『140文字で書くお題ったー』ですが、少し溜まりましたのであげておきますね。
今回は『みゆみこ』以外に番外編として『ひめみゆ(姫神×深行)』もひとつあげておきます。
あいも変わらず拙い文章ですが、楽しんでいただけましたら幸いです。
お題6:『指切り』 2013.12.6
「また明日」
そう言って泉水子は小指を立てて深行の方へ突き出した。
「指きり?」
「明日も会えます様に」
「なんだそれは」
呆れ顔をしながらも、節くれだった指が小枝の様に細い指を絡めとる。
小指から相手の体温が伝わってくる。
深行は絡めたままの小指を自分の方に引き寄せ、そっと口付けを落とした。
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お題番外編:『不意打ちで言うのはやめていただけますか』(ひめみゆ) 2013.12.6
「おれはっ」
思わず声を荒げていた事に気づいた深行は一端口を噤んだ。
「不意打ちでそういう事を言うのはやめていただけますか」
「そういう事とは?」
いとも可笑しそうに姫神が返す。
「困るんです」
「誰が?そなたがか?」
その言葉に深行が困惑する。
「それとも、全てを思い出しまった泉水子が、か?」
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お題7:『1+1=1』 2013.12.7
夕日を背にした二人の前に長い影が落ちる。
影の先を見遣り
「深行くんの影は長いね」
と泉水子が呟いた。
深行が後ろから泉水子を包む様に抱くと、先程まで並んでいた2つの影が1つになる。
「わたしの影、深行くんの影に食べられちゃったね」
その台詞に深行が動揺する。
「おまえさ…そう言う事いうと―…
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お題8:『ずるい人』 2013.12.8
泉水子は戸口で立ち止まった。
執行部メンバー達と穏やかに談笑する深行を見遣って
「ずるいな」
とぽつり呟く。
「誰の事?あぁ相楽ね」
後から入ってきた真響が泉水子の視線をなぞり答えを吐いた。
「違うの、わたしなの」
「泉水子ちゃん?」
(隣に居れないだけで満足出来くなった『ずるい人』はわたしだ)
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お題9:『もしも魔法が使えたならば』 2013.12.8
愛らしい靴と痛々しい靴擦れに溜息を落とす。
「痛むか?」
隣に腰掛けた深行が声かける。
「魔法が使えたらよかったのに」
「なんでだよ」
「だって折角のデート…」
泉水子の目に涙が溜まる。
「だったらおれがおまえの魔法になってやるよ」
そういって深行は泉水子をお姫様抱っこした――まるで魔法のように
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お題10:『覚めたくない夢』 2013.12.8
冬を彩るイルミネーションの輝きに目を見張る。
繋いだ手に力を込めると、それに応える様に深行も握り返してきた。
「今日は普通の女の子だったよね」
「おれがいつだって鈴原を普通の女の子にしてやる」
だから隣に居ろよと深行は続けた。
この夢の様な世界が醒めない事を、泉水子は人工の星にそっと祈った