アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

第31回東京国際映画祭:補足

2018-11-02 | アジア映画全般

見た映画で、ご紹介できなかった作品を簡単にアップしておきます。 

<コンペティション>
『三人の夫』
2018/香港/101分/原題:三個丈夫/英題:Three Husbands
 監督:フルーツ・チャン(陳果)
 キャスト:クロエ・マーヤン(曾美慧)、チャン・チャームマン

 

©Nicetop Independent Limited

マカオを通り珠海に女を買いに行った香港人労働者四眼佬(メガネ/チャン・チャームマン)。しかし、中国当局に売買春の罪で捕まってしまい、すごすごと香港へ戻る羽目に。香港にも娼婦はいて、船で客を取る小妹(シウムイ/クロエ・マーヤン)と出会ったメガネは、彼女の父親と話を付けて、彼女を妻に迎えます。その過程で、シウムイの父と言っていた老人が夫であり、さらに年取った父親もいて、二人がつるんでシウムイに稼がせていたことが判明、何とシウムイには赤ん坊までいたのでした。そのすべてを承知でシウムイと結婚し、団地の一角にある自宅で母親と共に住み始めたメガネでしたが、シウムイの際限ない性欲に悩まされる毎日が続きます...。


フルーツ・チャン監督の「娼婦三部作」の最後の作品とのことですが、シウムイの性表現がすごくて、成人映画扱いに。演じているクロエ・マーヤンは中国の女優で、『天安門、恋人たち』(2006)など著名作品にも出演済み。今回は体重をぐっと増やして出演したので、Q&Aに登場した彼女はぐっとスマート、まったくシウムイのイメージとはほど遠い女優さんでした。シウムイは少し知的障害もある役柄なのですが、その演じ方も真に迫っているという、ものすごい演技力です。久しぶりのフルーツ・チャン監督、外見は老けましたが、その精神はどうしてどうして、全然老いていないようです。この作品も、三人の夫とは、かつての植民地時代の中国とイギリス、そして返還後の中国を象徴しているのでは?と思わせる作品で、反骨精神バリバリのフルーツ・チャン監督なのでした。


 

<アジアの未来>
『ミス・ペク』
2018/韓国/98分/韓国語/原題:/英題:Miss Baek
 監督:イ・ジウォン
 キャスト:ハン・ジミン、キム・ジア、イ・ヒジュン

 

©2018 BAE PICTURES & CJ ENM. ALL RIGHTS RESERVED

幼い時母親から虐待を受け、それが元で殺人未遂を起こしたペク・サンア(ハン・ジミン)。刑事のチャンソプ(イ・ヒジュン)はなぜか彼女が気になり、何かと世話を焼きますが、サンアは笑顔すら見せてくれません。そんなサンアが出会ったのは、やはり親から虐待を受けている幼い少女キム・ジウン(キム・ジア)。父親とその同棲相手からひどい仕打ちを受けていました。サンアは見過ごすことができず、ジウンに自分のことを「ミス・ペク」と呼ばせて彼女を助けようとしますが...。

ハン・ジミンのクールな演技、子役のキム・ジアの迫真の演技と、女優二人の演技でぐいぐいと見せられる力のある作品です。もう一人、ジウンの父の同棲相手を演じる女優の狂気の演技もすごくて、もしかして賞を取るかも、と思ったのですが、残念ながらアジアの未来作品賞を受賞したのは、未見の『はじめての別れ』(中国)でした。


『ソン・ランの響き』
2018/ベトナム/101分/ベトナム語/原題:Song Lang/英題:The Tap Box
 監督:レオン・レ
 キャスト:リエン・ビン・ファット、アイザック、スアン・ヒエップ


ベトナムの大衆演劇カイルォンの俳優と、女性実業家の意を受けて借金取り立てに回る青年との友情を描きます。カイルォン(「改良」劇という意味)の演目描写にかなりのフッテージを使ってあり、じっくりと見ることができて楽しかったです。時代劇である舞台演目のセリフが、斉藤敦子さんの字幕で格調高く訳されていました。広東系の多かったベトナムなので、カイルォンは粤劇に似ているかな、と思っていたのですが、むしろ福建劇というか、台湾の歌仔戯(コアヒ)に雰囲気が似ていました。

で、次の日偶然監督と主演男優が野外でサインをしている場面に遭遇。アップのお写真を撮らせてもらいました。レオン・レ監督と、


借金取り立て男を演じたリエン・ビン・ファットです。


お二人ともイケメンで、女性観客の皆さんが長蛇の列を作っていました。カイルォンのシーンや楽屋裏がたくさん見られるので、この作品も公開してほしいですね。



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