グー版・迷子の古事記

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気になったことだけ勝手に想像して勝手に納得しています

月(キ)と日(ヒ)と魔(マ)と神(カ)

2013年10月22日 | 古事記
以前、月神で月は太古において「キ」と呼ばれていたと提示しましたが、何故「キ」と呼ばれていたかまでは分かりませんでした。
キ(木)と同じ音なので、月と木は関係あるのかな?
位にしか認識がありませんでした

ところが全く関係の無い事を考えていた時、その答えを見つけた気がしています。
月と関係が無いと思って考えていた事が、実は関係が大有りだったのです

  《月と日》

(太古からの暗号)(太古からの暗号②「キ」)(太古からの暗号③クチ)で考えを巡らすうちに、縄文以前の太古の人達が人間と木に深い関連性を見出していた事に気付きました。
そこで私は、太古の人達は人間と木の関連性だけでなく、もしかすると自然の事物全てを木と関連付けたのではないか、と思いました。

ここで言う所の「木(キ)」は、太古においては植物全般を指していたのではないかと思います。植物の中でも特に重要視していたのが木だと思います。

そして色々な事物の名前を、木(キ)のパーツなどで説明すると、かなりの事物の語源がうまく説明する事に気付きました。

月(キ)と日(ヒ)について考えて見ましょう

木(キ) → 月(キ)
穂(ホ) → 火(ホ・ヒ) → 日(ヒ)
火は穂の形から命名されたものだと思います。
また日は天空に浮かぶ火そのものです。

「日(ヒ)」は見た目が「火(ヒ)」その物であるとも言える為問題ないでしょう。
では「月(キ)」はどうなのでしょう?
一見「月(キ)」と「木(キ)」に関連性を見出せません
この関連性を明らかにしないと「月(キ)」が「木(キ)」から名付けられたと言っても意味がありません。

しかし、ひょんな事から関連性を見つけてしまったのです

  《勝ちと負け》

古事記に出てくる神様の中には正勝吾勝勝速日天忍穂耳(マサカツアカツカチハヤヒアメノオシホミミ)なんて言う友達にしたら面倒くさそうな神様がいます
スサノヲがアマテラスに「ウケイ」と言う勝負で勝ちに勝ちまくった時に出来た神様です。
この神様のおかげで、以前から「勝つ」の語源って何だろう?って言うどうでもいい様な疑問を持っていました。

「カツ」の「カ」は神様を意味するような気もするし、そうでもない様な気もするし…
もし神様を示す言葉「カ」が動詞になり「勝つ」と言う意味を持つならどう言う事だろうか?

「カ」は古代において、光や輝きを意味します。

(例)
ホノカグツチ・ホノカガビコ…火の輝きの神霊です。

では「カ」の成り立ちはどのような物だったのでしょうか?

…とその前に…
私は専門家ではありません。このブログに書いてある事は全て私の思考過程で出た結論です。
専門的に正しいかもしれないし、或いは間違いかもしれません。
このブログ全体に言える事ですが、「と思います」「~でしょう」などの文章がある場合は全て私の考えです。
あらかじめご了承下さい

ながーーーーーい目で見てください

「カ」が輝きを示すならば、その元となる物は何でしょうか?
私はその元となる物を「火(カ)」ではないかと思いました。
火はそれ自身に輝きを持っています。
「カ」の元が「火(カ)」と言うことは、月を「月(キ)」と読むことを証明したときについでに証明されてしまいます。

そしてここで重要な事は、火を「カ」と読むのは音読みだと言う事です。
そのため、ここで考える「カ」は古代の日本に渡来人が渡ってきた弥生時代以降で使われる「カ」です。

古事記のヤマトタケルの所で次のような一文があります。

「日々並べて(かがなべて) 夜には九夜 日には十日を」
「日数を重ねて、夜は九夜、昼は十日を」

これと似たような文章が、古い文献でよく出てきます。
ネット検索で他の文章をすぐに出せないのでこの一つだけ上げておきます。

上の文章では「日日(カガ)並べて」と「日」だけを並べたような言い回しになっていますが、その後の文章を見ても分かるとおり、夜と昼の連続を表現しており、単純に日を重ねただけではなさそうです。
また、これと類似した他の文章においても、昼と夜の対比、或いは月と太陽の対比が「カガ並べて」の前後についています。

上の方で、「カ」の元となる物は「火(カ)」だとしている為、太陽の連続である所の昼の連続であるとしても問題ないように見えるかもしれませんが、そうなると輝きを示す「カ」は月に対しては使わない事になってしまいます。
これから証明する事で、「カ」は月の光を表す事もついでに明らかになるのですが、ここでもう少し「カ」について考察するため、敢えて言及しました

「日日(カガ)並べて」が、「月と太陽を重ねて」と言う意味だとすると、「カ」は「輝き」を示すだけでなく、時には「月(キ)」「日(ヒ)」その物をも示す事になります。
そして、「カ」が「月(キ)」と「日(ヒ)」を示すという事は即ち「カ」が「神」をも示す事となります

ここで重要な事は…
「カ」の元は「火(カ)」の音読みで弥生時代以降の渡来人が主として使用した。
「カ」は後には月(キ)に対しても使用されるが「日日(カガ)並べて」と表現されている事からも分るとおり、初期の段階においては「日(ヒ)」に対して使用された。


「カ」の説明はここまでにして、一旦元に戻りましょう

「勝つ」とは一体何なのでしょう?

「勝つ」の「カ」が神様を意味する「カ」だとするなら、「勝つ」には神様の行動が関係してくると考えられます。
神様はどのような行動を起こすのでしょうか?

その当事者の神様は、太陽と月です

太陽と月の運行を想像してみてください。
太陽と月が天空に現れる周期はそれぞれ違います。
このため、太陽と月が同時に天空に現れる事があります。
しかし太陽の光が強いため、月は太陽が出ると姿を消してしまいます。
月は太陽に消されてしまいます

この月につ太陽が「カ」です。
太陽と月が勝負すると太陽がってしまうのです

それではついでに「負ける」の語源も考えて見ましょう。
「勝つ」と「負ける」は対象語です。
「勝つ」の「カ」が、神様である太陽の「日(カ)」だとすると…

「負ける」の「マ」は、太陽に負ける月を示す事が予想出来ます

ここで一つ重要な事があります。
太陽と月は勝負して太陽が勝ちますが、必ずしも毎日太陽と月が争っているわけではありません。
満月の日には、月と太陽は地球を間において対象の位置にいる為に争う事はありません。
と言うことは…

負けるの「マ」は、満月の時の「月」には対応しないと言う事です。
負けるの「マ」は、円形でない「月」とその形を表します

「マ」がどういう形を表しているか全く別の言葉で考えて見ましょう

クマ(熊)…日本にいる熊の大半はツキノワグマです。ツキノワグマには首に三日月の模様があります。ヒグマもいますがその生息域は北海道で限定されています。
もしかすると…
「クマ(ツキノワグマ)」と「ヒクマ(日クマ)」は、月と太陽を表しているのかもしれませんね。
「ヒクマ」の方が断然大きいから「クマ(ツキノワグマ)」は負けちゃいますね

カマ(鎌)…三日月形の刃を持った道具です。

ヤマ(山)…円形をぶった切った形をしています。

ウマ(馬)…額に三日月の模様をつけた馬がいます。もしかしたら、昔は三日月模様の馬が多かったのかな?

タマ(玉)…「タ」は「足る」を意味すると思います。満ち足りた「マ」です。完全な円形或いは球形を表します。

ところで、太陽を示す「カ」は「火(カ)」に由来するとしましたが、月を示す「マ」はどこから来たのでしょう?
私はこれも、「火(カ)」と同様に弥生時代以降の渡来人達が使った言葉だと思います。
私の見立てでは、月を表す「マ」は「魔(マ)」だと思います。
ツクヨミの名前がこの事を匂わせているように思います。

ここに、太陽は「神」で月は「魔」と言う構図が見えてきました

これは弥生以降の渡来人によって作られた構図です。
月(キ)は縄文以前の人達にとっては、木(キ)の名前をつけた大切な物だったはずです。
縄文以前から日本に住む人達が「月(キ)」を「魔(マ)」と呼ぶ事はありえません。

弥生時代に渡ってきた渡来人達によって月の名前はグチャグチャにされてしまいます。
「~ツキ」「~のキ」と言う意味も分らずに、「ツキ」で月を表したのではないでしょうか。
またおまけに「ヨミ(黄泉)」夜の神霊などと言う「魔」その物の様な名前まで後付されたのだと思います。

そして月神のやつれ果てた姿が、「ツクヨミ」なのではないでしょうか

では最後に、「月(キ)」は何故「キ」と呼ばれたのか?
一番最初の疑問を解いて終わりにしましょう

「木(キ)」は「火(ヒ)」に負けてしまいます。
火がついたら燃えちゃいますよね
そして「日(ヒ)」に勝てない月は「月(キ)」と命名されたのでしょう。

そうだ…
まだ「カ」が「月(キ)」の輝きをも示す事を証明していませんでした
「マガタマ(勾玉)」「マガツヒ」と言う言葉からも分るように「マ(月)」の光と表現されます。

マガタマ = (マ)(ガ)(タ)(マ) 「マ(月)」の光の玉
マガツヒ = (マ)(ガ)(ツ)(ヒ) 「マ(月)」の光のような「ヒ(日)」

マ(月)の形は、三日月などのように円形を削った形です。
そう考えると、マガツヒは日食である事はほぼ間違いないでしょう
ヤソマガツヒ(八十禍津日)は沢山の日食の太陽を表し、
オオマガツヒ(大禍津日)は皆既日食を表す物と思います

今日は長い文章だった…
自分で自分を褒めてあげたい

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