グー版・迷子の古事記

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アラハバキの社①

2013年09月11日 | 古事記
伊勢神宮の線からアラハバキを考えるのが難しそうなので、別の線から迫ってみました

  《砥鹿神社》

砥鹿神社(とがじんじゃ) 三河国一之宮
古代は奥宮のみ存在したが、文武天皇の時代(大宝年間)に里宮を建立したという。
(ウィキペディア)

◎里宮 祭神 大己貴命(オオナムチ)

◎奥宮 祭神 大己貴命(オオナムチ)
本宮山(豊川市・岡崎市・新城市の境、海抜789m)の山頂に奥宮(豊川市上長山町)がある。(ウィキペディア)


◎末社
・八幡宮
・守見殿神社(モリミデン神社)
 祭神 大己貴命の和魂(ニギタマ)
    迦久神(かくのかみ)
     倉稲魂神(うかのみたまのかみ)
・八束穂神社(ヤツカホ神社)
 祭神 天穂日命(あめのほひのみこと)
・荒羽々気神社(アラハバキ神社)
 祭神 大己貴命の荒魂(あらみたま)

里宮以前からある奥宮は本宮山の山頂にあるため、元々は本宮山そのものを御神体としていたと思われます。またこの山は三角形の山です。三角形の山というのは古代信仰の対象となりやすく、蛇神様が祭られることが多くあります。

また砥鹿神社の祭神には興味深い所があります。
里宮、奥宮の祭神オオナムチはオオクニヌシ(大国主)の別名とされています。
八幡宮に関しては、中世以降武門の神として全国各地の武家により祭られ、神社の中でもお稲荷さんに次いで多い神社なのでここでは問題としません。

守見殿神社にはオオナムチの和魂(ニギミタマ)が祭られています。
八束穂神社の祭神アメノホヒは出雲国造の祖神。
アラハバキ神社の祭神はオオナムチの荒魂(アラミタマ)

なんとアラハバキの正体はここに書いてあるでは無いですか…
アラハバキはオオナムチの荒魂(アラミタマ)

  《オオナムチ》

ではオオナムチとは何でしょう?
一般的にはオオクニヌシ(大国主)の別名とされています。
一般的というよりもはや定説?とまで言ってもいいかも知れませんが、本当にそうなの?
大国主には沢山の名前があって、沢山名前があるから大名持(オオナムチ)という説明がされる事もあります。
でも素人は思うんです。沢山名前ありすぎじゃね~

◎オオクニヌシ(大国主)の名前
オオナムチ、アシハラシコヲ、ヤチホコ、ウツシクニタマ、オオモノヌシ…etc.
有名なところでこんな所です。まだまだあるようです。

こんだけあると一つくらいは別の神様じゃね~
素人は思いました。

オオナムチがオオクニヌシ(大国主)として記紀以降呼ばれているのは事実、
オオナムチ = オオクニヌシ と言ってもあながち間違いでは無いでしょう。
しかし、古代においてオオクニヌシとオオナムチが習合されたかもしれない、と言う事を古事記から読み取る事ができます。

古事記においてオオナムチは、オオクニヌシ別名オオナムチ、と言う感じで最初に登場します。(因幡の白兎)
その後、オオクニヌシはスサノヲのいる根の国の冒険をし、最後にはスサノヲに認められて名前を賜ります。
古事記によると…

スサノヲはアシハラシコヲ(オオモノヌシ)別名オオナムチを大声で呼びとめ、
「……お前は、オオクニヌシ、ウツシクニタマと名乗って出雲を治めよ……」

ここで読み取れること
・元の名前はアシハラシコヲ
・オオクニヌシはスサノヲにもらった名前で元々の名前ではない
・オオナムチの名前の由来は語られていない
この3点でしょうか。
そして古事記において、オオクニヌシ別名オオナムチ、アシハラシコヲ別名オオナムチと書いてある所から察すると、「現在オオナムチといわれる神様は…」という意味合いが含まれているように感じられます。
オオクニヌシ別名オオナムチ、アシハラシコヲ別名オオナムチ、わざわざオオクニヌシとアシハラシコヲにオオナムチを関連づけないと古事記が書かれた当時勘違いする人でもいたのでしょうか?しかも、オオクニヌシ、アシハラシコヲの二つの名前を使ってまで…

ここにおいて前々回 オオモノヌシとオオクニヌシ で書いた可能性が生きてきそうです。

結論から言うと、オオナムチは古代大和における三輪山に祭られた太陽神オオモノヌシの元々の名前ではなかろうか?

ちなみに、オオモノヌシを祭る三輪山とオオナムチを祭る本宮山の形はよく似ています。(どちらも三角形の山)

オオモノヌシの名前が元々あった名前を改め新しく付けられた名前である可能性があることは前々回少し触れました。
オオクニヌシとオオモノヌシの習合により、どちらの名前も元々ある名前から新しく付けられた名前である可能性があると思います。
当ブログ オオモノヌシとオオクニヌシ 参照下さい

オオモノヌシ = (オオ)(モノ)(ヌシ)
全ての神霊の主という意味に取れます。

オオクニヌシ = (オオ)(クニ)(ヌシ)
アマツクニ(高天原)、ネノカタスクニ(黄泉)、ナカツクニ(日本)の全てを治めた主という意味にも取れそうです。

オオモノヌシ(大物主)とオオクニヌシ(大国主)が習合されたことにより、オオモノヌシ(大物主)の元々の名前であるオオナムチがオオクニヌシ(大国主)として認識された可能性はどうやらありそうです

オオモノヌシとオオクニヌシという名前のネーミングは非常に良く似ています。
一方は出雲神、また一方は大和神、名前の付け方から見ても名前の成立時期と場所が同じであった可能性は高そうです。

アラハバキの社②へつづく…