@Guitar & Music & China

日本・中国を中心とした主に音楽と楽器を紹介します(節操はありません(笑)楽器は主にGuitarです)

【★アコギの材について】Top編

2005-06-21 | guitar
アコースティック・ギターについて語る上で
特に欠かせないのが、作られている材だと思います。
もちろん、エレキに関しても材は重要ですが
エフェクター等で出音を加工出来るエレキと違い
素材の持つ特性が、まともに出て来るのがアコースティクギターの
良い点でもあり、欠点でもあると思います。

材の、密度・硬度にによって、音の種類はさまざまに変わります。
創世記より、アコギに向く材と言う物がさまざま試されてきたが
現在、乱伐によりギター向きの素材と言う物が手に入れ難くなり
さまざまな材が試されているのが現状です。

今回は、ギター材でもトップに使われている材を紹介します。

【スプルース】

 アコギのトップ材としては、もっともポピュラーな
 マツ科に属する木です。
 柔らかく、振動板としては理想的な音響特性を持ち
 フラットトップ、エレキのフルアコのトップとしては
 もっとも適した材と言われています。

 欠点としては、その柔らかさゆえ長期の使用に対して
 弦のテンションによる、トップの膨らみが上げられますが
 リペアは可能ですので、致命的な欠点とは言えません。
 リペアの際、音質が変わってしまいますが
 その件に関しては後述します。

 種類としては

 1.シトカ・スプルース
 2.アディロンダック・スプルース
 3.ジャーマン・スプルース
 4.イングルマン・スプルース
 5.えぞ松

 以上が、主に使われる種類です。

 シトカ・スプルースは、現在最も使われているスプルースで
 全生産ギターの大半を占めています。
 理由は簡単で、もっとも手に入れやすいからです。
 同じシトカ・スプルースでも、育った環境等により
 グレードはさまざま変わりますが
 ”スプルースと言えばシトカ”と言うくらい
 多くのギターに使用されています。

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 アディロンダック・スプルースは、シトカに変わる以前に
 トップにもっとも適した材として、使われてきました。
 原産地は、アメリカのアディロンダック山脈で
 乱伐の為保護政策がとられており、現在では
 一部の限定生産品のみに使用されています。
 全体的に赤味を帯びた外観が特徴で
 別名”レッドウッド”と呼ばれています。
 現在手に入る物は”ヴィンテージと同じ材の物が欲しい”と言う
 要望によって作られる物が大半で、質の良いシトカの方が
 材としては優れていると、私は考えています。
 ”昔のギターは鳴るから、同じ材の物が欲しい”と言う方もいらっしゃいますが
 古いギターが鳴るのは、弾き込まれていると言うのが一番の理由で
 ”材が同じだから鳴りが良い”と言うのは、思い込みの部分が多いと考えます。

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 ジャーマン・スプルースは、その名の通りヨーロッパ原産で
 寒い地方に生息しているせいか、密度が高く鳴るまでに時間が掛かります。
 また、ヨーロッパ系のスプルースの特徴として
 時間が経っても赤くならないと言う性質を持っているようです。
 アディロンダックは別として、シトカは時間が経つにつれて
 赤味を増してきます。
 自分の持っているギターは、毎日見ているので分かりにくいと思いますが
 楽器店へ行って同じ型番のギターを見てみると”同じ材か?”と思うくらい
 真っ白な事に驚く時が多々あります。
 この材も手に入り難くなっており、高級機種に使われるのが主ですが
 Gibsonなどは、トップ材を”スプルース”としか表記せず
 たまにナチュラルトップのレギュラー品に使われていたりします。
 早く鳴るようにしたい方にはお奨め出来ませんが
 長く付き合うには、丈夫な事もあり良いかも知れません。

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 イングルマン・スプルースは、やはりヨーロッパ系の物ですが
 ジャーマンと比べると、少し赤味を帯びています。
 ただ、最初真っ白で知らない内に赤くなってくるシトカと違い
 同じ色をキープしますので、材を判定する材料になります。
 ジャーマン程は密度が高くなく、早く鳴り始める傾向があります。
 密度的にも少し低い感じですが”密度が高い=音が良い”と言う
 方程式は当てはまりません。
 ヴィンテージなどを見ると、良くなるギターでも密度が低い物を
 良く見かけたりします。

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 えぞ松はヤマハが高級品に良く使っている物で
 見た感じはジャーマン・スプルースに似ています。
 やはり密度が高いようで、鳴るまでに時間が掛かりそうな感じです。
 寒い地方に生息する木は、基本的に密度が高いようで
 赤くならない特性があるようです。
 そう言った意味で、弾き傷の目立たないギターは
 いつまでも新品に見えると言うメリット(?)がありそうです。
 もっとも、最近の高級ギターで弾き込まれている物を見た事がありませんが・・・

【シダー】

 シダーとは”杉”の事で、スプルースよりもさらに柔らかい為
 主にクラシック・ギターに多く使われていますが
 最近は、音の柔らかさから鉄弦のギターにも使われ始めています。
 クラシック・ギターでは、塗装の際エイジング・トナーを
 塗料に混ぜて使っていますので、印象的にはかなり赤い木
 と言う感じを受けますが、鉄弦ギターのようにクリアラッカーのみでは
 多少赤味が濃い程度で、クラシックのような印象は受けません。

 スプルースよりも、さらに柔らかい為、テンションによる
 トップの膨らみも、スプルース以上に気を付けた方が良いようです。
 どこどこ産と言うのは、私は門外漢なので、良く分かりませんが
 クラシックでも高級品には、スプルースが使われる事もあります。
 ただ、シダーの方が柔らかい為、鳴り始めるのも早いので
 弦自体の響きが鉄弦よりも弱いクラシックでは
 中級品までの物には、シダーが多く使われているようです。

 他にもトップに使われる材はありますが、あまりポピュラーではないので
 話の流れで、書いて行きたいと思います。

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 ”トップ材によって、そのギターの鳴りが決まる”と言われるほど
 トップ材は重要です。
 弾き込んで行く内のトップの塗装の剥がれが目立つようになり
 トップの再塗装を考える方もいらっしゃると思いますが
 心ある楽器屋であれば、口裏を合わせたかのように
 ”トップは再塗装しない方が良い”と言われます。

 何故なら、折角塗装が馴染み振動するようになったトップが
 再塗装により、鳴りが抑えられてしまうからです。
 材によっては、トップが本来の振動をするようになるまで
 相当な期間を要します。
 見た目を気にすると、ろくな事はありませんよ。
 特にアコースティックでは・・・


次回はボディ材について書いてみようと思います。
(何時になるかは分かりませんが (^^;;

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