ちょっぴりお知らせを書かせてくださいね。
Pixivさんの方に『コケティッシュにキスを~前編~。 』をあげさせていただきました。
今更感たっぷりのハロウィンネタです。
でもね、書いたのはハロウィン当日だったのですよ?あげようか、完成させてからあげようかと悩んでいるうちに年が明けてしまいました。
春が来てしまうまでには後編を直してあげたいなっておもっています。
文章を書きなれていませんので、可笑しいところがありましたら教えてくださいね?
自分だと頭でイメージを持ってしまっているため、可笑しい部分に気がつきにくいんです。
宜しくお願いいたしますね。
そして『140文字ss』です。
まさかね、ここまで続けられるとは思いもしませんでした。
最近はよく似たお題が出るので、ちょっぴり困ります。
きちんとリストのようなものを作らないと…と思っている、このごろです。
あと、38.は少し分かりづらいとおもいます。
すみません。
27.『いえない一言』(みゆみこ)
今日で何度目だろう、自分に投げかけられる視線に気づく。
そちらに顔を向けると泉水子は慌てて目を反らした。
「鈴原、言いたい事があれば言えよ」
言葉の代わりに細い指が深行の顎のラインをなぞった。
泉水子の意外な行動に戸惑っていると顎に小さな違和感を感じた。」
「深行くん、これって…剃り残し?」
***
28.『なんて言ったの?』(みゆみこ)
突然泉水子の小さな両耳には、見覚えのある手袋を付けた深行の両手が添え当てられる。
冬の寒さで千切れんばかりに痛んだ耳が、布越しに伝わる体温で優しく暖められる。
「泉水子。聞こえなくて良いから、きちんと受け取れよ」
しっかりと塞いだ耳の向こう側でそう言ってから、深行は低い声で愛を囁いた。
***
29.『黙って泣きやがれ』(みゆみこ)
一頻り言葉を吐き出した後泉水子は一端押し黙った。
今にも溢れ落ちそうな涙で言葉が紡げなくなったのだ。
「もういいから黙って泣けよ」
背中に腕を回し、息が出来ないくらい強く包み込んだ。
「聞いてやるから、全部言えって言ったの、深行くんなのに…」
ズルいよ、と深行の胸に顔を押し付け咽び泣いた。
***
30.『慰めてよ』(みゆみこ)
どんなに不利な状況でも自分の弱さを決して見せたりしない。
だからはじめは誰なのか気付けなかった。
(そうか、男の人って声も涙も出さずに泣くんだ…)
今にも崩れ落ちそうな深行の身体を泉水子はしっかりと抱きしめた。
いつもは大きいはずの深行の身体は、まるで子供であるかの様にとても小さかった。
***
番外編:『同属嫌悪』(深行と雪政)
講堂わきの木陰で泉水子と雪政が立ち話をしてるのが見え、深行は足を止めた。
場所からして人目を避けているのは一目瞭然だが、深行に聞こえない会話でいとも楽しそうに微笑む泉水子と、その隣で作りものでない笑顔で見守っている雪政に酷く苛立った。
深行は自分のポジションを奪い返す為に足を向けた。
***
31.『言わなくても分かった』(みゆみこ)
机に付いた手を軸にして向かいに座る泉水子の方へ身体を傾ける。
「深行くん、だめだよ」
泉水子は慌てて顔を背ける。
「だったら、逃げだしてもいいんだぞ?」
「……」
逃げ出さないのを知っていて意地悪く続けた。
「鈴原の口ってうそつきだよな」
小さな唇がその時を待ち望んでる事くらい嫌でも分かった。
***
32.『噂の二人』(みゆみこ)
「噂の事知ってる?」
カフェテリアの隅で向かいに座る深行にそう問いかけた。
「おれたちの事か」
こくんと泉水子は頷く。
「ほっとけよ、人の噂も75日だ」
「だけど…」
自分の知らない所で根も葉もない事を言わているのは耐え難かった。
その様子を見て深行は徐に口を開いた。
「既成事実でもつくるか?」
***
33.『傘の下で』(みゆみこ)
朝の天気予報が外れた事を知って、傘を持って来なかった泉水子はその場に立ち尽くした。
「傘、ないのか?」
振り返ると深行が空の様子を伺いながら泉水子の隣に寄り添っていた。
「深行くんも傘持ってないの?」
「…あぁ」
この時間が心地よいと思った深行は鞄の中の折り畳み傘の存在をなかった事にした。
***
34.『言えるわけがない』(みゆみこ)
売り言葉に買い言葉、泉水子の言葉に煽られて思わず滑りそうになった口を慌てて噤んだ。
それを見逃さず
「今、なにを言おうとしたの?」
と上目遣いで深行の懐へ詰め寄った。
「深行くんはわたしが欲しいと思う言葉を、どうして言ってくれないの?」
自分が言えなかった台詞を泉水子はさらりと言ってのけた
***
番外編:『愛してる、って言ったら満足?』(雪政と紫子)
リボンを巻かれたワインを渡すと紫子は嬉しそうに受け取った。
「クリスマス・イブか。雪政が欲しいと思う言葉をプレゼントとしようか?」
と囁くと
「遠慮しておきます。でないと来年は今以上のものでないと満足出来ないですから」
と返した。
「君は本当に可愛くないね、大成くんとは大違いだ」と笑った。
***
35.『忘れられた指輪』(みゆみこ)
「昔お父さんに買って貰った事があるの」
アクセサリーショップの店頭に並んだ指輪に足を止める。
「おもちゃの指輪。大切に仕舞っていたらその場所を忘れてしまって」
懐かしむより淋しい目をした。
「もう少し待ってろ、必ずおれが本物を買ってやるから」
そう言って深行は泉水子の左薬指を指先で突いた。
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36.『新着メール1件』(みゆみこ)
覚束無い指使いで携帯に文章を打ち込んでいく。
いつもの他愛の無い内容を打ち終えてから、泉水子は最後に『早く会いたいな』と添えて送信ボタンを押した。
途端羞恥心が沸き、付け足した文章を激しく後悔した。
受信音が鳴り恐る恐る返信メールをみると、そこにはたった1行『おれもだ』と書いてあった。
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37.『空腹に効くクスリってありますか』(みゆみこ)
寝坊した為朝食も取れず遅刻寸前の登校、そんな日に限って一時間目からマラソンとか有り得ない。
今日は厄日だと深行は呪った。
三時間目の休み時間ともなると腹は空腹で悲鳴をあげていた。
教室移動中に擦れ違った泉水子の唇をみて(あれに齧り付いたらどんなに美味いだろう)といやらしく喉を鳴らした。
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38.『若いときには無茶をしとけ』(みゆみこ)
雪政の言葉が理解出来ず泉水子は首を傾げた。
『若いうちの苦労は買ってでもしろ』という事だろうか。
「あんたの口は恥ずかしい事しか言えないのか!?」
隣で憤怒する深行に泉水子は質問を投じた。
「何の事言っているの?」
失笑する雪政が答えで無い台詞を吐く。
「泉水子への深行の隠秘が聞けるとはね」