ただし、3軍で必要とされるスキルは全く異なるので学校も分けているの。例えば、私はあなたを素手で殺す方法を知ってるけど、空軍じゃそんなこと教えないでしょ。」と返されました。一瞬冷たい殺気を感じましたが、気付かないフリをしておきました。そんな彼女が現役時代に記録したベンチプレス140kgの記録は、今でも破られていないそうです。グリズリーを発見してしまいました。

さて、そもそもMBAがなんでミリタリーへ?という疑問はありますが、文脈的には「実践的リーダーシップを学ぶため」ということになるのかと思います。長江のCEOプログラムやCEIBSも過去にこの訓練に参加したそうです。もっとも訓練そのものは、退役軍人等で構成される外郭団体によって運営されており、当然ながらWest Pointの教育そのものとは、完全に切り離されて行われています。外郭団体および構内にあるホテルが行っている「お小遣い稼ぎ」という見方が適切かと思います。ちなみに、海外の主要顧客は中国人だそうです。

午前中の講義では、退役した陸軍大佐が「いかにWest Pointが凄いか」という事を滔々と語ってくれました。曰く、West Pointは毎年全米からトップクラスの高校卒業生を毎年1000名程度入学させており、過去には大統領を3人も排出している。この企業、あの企業のCEOもWest Point卒業生だよ、みたいな話でした。それからカリキュラムの話。1年生は何も分からずに、先輩に怒鳴られっぱなし。だけど4年になる頃には訓練で何百何千人もの部隊を指揮するくらいにまで成長する。全学生がアスリートとして毎日スポーツに励み、専攻も原子力から外国語まで総合大学並みに取り揃えている・・・・・・etc etc
個人的には興味を持って聞きましたが、この内容は「好きなやつにじゃないと響かないんじゃないかな?」と若干の懸念。
リーダーシップ論は至極まっとうな内容でした。「Be,Know,Do」「己を知り、技術を磨き、実行せよ」。リーダーとして最も優先させなければいけないのは、任務の遂行。とにかく勝ちにこだわれ。上官、部下に対して、それぞれに誠実であれ。襟を正したくなるような講義でした。ただし企業におけるリーダーシップとの関連性で考えると「それはそれ、これはこれ」じゃないかなと思うのです。それぞれの組織や産業にはそれに適したリーダーシップがあり、一様にこれだというものを、全てに適用するのは難しい。ミリタリー的なゼロサムかつ大規模・垂直型組織を前提としたリーダーシップ論は、ある特定の企業・産業にしか応用できないのではないかと思います。
ということで「West Point流リーダーシップのこういう考え方は、企業のシェア獲得競争でも同じことが言える」みたいな事を言われると「?」です。もっとも、Best of Bestを集めた熾烈な競争環境と圧倒的なプレッシャーと負荷で勝ち上がってきた陸軍士官の根性とスタミナは間違いなくどこでも通用するでしょう。

さて、最後に美しいキャンパスの写真を何枚か掲載しておきます。
ではでは