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「労働契約法」要旨

2007年07月01日 | 産業
「労働契約法」の全文は、以下のホームページで閲覧できる。
http://news.xinhuanet.com/legal/2007-06/30/content_6311563.htm

(1)雇用単位は労働報州や労働時間、休憩・休暇、労働安全・衛生、保険・福利、従業訓練、労働規律、労働達成量など、労働者の権利に直接及ぶ事項や重大な事項を策定、変更、決定する場合には、従業員代表大会か全体会議を経た上で、具体案や意見をまとめ、工会や従業員代表と平等に協議し決めなければならない。
この過程で工会や従業員が不適当と認めた場合は、雇用単位に対し、協議を通じて修正を求めることができる。
(2)雇用単位は雇用が始まる日から労働者と労働関係を結ばなければならず、それには書面による労働契約が必要となる。書面による契約は雇用が始まった日から1カ月以内に結ばなければならない。
 雇用単位と労働者が合意すれば、期限付き、あるいは期限のない労働契約、プロジェクトごとの労働契約を結ぶことができる。労働契約には両者の名称などのほか、「契約期間」「仕事の内容とその場所」「労働時間と休憩・休暇」「労働報州」「社会保険」「労働に際しての保護、労働条件、危険防止」などを盛り込まなければならない。また、両者の合意により、「試用期間」「養成」「守秘義務」「任意の保険・福利」などを盛り込める。
雇用単位は雇用が始まった日から1カ月を超え、1年を超えない時点で書面による労働契約を結んでいない場合には、その間は2倍の賃金を払わなければならない。
(3)雇用単位は、以下の場合には、労働者が期限付き契約を望まないかぎりは、期限の付かない労働契約を結ばなければならない。(一)労働者が10年以上継続して働いている(二)雇用単位が労働契約を導入した時に、労働者が継続して10年以上働いており、かつ法定退職年齢まで10年をきっている(三)労働者が期限のある労働契約を2度結んでおり、継続を望んでいる-。
 雇用単位が雇用を始めた日から1年を経過しても書面による労働契約を結んでいない場合には、期限のない労働契約を結んでいるとみなす。
この規定に反し、期限のない労働契約を結んでいない場合には、締結すべき日から2倍の賃金を支払わなければならない。
(4)試用期間は、労働契約期間が3カ月以上で1年に満たない場合には1カ月を超えることができない。1年以上3年未満の場合には2カ月を超えることはできない。3年以上か、期限のない労働契約の場合でも6カ月を超えることはできない。試用期間を同一労働者に対し、1度に限り設定できる。
プロジェクトごとの労働契約と、契約期間が3カ月に満たない契約には試用期間は設けられない。
試用期間は労働契約期間の中に含める。試用期間の賃金は、その地の同じ職種の賃金か労働契約に盛り込まれた賃金の80%を下回ることはできない。その地の最低賃金基準を下回ることも認められない。
試用期間は、労働者が採用条件に合致しなかったり、違反・違法行為があったり、仕事に対応できなかったりした場合以外には労働契約を解除できない。
(5)雇用単位は以下の場合には、労働者に経済補償を支払わなければならない。(一)本法38条に基づき、労働者の要求により労働契約を解除する(二)本法36条に基づき、雇用単位が提案し、労働者との合意に基づき、労働契約を解除する(三)本法40条に基づき、雇用単位が労働契約を解除する(四)本法41条第1項に基づき、雇用単位が労働契約を解除する(五)雇用単位が労働条件の維持、引き上げを提示し雇用継続を希望、かつ、労働者がこれに応じなかったときを除き、本法44条第1項に基づき、契約期間満了で期限付きの雇用契約を終了する(六)本法44条第4、5項に基づき、労働契約を終了する(七)法律、行政上の規定によるその他の状況‐。
 経済補償は、労働者の当該雇用単位で働いた年限に基づき、満1年につき1カ月分の賃金(工資)とする。6カ月以上で1年に満たない年限は満1年とみなして計算し、6カ月に満たないものは、その分について半カ月の賃金とする。1カ月分の賃金が、雇用地の前年度の平均賃金月額の3倍を超えるときは、3倍を支払額とする。また、支払い対象年限は12年を超えない。支払う賃金は労働契約を解除、終了する時点の直前12カ月の平均とする。
(6)雇用単位は残業を強制することはできず、残業については国に規定に基づき、残業分の賃金を支払わなければならない。
(7)労働者は30日前の書面による通知で労働契約を解除できる。試用期間では3日前の通知で解除できる。
(8)雇用単位は以下の条件の時に労働契約を解除できる。(一)試用期間に採用条件と合致しないことが証明された(二)重大な職務上の違反行為があった(三)重大な怠慢、私利行為で雇用単位に損害を与えた(四)別の雇用単位と労働契約を結び、仕事に重大な悪影響を及ぼした(五)労働者の過失により労働契約が無効となった(六)刑事責任を追及された-。
 雇用単位は以下の場合には、30日前の書面による通知か、1カ月分の賃金支払いで労働契約を解除できる。(一)労働者が病気か、仕事に起因しないけがで規定の医療休業期間満了後も元の仕事に復帰できないか、雇用単位が用意した代わりの仕事に従事できない(二)労働者が仕事に対応できず、訓練や職種変更を経ても、仕事を全うできない(三)客観的にみて、労働契約締結時の情勢に重大な変化があり、労働契約を履行できず、両者の協議でも労働契約の変更で合意できない-。
(9)雇用単位が以下の状況の下で人員削減を行おうとする場合、20人以上の削減か、それ以下でも全従業員の1割以上の削減となるときは、30日前までに工会か従業員全体に状況を説明し、意見を聞かなければならず、その後に削減案を労働行政当局に報告しなければならない。(一)企業破産法の規定に基づき、事業を見直す(二)生産・経営上に重大な困難が発生した(三)事業の見直し、重大な技術革新、経営の見直しで労働契約を変更し人員を削減する(四)客観的にみて、労働契約締結時の状況に重大な変化が起き、労働契約を履行できなくなった-。
人員削減時には、以下のものを優先的に残さなければならない。(一)長い期間の労働契約を結んでいる者(二)期限のない労働契約を結んでいる者(三)家庭内にほかに就業者がいない者、扶養すべき老人や未成年者を抱える者-。
(10)従業員は雇用単位との平等な協議の上で、労働報州や労働時間、休憩・休暇、労働安全・衛生、保険・福利などについて、集団契約を結ぶことができる。集団契約案は従業員代表大会か全体会議で決める。集団契約は工会が従業員を代表して結ぶ。工会が設立されていない場合には、工会上部組織が代表を推薦する。
(11)工会は、雇用単位が集団契約に違反し従業員の権利を侵害した場合には、法に基づき雇用単位の責任を追及し、争議が発生し協議による解決が図れない場合には、法に基づき、仲裁、提訴を手続きする。
(12)県級以上の労働行政部門は、労働契約の状況を監督、検査する。(了)