グー版・迷子の古事記

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アラハバキ 勝手に考察

2013年09月05日 | 古事記
アラハバキについて…というかアラハバキの本質を考えようと周辺を調べれば調べるほど気になる事が次から次に出てきて、それを調べ考えをまとめる作業が大変になってきました
よく考えたら未だに結論が出ていない神様なので当たり前といえば当たり前なのかもしれません。
それでも少しずつ本質に迫りつつあるのでは?と勝手に考えてます

  《アイヌ語の必要性》

縄文の系統とも言われるアイヌですが、古代神を考える上でアイヌ語が必要なのでは?と考えています。
しかしアイヌのネイティブでもないのでアイヌ語から古代神の本質を推測する作業がとても大変です。

個人的にアイヌに執着するのには理由がありまして、ある特殊な病気のウィルスが母系感染するのですが、そのウィルスキャリアの分布が非常に興味深いのです。

T型細胞白血病という病気のウィルスなのですが、東アジアでは日本にしかいない?とまで言われるウィルスなのだそうです。

キャリアの多い地域
・日本では南九州・南四国・東北・北海道
・台湾(先住民)
・樺太(先住民)

こういう訳で縄文との関連性も指摘されています。
そしてこの分布が蝦夷やアイヌと被ることから個人的に必要性を感じているところです。

しかしアイヌのネイティブではない自分には目立った収穫が今のところ無いのが実情です
それでも興味深い事柄をいくつか発見できました。

①アイヌの神様というのは現在の日本人の感覚で言う所の神様とは少し違うみたいで、自然と精霊を同じ名前で表す事があるようです。
 (例)キムンカムイ … 熊&熊の神様
古代的感覚で言えば顕現した神と霊的存在の神を同じ名前で呼びあまり区別しないということでしょうか?

②アイヌの神様の神名の最後に(フチ)とつくものが結構ありました。何か大和の神の語尾によくつく(ツチ)などともしかしたら関係があるのでは?と疑っている所です。
 (例)
   オンネフチ…風邪の神様
   ヌサコルフチ…穀物の守り女神
   アペフチ…火の神様
   アシニフチ…トイレの神様
   イレスフチ…火の女神・子育ての女神
   ミンタルフチ…炉の下座の神
   モシリコロフチ…(国土を領する婆神) 火の女神
   ムルクタフチ…糠を空ける祭壇の神
   ヌサコルフチ…祭壇の女神

ただ現在は(フチ)はお婆さんという意味なので↑の神様もお婆さんが多いようです。
↑の神様の性別は全部は確認できていません。
またタダ単にフチカムイ或いはカムイフチとすると火の
神様(老婆)となるようです。そしてこの火神が一番人々に親しまれているようです。

③アイヌ語の単語の初めの文字に「ヒ」の発音はほとんど使われないようです。
単語の途中の文字には「ヒ」の発音もある程度見かけるのですが、もしかすると元々は「ヒ」の発音自体少なかったのかもしれません。
実はこのことが後々に説明するかもしれないことと非常に重要な関係を持ってきそうな気がしています。
また、「フチ」で火神を表しますが、「ヒチ」で火神を表す集落もあるようです。
大和の言葉としてみた場合にも火神となります。

 (ヒ)(チ) … ヒの神霊

もしかすると、もともと「ヒチ」だったものが「ヒ」の発音を使わないため「フチ」となったのかもしれません。

④アイヌ語の文法も日本語とあまり変わらないようです。
日本語の文法は珍しいらしく、他には朝鮮語くらいしか同じ文法を使う言語は無いようです。

  《神霊を表す言葉》

神霊を表す(チ)(ミ)(ヒ)(キ)についての個人的想像など

(チ)…魑 魑魅魍魎の(チ)  【外来語】

山川の精、人魂などを指す。〔説文新附〕に「鬼の屬な り」とある。(ニコニコ大百科より)

「地」からクニツカミということも考えたのですが、古代「地」を表す言葉が「根」では?と思い「魑」の意味を知る渡来人により、使われたのでは?と思いました。
後に付随的に「地」よりクニツカミの意味を持ったかもしれません。

(ミ)…魅 魑魅魍魎の(ミ)  【外来語】

〔春秋左氏伝・文公十八年〕に四凶を辺境に追放して魑魅を防がさせた説話の記述があり、その服䖍の注に「魅は、怪物なり。或ひ云ふ、魅、人面獸身にして四足あり。好く人を惑はす。山林異氣の所に生ず」とある。

〔周礼・春官〕の注には「百物の神を鬽と曰ふ」とあり、物に生じる怪とある(鬽は魅の異体字)。(ニコニコ大百科より)

「魑」同様「魅」の意味を知る渡来人により使われたものが後に「美」「巳」などの意味も併せ持つようになり、女神・蛇神などの意味が後からついてきたかもしれません。

(ヒ)…日・火  【和語】

「日」「火」共に和語であることからおそらく同じ語源ではないでしょうか。
後に「霊」という文字を使うことによって使用範囲が広がった可能性があります。
古い神様であればあるほど「日」の意味でいいのかもしれません。

(キ)…木 【和語】  岐 【外来語】

現在に比べ天まで届くほどの巨木が沢山あったと思われる時代、表面がごつごつしうねり多彩な表情をもっている巨木が神聖視された事は用意に想像されます。タカミヌスビの別名は高木の神です。「タカミムスビ」という大仰な名前よりも「タカギ」というシンプルな名前のほうがより古いようにも感じるところです。
「岐」は木神の神名を渡来人により当て字されたものでは?と思っています。
また、天にも届くほど高いという所と、タカギの神がオモイカネの親神というところから、アマツカミを示す時にも使われるのかもしれません。
また↓の理由から渡来人により険しい山の神を表した可能性もあるかもしれません。

「岐」…中国の岐山。高い・険しいなどを表す形容詞的言葉のようです。

(チ)(ミ)に関しては元々の意味がいま一つ把握できてない感じです。
(ヒ)太陽 (キ)イザナギ&タカギ の和語を神霊名に使う神様が比較的上位の神様であることから、技術的に指導者の立場を持っていたであろう渡来人よりも原住日本人(縄文系)のほうが人数的には多数であり、上位神の(ヒ)(キ)が後の世まで残りやすかったと言えるかもしれません。

・イザナギ… (イザ)(ナ)(ギ)
かなり由緒の古い伊佐須美神社の祭神である伊佐須美大明神(国土開発のムスビ神)が
(イサ)(スミ)で分解できるようなので今のところ (イザ)(ナ)(ギ) で考えています。

(ナ)を「の」ととり 
イザの木神或いはイザのアマツカミ
又は(ナ)を形容詞化する助詞のように考えると
イザのようなアマツカミとなるかもしれません。
 例…楽(な) 形容詞的(な)
↑は国語の知識も乏しいので見当違いかも
 
  《記紀にみる同系統神の分類》

神様の出現時に同じ系統の神様が2柱、或いは3柱で一組となって出てきますが、それを分類してみました。

3柱
・住吉三神・三貴神など

2柱
・クニツカミとアマツカミ
・男神と女神
・実体と霊体

アイヌ語の必要性のところで少し書きましたが、アイヌ神は実体(顕現神)と霊体を同じ神名で示します。
古代大和の神の中にもこのような神様がいたのでは?という可能性から思いついたのですが。
元々、実体と霊体を同一で表す神名が渡来系により分類された場合、どのように分類されたのでしょうか?
分類された可能性のある神が分かれば、その神はより古代の神であるといえるかもしれません。
今のところ、何か見えそうで見えないような感じです

  《アラハバキの背景》

アラハバキを考えるにあたり、まずは大和朝廷の成立前後のアラハバキとその周辺の人々について考えてみました。

・記紀から除外された理由とは?
  ①マイナーな神様だったから?
  ②アラハバキを認めると都合が悪いから?
記紀には色んな集団の神様を取り込んでいるような形跡があるのでマイナーな神様で無い限り、記紀に入り込む余地はありそうです。
 
・逸話の少ない神
  ①マイナーな神
  ②コトアマツカミ
  ③マガツヒなどの災いをもたらす神
   天岩戸神話を皆既日食(マガツヒ)の顕現と考える
   とマガツヒは除外できるかもしれません。

・アラハバキを祭る人たちが取ったであろう行動
 ①堂々と祭ることが難しく神名に工夫をしたのでは?
 
・朝廷にとって都合の悪いことはあったのか?
 ①アラハバキを認めると困るほど重要な神だった?
 ②重要な神の忌み名であるため使用を認めなかった
  可能性もあるのでは?

アラハバキがマイナーな神で無い限り何かしら重要な神様である可能性があるかもしれません。

  《アラハバキの分解》

(アラ)(ハバ)(キ)

アラ…「荒」と言う漢字があてられますが、荒々しい神を表す場合記紀では「武」という文字が良く使われます。また荒々しい神というのは当時の人々にかなり強烈な印象を残していたのではないでしょうか?
強烈な印象を残すほどの現象を残したということは、即ち顕現したということに他ならない気がします。

 「アラワレタ」→「アラ」→「顕」→「荒」

また、アラハバキの神名が漢字の入ってくるよりも古いならば、「荒」は当て字といえると思います。
堂々と祭れなかった為「荒神」としてカムフラージュしていた可能性もあるかもしれません。

ハバ…古語拾遺によれば大蛇ということです。
「日日」のなまりだとしたら面白そうですが、今のところ 大蛇で考えたほうが良さそうです。

キ…上のほうで書いた神名を表す言葉(キ)だと今のところ考えています。
 木神またはアマツカミ

  《アラハバキの漢字分解》

堂々と祭れない神様だとしたら、何かしら工夫をしていたはずです。
朝廷の人がみたら勘違いするような当て字などをして祭る人にだけわかる本質を隠していたのかもしれません。

・荒脛巾
 「脛」で「ハバ」と読ませますが、
 「巾」にも「ハバ」という読みがあります。
 「ハバ」を2回繰り返すとはどういうことでしょう?
実際は「巾」を「キ」と読ませるため「巾」にからくりがあるのでは?と思いました。
 
 「巾」 を横に倒すと→ 「日」 に似てませんか?

一見、ほうきか脛あての神様かと思いきや…
顕ハバ日となるのかもしれません。
そうなると顕現した太陽の名前…
太陽神は朝廷にも都合悪そうです、また顕太陽神の忌み名だとしたら、この名前を使って祭らせることはありえないのでは?とも思います。
太陽の忌み名を口にすることは即ち太陽の死を意味することだからです。

また ハバ→大蛇→巳
この「巳」という文字が「日」に似ていることも太陽神をカモフラージュした手段と取れるかもしれません。

 ハバ→大蛇→大巳→大日

・荒覇吐、荒吐

「吐」 = 「口」 + 「土」

「土」を五行の土気と取ると中央を意味します
「口」 の中央に点(天)を書くと…
「日」 或いは 象形文字の 「日」 となります

奈良時代には五行が頻繁に取り入れられていたでしょうからありえるかも?

考えすぎかな~